表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
大和魂は異世界受けする
2/45

人との関わりは大切な物

 気がつくと、よくわからない空間だった。

 もっと具体的に説明しようにも、よくわからないのだから、どうしようもない。

 少しすると、何処からか、女性が1人歩いてきた。


「あなたは、イバラ涼太郎リョウタロウさんで合ってますね?」


「は、はい」


「おめでとうございます。あなたはこの度、誰もが夢見る異世界への切符を手にする人に選ばれました」


 ん?なんだ、こいつ。急に現れて選ばれただのほざきおって。俺の中で、この女は「ヤバイ奴」に分類されたぞ。

 

「すまない、状況が飲み込めないのだが?」


「ですから、選ばれたのです。これからあなたを、異世界に飛ばします」


 成る程、こいつは本当に「ヤバイ奴」らしい。

 するとここは何処だ?拐われたのか?いや、にしては拘束がない。


「まず、ここは何処で、お前が誰なのか教えてくれるか?」


「私は神のメウで、ここは神の世界です」


 お巡りさんこいつです。

 「ヤバイ奴」通り越して「イカれた奴」だったわ。なんなら薬物中毒者か?


「そんなの信じられるか。はやく元のところ戻せ。神なら出来るだろうが」


「出来ません。1度死んだ者は2度と同じ世界には帰れないのです。」


「ん? 死んだ? 俺が? 一体いつ、どうやって?」


 状況が急すぎて、頭が追いつかない……いや、思い出してきたぞ。そうだ、確か、一瞬に目の前が真っ白になって……体が爆発したような感じが……


「もしかして、あの雷か?」


「……はい」


 なんだその溜めは。

 とにかく、本当に死んだのか?となるともう戻れない?

 一気にいろんな感情が込み上げてきた。

 両親への謝罪の気持ち、親友達に会えなくなることが寂しい気持ち、ピーちゃんに提出物出し忘れたことへの申し訳ない気持ちと、あげたらキリがない。

 しかし、さっきから、この自称神様の女の様子が変だ。目が泳いでいたり、忙しない印象を受ける。

 なにかやましいことがあるのか?そういえば、「選ばれた」とか言ってたな……


「なあ、選ばれたのに、死ななきゃならなかったのか?」


「っ! そ、それは、神隠しにするわけにも行かず……」


 怪しい。間違いなく何かを隠している。

 こう見えてもシャーロックホームズなどの、推理物の小説とかをよく読んでいたのだ。

 そこら辺のミステリーはだいたい序盤で犯人が分かるくらいにはなっている。


「なあ、本当は選ばれたんじゃないんだろう? 何か理由があって死んだ、俺はまだ死ぬ予定では無かったんだろ? となると、なにかのミスか? 誰のミスだ? 知る権利、あるよなぁ?」


「うぅ……」


 メウと名乗った女神は少し間を置いて、決心したようだ。

 次の瞬間、土下座した。


「すいませんでしたぁぁぁ!」


「へ?」


 予想外の反応にこっちが驚いたわ。

 

「実は、人界の監視中に、コーラでも飲もうと思ったら、目に炭酸が入って、その勢いで、殺しちゃいました! 本っ当に、すいませんでしたぁぁぁ!」


 女神は泣きながら謝罪を続けているが……え、何?俺の人生炭酸に負けたの?二酸化炭素に?え、ちょ、それはそれでショックなんだけど……


「それで、帰せないんだっけ?」


「うぅ……はい」


 怒りで暴走しそうになるが、落ち着いて、よーく考える。

 人(まあ、こいつは神様らしいが)は誰しも失敗する。俺だって何回もしたことがある。

 向こうも、こうして誤っているし、ミスに対する謝罪として、異世界に行くことができるのだろう。

 ボコボコにしたいのは山々だが、ここは許してやろう。


「メウって言ったか?」


「……はい……って、くぼぁ!」


 俺は女神の顔面目掛けて右ストレートをかました。

 ボコボコにしないのは決めたが、1発も殴らないとは決めてない。

 今の拳には、俺の全てが詰まっていた気がした。


「2度と同じミスはしないこと。いいな……」


 こんな目に他の人が会うのは正直俺も気分が悪い。


「は、はい……」


「それで?異世界に行くって、このまま行かせる訳じゃないんだろ?」

 

 そうと決まれば、切り替えよう。悲しむのは後でいい。


「はい、えっと、転移と、転生、どっちが良いですか? 転移は、体を新しくして、どこかに飛ばす、転生は、どこかの家庭で、生まれ直す感じですが」


「転移で頼む。思い出は無くしたくないしな。命と違って」


「ぐっ……では、新しく、異世界に行くための、体を作りますが、要望はありますか?」


「そうだな、外見はこのままでいいや。慣れてるし」


「わかりました。では、向こうのルールブックを出しますね」


 そう言うと、女神は、どこからともなく、ド◯◯もんの如く、分厚い本を取り出した。

 こうしてみると、神ってスゲェ。中身ポンコツ以下だけど。

 

「まず、ステータスですね、項目は、筋力、俊敏、器用、耐久、魔力の5項目で、15のポイントを振り分けてください。」


 ルールブックを見た感じ、筋力は、力に関係する物全般の能力。 

 俊敏は、速さに関係する物全般の能力。

 器用は、そのまま手先の器用さが要求される物全般の能力。 

 耐久は、打たれ強さなど、生命維持に関係する物全般の能力。 

 魔力は、魔法を使うためのエネルギー量と、扱うための技量に関係する物全般の能力らしい。

 そして、その15ポイントで、ステータスの比率を決めるらしい。

 たしかに実際の数値をいちいち振っていられない。


 俺は、異世界で、どのような生活をしたいか考えた。

 ルールブックの内容に寄れば、異世界は正にゲームの世界で、モンスターや魔法、魔王なんかもいるらしい。

 正直、そんな世界に行くなら戦闘したい。

 考えた結果、筋力2、俊敏7、器用2、耐久2、魔力2にした。

 どこかの赤い彗星も言っていた。「当たらなければどうと言うことはない」と。

 

 さらにそれから結構時間が経ち、俺の新しい体が出来上がった。


「では、良いですか?」


「あぁ、これでいい」


「それでは、いってらっしゃい」


 またしても目の前が真っ白になった。そのほんの一瞬の間に、いろんな人の顔が頭をよぎった。

 実際にはそんなことにはなっていないのだろうが、俺は多分、泣いた。

 周りの人と会えなくなるなら、もっと色々話しておけば良かった。


人は、いつ会えなくなるかわからない生き物だと言うことを、身をもって実感した。





次回、第2の俺!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ