嘘はいつか必ずと言っていいほどバレるものだ。
投稿遅れて申し訳ないです。
前回学んだこと
唐突な「結婚しよう」は怪しい。
エヴリーヌが衛兵に連れられて王城に向かった。
ようやく元の居場所に戻ったか……と思ったのも束の間。
こんどはディアナ、フェリクス、コリンナから質問攻めだ。
「王女ってどういうことですか!?」
と、ディアナ。
「そのままの意味だ。エヴリーヌはこの国の王女様で、なんか目的があって城下に来てたらしい。ま、呼び戻されたって感じかな?」
「リョウタロウは知ってたのか?」
と、フェリクス。
「口止めされてたけどな」
と、コリンナ。
「呼び戻されたって、何かあったんでしょうか……」
「さあ? というか、俺より幼なじみのカミラの方が知ってるんじゃない?」
そう言ってカミラの方を向く。
「私もなんで来てたのかは知らされてないんですよ」
すると、ドアからフベルトが入ってきた。
「お、噂をすれば知ってる奴が来たな」
「リョウタロウ、昨日の夜、エヴリーヌ様に何か言われなかったか?」
「ん?あー、結婚しようとか言ってたけど」
するとディアナとコリンナがやたら驚いた。
「それで?」
「断ったよ。俺は将来王様になるつもりはないし、堅苦しい行事とか嫌いだからな」
するとフベルトがため息をついた。
「どうして断ってしまったんだ……」
「だから、理由は今言って……「そうじゃない!」は?」
フベルトはかなり焦っているらしい
「彼女がどんな覚悟で君に頼んだか分からないのか?」
フベルトが俺の肩を掴んで揺らしながら聞いてくる。
俺はそれを振り払った。
「そう言ったって、あいつの目的言わなかったお前らが悪いだろうが! こっちからしたら、会って1ヶ月経ってない王女から告白されたんだぞ!? 取れるか分からない責任を負うつもりはないね!」
俺の返答にフベルトはギョッとした。
「話してないのか!?」
「あぁ。唐突にだったよ」
フベルトはまたため息をして、説明し出した。
「実は、彼女には王様が決めた婚約者が居るんだが、彼女は相手を気に入ってないんだ」
するとカミラ、ディアナ、コリンナは「あぁ〜」という顔をした。
同じ女性として思うところがあるのだろう。
「それだけか? そのために手頃な男に結婚を申し込んだと? つまりはそいつの代わりを探すために城下に来てたのか? なら尚更断って正解だったね」
すると、フベルトが俺の胸ぐらを掴んだ。
「お前、情というものがないのか?」
「生涯を共にする相手の決め手が嫌な許嫁の代わりに知り合った良さそうな男って理由で告白されて断って何が悪い?」
「……っ! とにかく、リョウタロウ、ついてきてくれ」
「え? ちょっと!?」
フベルトは俺を掴んだまま連れ出した。
しばらく歩いて、城に着いた。
「おい! なんで俺が城に来なきゃならないんだよ!」
「前々から王様はエヴリーヌ様が一緒にいる相手を気になっていたから、これを機に紹介するんだよ」
それならいいけど、来たついでに替え玉になんてしてみろ?斬るからな!
城の中は豪勢な作りで、柱や床が大理石で出来ている。
少し進むと、少し広い部屋に通され、そにはザ・玉座みたいな椅子があり、その上、シャンデリアがぶら下がっていたりする。
「謁見の間だ。王様が来たら、お辞儀するんだぞ」
「最低限の礼儀は知ってるよ」
すると、奥のドアが開いた。
そこからマントはないが、王冠を被っていて、明らかに「私が王様です」と言わんばかりのオーラを出しながら男性が歩いて来た。
髭はしっかり切りそろえられ、後ろには執政だろうか、2人ほどの補佐のような人が付いている。
「君がリョウタロウ君か」
「はい。お目にかかれて光栄です」
「そう堅苦しくしなくていい。前のヨームの一件では娘が世話になった」
おや?意外と腰の低い人だな。話し方からも割と温厚なのが窺える。
「いえ、大したことは」
「そう謙遜しなくていい。聞いたところ、最近街に来たのに、とても勇敢な行動だった。改めて、礼を言おう」
「ありがとうございます」
エヴリーヌがあんなのだから父親はどんな奴かと思っていたが、結構いい人そうだ。
すると、後ろの扉が開き、2人の男性が入ってきた。
片方は少し太った男で、もう片方は好青年と言った感じだ。
「おぉ、ルッツ殿、待っておりました」
「こちらこそ、王様、お招きいただき、ありがとうございます」
「リョウタロウくん、紹介しよう。貴族のルッツ クヌート リーヌス殿と、その子息のエッカルト君だ。彼が、エヴリーヌの婚約者なのだよ」
「ルッツです。よろしく」
「こちら、イバラ リョウタロウです」
「ほう、珍しい名前ですな。出身はどちらで?」
あーやっぱ聞かれるよなー
「途方もないほど遠くですよ」
「エッカルトだ。よろしく」
「こちらこそ」
お互いに握手を交わす。
2人ともなかなか雰囲気の良い人たちだ。エヴリーヌは何が嫌なんだ?あるとしたら……エッカルトの性癖とか?
「君は、しばらくエヴリーヌ様と一緒にいたそうだね?」
「ええ、振り回されてばかりで。彼女と結婚したら、苦労しますよ」
そんな感じの会話を4人でしばらくした。
「そうだ。せっかくだし、リョウタロウくんも、1週間後の結婚式に参列してはくれないか?」
「いいんですか? 部外者ですが」
「私たちは構いませんよ」
「ええ、僕も」
そんなこんなで結婚式に参列することになった。タキシードは王様が用意してくれるらしい。
太っ腹な王様だ。
民から好かれるのもわかる気がする。
帰る途中、フベルトに呼び止められた。
「どうだった?」
「まあ、感じのいい人たちじゃないか? エヴリーヌは何が不満なんだ?」
「それが……(ゴニョゴニョ」
「はは〜ん。そういうことか……王様は?」
「知るわけない。証拠がないのに言えるものか」
「そのためのお前たちだろうが」
「騎士団にもそこまでの権限は無いんだ。そこで、リョウタロウに頼みがある」
嘘はいくら塗り固めてもいつかはバレる。
俺が転生者ってことも、いつかはバレるのかも知れないが、少なくとも、当分先だ。
次回、結婚式




