食材に感謝を。
※未成年の飲酒、喫煙はダメです!
第1話と、第2話を大幅に改稿しました!
良かったら見てみて下さい!
前回学んだこと
太ったやつを侮ってはいけない。
ブラスに連れられて、アリスターへ戻り、そのまま店に連れ込まれた。
助けたディアナは、まだ意識が戻らず、1人のエルフの女性が寝泊りするところで看病しているらしい。
店で小1時間程食事に付き合い、やっと解放された。
嫌という訳ではないが、俺は酒が飲めないから、彼らのテンションについていけないんだよな。コップ1杯分は飲んだが、まだお酒の良さが分からない。
とりあえず、当初の目的の、薬草の納品をするために、ギルドに向かった。
ギルドは、夕方だというのに、まだまだ混んでいて、朝と大差がない。恐らく、夜もこの調子なんだろうな。全く、パリピには困ったものだ。
薬草の納品をすると、受付の人から報酬を貰った。大した額ではないが、冒険者の第1歩としてはまずまずだろう。
それと、今晩から、筋トレを始めないとな。マジあの棍棒持った時肩外れるかと思ったわ。
女にしろ、武器にしろ、身の丈に合わないことはやらない方が良いな。
小鹿亭への帰り道に、晩ご飯を考えていると、昨日の魚屋が目に入った。
とりあえず、スパゲティでも作ろうと思っているので、用事は無いのだが、顔を出してみよう。
ああいう店の店員と仲良くなっておけば、後々、おまけが貰えたりするし、値引きだってしてくれたりするんだ。
そういえば、現世の時の八百屋のおばちゃん、元気してるかなぁ。
魚屋を覗くと、何やら活気がない。
「おい、なんかあったのか?」
「あぁ、昨日のあんたか。実はな……」
すると、横から知らないおじさんが割って入ってきた。
「おい、あんちゃん、ここの魚はやめといた方がいいぜ」
「なんでなんだ?」
「こいつらの魚の取り方は、噂だと、でっかい化け物に取らせてるらしいんだ。その上、こいつらの集落からアリスターまでは結構かかるからな。鮮度がイマイチなんだよ」
おじさんは、「こんなもの食えるか」といって店の商品の並んでいるテーブルを蹴った。
「はぁ、これだから素人は……」
「なんだって?」
実家が旅館で、前に料理についてあらゆることを叩き込まれた俺としては、食材のありがたみや、命への尊敬の足りないやつは大嫌いだ。
「あんた、魚の鮮度の見分け方しらないだろ?」
「は?」
「まず、ここに並んでる魚はほとんど、目が透き通っているし、エラの赤い色も綺麗、身も死後硬直であまり固くなっていない。どうやって保存してるのかはわからないが、ここに並んでいるものは間違いなく良いものだ。それを、取り方だの、場所が遠いだのでいちゃもんつけやがって、食材への感謝が足りてないんじゃないのか?」
「だ、だって、化け物に取らせてるんだぞ!?」
「どこが問題なんだ?世の中にはな、ある種の鳥の首に紐をくくりつけ、その鳥に魚を2、3匹丸呑みにさせて、吐き出させて魚を取る立派な漁法だってあるんだぞ」
おっさんは、俺に気圧されたのか、悪態を吐きながら、去っていった。
そういえば、この世界にも鵜飼ってあるのか?なかったらすげー小っ恥ずかしいんだけど。
「ありがとうな」
「気にするな。あぁ言う人、嫌いなだけだから」
そして、今気付いたが、店員のリザードマンが、防具をしているのに気付いた。
「その防具は?」
「これか? 実は、副業で冒険者もやっててな。将来は、村を守れるくらいにはなりたいんだ。俺たちの村は、小さくて、戦える者が少ないからな」
「そうか。立派な夢だな」
「本当は、誰かと一緒に活動したいんだが、良い人が見つからなくてな」
「じゃあ、俺と一緒にやるか?」
「え?」
「いや、俺も今日冒険者の第1歩を踏み出したひよっこだから、あまり大きいことは言えないけど、一緒に成長するくらいは出来るかなってな。流石に、1人でずっとやっていくのも、リスク大きいし」
これは本当だし、彼なら、しっかりとした目標を持っていて、根も悪い人では無さそうだからな。
「そうか……今晩考えてみるよ」
「わかった。俺は、この先にある小鹿亭で寝泊りしてるから、答えが出たら、来てくれ。店のこともあるだろうし、今晩と言わず、ゆっくり考えて良いぞ」
「ありがとう。じゃあまたな」
「あぁ、またな」
この世界に来て、また良い友人を持てた気がする。
正直、転移の件で、友人とかを作るのが少しトラウマだが、人間1人では生きていけないからな。
友達は、素晴らしいものだ。
だからこそ、失った時の悲しみは素晴らしさ以上に大きい。
だからあのダメな神はもう1回ボコボコにする必要があるな!
次回、呼んだのはリザードマンだけだぞ?




