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ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
大和魂は異世界受けする
12/45

日本人は押しに弱い。

前回学んだこと

食べることのありがたみ




 小鹿亭に戻ると、カミラとエヴリーヌが談笑していた。


「あ、リョウタロウ、良く帰ったな!」


「お帰りなさい。ならず者達のこと、聞きました。ありがとうございました」


 そう言うと、カミラは丁寧に頭を下げて感謝の言葉を述べた。


「別に、気に入らなかったのは俺も一緒だし。それより、体は大丈夫なのか?」


「ええ、おかげさまで。あと、聞いたけど、リョウタロウさんって、お料理得意なんですよね?」


 こいつ、余計なことを喋りやがって。


「ま、まあ。長いこと1人で生きてるから、それなりには」


「さあ、今晩は何を作ってくれるんだ?」


「食わせてもらう立場のくせに偉そうにするな。カミラが戻ってきたんだし、いいだろ」


 すると、エヴリーヌは頬を膨らませて、「ブー」と言った。


「可愛くおねだりしても嫌だね。誰がお前なんかに……」


「あ! 可愛いと言ったな! なんだ、意外と素直じゃないか」


「カミラ……こいつぶん投げていいか?」


「普段、あんまり人とふざけあったりしないから。大目に見てください。いま、ご飯用意するね」



 俺は、その日の晩はカミラのご飯を食べて、眠りについた。

 異世界に来てから3回目の睡眠。まだ少し実感が湧かないと言うか、心のどこかで「夢であってほしい」と願っている自分がいる。

 そんな事を考えていると、あっという間に眠りについてしまった。


 翌朝、起きてから、同じように身支度をし、1階に降りると、何やら声が多い。

 見てみると、エヴリーヌ、カミラの他に、金髪の美女が居た。誰かと思えば、昨日助けたディアナだ。


「あ、リョウタロウさん、おはようございます。こちらは……って知ってるか」


「えっと、あなたが、イバラ リョウタロウさんですか?」


 昨日は気絶してたからあんまり気にしなかっけど、やっぱエルフって美人だな。

 綺麗な金髪、すらりと伸びる体のライン、人形みたいな顔。現世の男性の誰もが憧れる女性だな。

 しかし……わかってはいたが……デカいな。色々と……


「あ、あぁ。体は大丈夫なのか?」


「はい。お陰様で。本当にありがとうございました」


 ディアナが頭を下げる。と、同時に色々揺れる。そりゃあもう地震のように……そりゃあ異世界だもんなぁ……こう言うこともあるか……落ち着け……これからも似たようなのに会うかもしれないからな……


「まあ、成り行きみたいなところもあったし、気にしなくて良いよ」


 すると、ディアナは、頭を上げた。


「あの、お礼と言ってはなんなんですけど」


「あぁ、ブラスに奢って貰ってるから、それでいいよ」


「いえ、それとは別で……」


 マジか、ブラス、奢るだけじゃ足りなかったのかな。まあ、仲間思いの良い奴だったからな……


「その、私が、しばらく、身の回りのお世話をさせて頂きたく思っています!」


 んー、耳掃除してなかったか?俺。


「……いや、エルフのみんながキャラバンで待ってないのか?」


 エルフ達は、エルフの集落と、ここら辺の集落や国を行き来して、物物交換で、様々なものを買って、交易しているらしい。

 昨日ブラスから聞いた。


「みんなに、話を伝えたら、ブラスが「あいつ基本1人ぼっちみたいだから、社会勉強も兼ねて、行ってこい!」って」


 ブラスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!

 やはり助けるべきでは無かったかぁ!?盗賊は盗賊らしく、漁夫の利でも狙っていれば良かったのかぁ!?あと、基本1人ぼっちって馬鹿にしてんだろ!いや、実際今は1人だけど!


「ふふ、リョウタロウも隅に置けないな!」


「次同じこと言ってみろ?3枚におろすぞ?」


 しかし、どうしたものか……追い返すのも申し訳ない気がするし……


「わ、わかったけど、まずは友達からという方向で、よろしい?」


「は、はい!」


 すると、ディアナは嬉しそうに笑った。

 くっ、陰キャに美女の笑顔は眩しく、厳しい!


「と、とりあえず、俺ちょっと出かけてくるわ」


「あ、私も……」


「いや、ちょっと1人で出掛けさせて……あと、カミラ、もう1週間泊まるわ……」


 そう言って、カミラに宿代を渡す。


「わかったよ。1週間追加ね!」


「うぅ……邪魔なのかな……」


 そう悲しそうにするなよ。俺が悪いみたいじゃないか。


 と、とにかく、1度何かで気分転換しよう。

 そう考えて、俺はギルドに向かった。そこで、昨日のリザードマンに出会った。


「あ、おーい」


「あ、魚屋の」


「考えたんだが、一緒にいてもいいか?」


「そっちがいいなら、俺は全然オーケーさ」


 今は特にな!身の回りにまともな奴が欲しかったんだ!今日になって、尚のことな!


「と、自己紹介がまだだったな。俺はフェリクスだ。フェリクス ジル。改めて、よろしくな」


「イバラ リョウタロウだ。魚屋の客としても、よろしく」


「早速なんだが、ちょっとしたクエストに行かないか?」


「もちろん。今ちょうどそういうのを望んでたところだ。」


 それから、丸1日、フェリクスとクエストで体を動かした。

 フェリクスは、大剣を扱う剣士で、リザードマン特有の鱗で、ちょっとの攻撃ではダメージが無い。

 ゲームでいうところのタンク、敵の注意を引き、みんなの盾となる役だろう。

 大剣を持っているわりには身軽で、いい動きをする。こう言う奴がパーティに1人いるとかなり違うんだよなぁ。ありがたい。

 なにより、常識人という点が非常にありがたい。


 アリスターに戻り、小鹿亭に誘ったが、フェリクスは、もうしばらくリザードマンの仲間と共に寝泊りするらしい。

 たしかに、まだ名残惜しい部分があるのだろう。

 しかし、俺としては速やかにこちらに来てほしい。

 なぜかと言うと……


「それで、リョウタロウさんは、そのオークの頭を……」


「それは凄いな!料理だけでなく、冒険者としてもしっかりしているとは……」


「ねえ、その料理ってどれくらい美味しかったの?」


拝啓、現世にいる我が親友達よ。

俺は今、非常識な女3人に囲まれている。

出来るなら助けてくれ……


 その晩、ディアナが俺の部屋を訪ねてきた。


「あのー、リョウタロウさん、その、一緒に……」


「いいから! 会って2日経ってない友達と一緒の部屋で寝ることないから! はい! 自分の部屋にもどる!」


ちょ、わりとマジで助けて……

いちいち悲しい顔するから、心が痛む……


次回、俺たち、パーティ?


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