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ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
大和魂は異世界受けする
18/45

犬は人間より早く成長する。

前回学んだこと

異世界で賢いのは人間だけじゃない。




 初の4人でのクエストは成功したが、心に深ーい傷を残した。俺とフェリクスはそこそこ大丈夫だったが、エヴリーヌとディアナにはちとキツ過ぎたらしい。

 3日ほど部屋から出て来なかった。出てきた時は恐ろしいほど食事を取った。


「太るっての……」


 まあ、腹減るだろうさ。でも食い方ってもんがあるだろうよ。

 俺とフェリクスも流石に休暇として、その間小鹿亭でゆっくりしていた。

 そして、1つ気が付いたことがある。

 ロボルについてなのだが、成長が早い。

 連れてきた時は子犬くらいのサイズだったのに、少なくとも、エヴリーヌとディアナが食事したときには柴犬くらいになった。

 最初は寝ぼけてるのかと思ったが、違った。

 もう少し大きくなりそうだが、いくらなんでも早過ぎないか?

 その時は、「まあ、育ち盛りで、親がアレだからだろう」と思っていた。

 しかし、蜘蛛の一件から帰ってきて、1週間、サイズがゴールデンレトリーバーくらいまでになった。

 んー、異常だ。

 ロボルに、「何か食べてるのか?」と聞いても、首を横に振る。というか、いつの間にこれが否定を意味するって覚えた?

 正直、最近エヴリーヌ達よりロボルが怖い。親のサイズになったら流石にここでは飼えんぞ。

 それにしても、最初の時に比べて、めっちゃ凛々しくなった。

 顔つき、体のライン、牙、爪、全てが親に似てきた。そりゃあ親子(?)なんだから似るのは当たり前だが、犬というより、狼に近いか?

 ……犬ということにしておこう。

 そして、そのロボルだが、非常に頭が良いのだ。この間、部屋のトイレを使っていた時は、中に人でも入っているのかと、背中にチャックを探したものだ。

 その上、身体能力もとんでもない。

 これは本格的に“お供”に出来そうだな。


 気になった俺は、かなり回復してきたみんなを置き、ロボルとクエストに行ってみた。

 クエストは野犬の退治。

 結果は、成功だった。

 しかし、成功の仕方が少しおかしい。

 目標の野犬を見つけてからのロボルと言ったら、ハンターそのものだ。

 正直、狩りの域を超えている。なんなら、“駆逐”や、“陵辱”の方が言葉的には似合う。

 そして仕事を終えたら、いつも通りの可愛い顔で尻尾を振りながら戻ってくる。

 口周りと足が血でベトベトだけどな……

 もしかしたら、俺はとんでもないものを飼っているのかも知れない。

 そんなロボルだが、小鹿亭でいる時はかなーり躾のされた犬だ。

 お昼寝もするし、呼んだら膝の上で寝転がる。

 もし話せるなら是非問いたいね。「お前はなんなんだ」と。

 

 蜘蛛のクエストから1週間と2日。

 遂に(喜ぶべきことではないが)、エヴリーヌとディアナが復活した。

 やる気は前より無いが、問題なさそうだ。

 

「世間の厳しさを知ったか?」


「身に染みたよ。」


「はい……怖かったです。」


 この1週間、カミラが2人の看病(?)に部屋に入ったりしてたが、たまに部屋からすすり泣く声が聞こえて怖かった。

 まあ、流石に“怖い”を超えて、“恐怖”したらしいから、哀れみも混みで、飯を作ってやった。


「ほれ」


「「いただきます……」


 今回は、フェリクスの店の協力もあり、良い鮭が手に入った。俺はこれでシチューを作った。そう、鮭のシチューだ。

 シチューに魚は、普通、あまり見ないだろうが、なかなかに合うのだ。

 鮭の脂の旨みと、ホロホロした身がシチューのコクと混じり合って、なかなかに美味しい。

 本当は、刺身とか寿司とか、あら汁、味噌汁とかにしたいのだが、仕方がない。

 しかし、エヴリーヌ達はもちろん、犬(?)のロボルにもかなり好評だ。

 料理人として、自分の料理を「おいしい、おいしい」と言いながら笑顔で食べてくれるのは素直に嬉しく、こっちも笑みがこぼれそうになるが、隠す。

 理由は簡単。

 これにつけ込まれて料理当番にはなりたくないからな。なっても良いのだが、その時はまだだ。俺の守備範囲というか、得意分野はあくまで和食だ。

 だから、こいつらに本気を見せるのは和食を作った時だ。

 実際、俺の和食に比べたら、洋食はまだまだ未熟だ。

 前に爺ちゃんに教わったのだ。


「いいか?本当の料理人ってのはな、半端な料理を出しちゃいけねぇんだ。本当の料理人は、人間の代表的な3大欲求の1つ、“食欲”を満たすことを仕事にしてるんだ。つまり、その人の体……いや、人生の3分の1は満たすものを出さなきゃならねぇのさ」


俺は、親友との約束とか、いろいろと守れなかった。まあ、俺のせいじゃないが、そこは関係ない。

だからせめて、せめて家族に教わったことだけは守って生きていきたいんだ。


 シチューを出してから2日後気づいたが、(ロボルって犬系だよな……あれ、シチューに玉ねぎ……)


 ロボルはというと、カミラにワシワシされている。

 まあ、ロボルはスゲェってことだな。うん。深く考えたら負けな気がする。








次回、旅行へ行こうぜ!



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