女性は意外としつこい生き物(個人的な意見)
前回学んだこと
親が親なら子も子だな
ロボルが来てから、1週間が経ち、遂に小鹿亭にフェリクスが来てくれた。
これでようやくこのズレた奴しかいない宿に常識が生まれたのだ。
しかし、この1週間、本当に色々あった。
この前、クエストに行く際にしっかり話したお陰でその後は「一緒に行く」とかは言い出さなくなったものの、逆に、小鹿亭に居る時に余計に突っかかって来るようになった。
カミラとの関係は1番いい。
宿泊客と、宿のオーナーという関係で、非常に安定している。
しかし、ほか2人はダメだな。
エヴリーヌは結構な頻度で一緒に何かしようと行動する。簡単に言えば、かまってちゃんだ。
ディアナは、最近俺のメイドにでもなろうとしているのか、やたらと世話をしてくる。
普通の男性なら大喜びするだろうさ。
クエストから帰ってきたら、荷物を預かり、ご飯の配膳から片付けまでやってくれるスタイルのいい美人エルフ。
現世の男性の欲望がほぼほぼ詰まっているようなものだ。
断っているからやってないが、本人がその気になれば、部屋の掃除とかもしてくれる勢いだ。
おかげで、最近の1番の心配事は、俺の外出中にディアナが部屋をいじってないかだ。
有難いのは有難いが、生まれてからずっと自分でなんでもするように育てられて来た俺としては、慣れないというか、むず痒いというか……
とにかく、人になんでもやってもらうということが好きではないのだ。
あと、女性経験がない俺からすれば、初めてにしてはハードルが高い。
「なあ、リョウタロウ!フェリクスがここに来たお祝いに料理を……」
「なんのお祝いだよ。お前ただ俺の飯食いたいだけだろうが。」
あと、エヴリーヌが何かにつけて俺に飯を作らせようとしてくる。
別に、王城の料理人を軽く見ている訳ではないが、王女1人満足させられない料理人って逆にどうなのよ。
すっかり俺の飯に舌が肥えてやがる。
別に作ることは嫌ではないが、なーんか気に食わないんだ。うん。
エヴリーヌといい、ディアナといい、事あるごとに「リョウタロウ、リョウタロウ、リョウタロウ」って、犬か。お前らは。
ロボルの方が断然行儀がいいぞ。何せ来て1日でお手やらお座りとか一通り覚えた上、トイレもしっかりできるし、こっちの言葉を完全に理解している。
王様、あんたの娘は、拾ったワンコより頭が悪いぞ。
フェリクスが来た日の晩ご飯で、いつも通り2人が突っかかって来た。
「なあリョウタロウ、この間言われたことを受けて、実はこの1週間、私たちもクエストに行って来たりしたんだ」
ほう、鍛えることを覚えたか。まあ、パーティ組むなんて気は毛頭ないけどな。
「しかし、2人では不安だから、フベルトを連れて歩いたんだが、リョウタロウの言った通り、なかなか難しいな」
フベルト連れるのは反則じゃね?
まあ、美人2人だけでクエスト行ったり、街歩いたりしたらそれはそれで面倒を持って来そうだから良いけどさ。
あ、勘違いしないで頂きたいのは、俺が認めてるのは“見た目”だけであって、性格は別だからな?
「それで、私たちは、フベルトと一緒に自分を強化して、フベルトからお墨付きを貰ったんだ」
「なんの?」
「フベルトが、「これくらい出来れば、十分冒険者としてやって行けるだろう」って」
あのバカ。こいつを調子に乗らせるとは。
「だから、明日から、一緒にクエストに……」
「だーかーらー。前に話したこと覚えて……「いいんじゃないか?」……え?」
予想外の事を言ったのはフェリクスだった。
「前衛2人に、援護1人、ヒーラー1人って結構理にかなったパーティ構成だと思うが。それに、そのフベルトって人、この国の騎士長なんだろ? その人に認めて貰ったのなら、1回くらいは良いんじゃないか?」
あー、そうか。フェリクスの身になってみれば、俺がなんで断ってるか分からないのか……これはまずいな。3対1なら勝ち目ねぇじゃん。確かに合理性追求したらその結論に至るよなぁ。俺も分かってたけどさぁ。
「わかったよ、わかった。連れて行けば良いんだろ?」
流石に折れるわ。
しかし、後ろから魔法でドーンで「ごめんね! 誤射しちゃった! テヘ!」なんて辞めてくれよマジで……そんな事して見ろ?許さねぇからな。
「ふふ、フェリクスは物わかりが良いな!」
いや、お前の意図を汲んだ訳じゃないぞきっと。
しかし、これまでなんとかこの2人を避けて来たのに……遂に逃げられなくなってしまったか……
嘘がいつかバレるのと一緒で、世の中逃れられないものってあるもんだな……
少なくとも俺から逃げられると思うなよぉ!?空から見てるダメ神さんよぉ!
次回、パーティで、いざ!




