同じ世界での召喚
「ここは、何処でしょうか?」
私は目の前の人物にそう尋ねていた。ここで少し私について話そう。私ースィエル・ディ・アンジェロは日本の女子高校生の記憶を持つ普通の?天使族の少女だったのだ。まぁ元の自分の事はあまり覚えていないが困ることがあるはずもない。(違う世界だし) 空に浮かぶ天彩国の自室でのんびり寛いでいたはずだったのだが、足元が光ったと思ったら全く見た覚えのない空間に座り込んでいた。(日本で言うところの召喚魔法かな〜)なんて考えていると、綺麗で心地のいいテノールボイスが聞こえてきた。顔を上げると、絶世の美女が...ん?男だな、(まぁ漆黒を溶かした様な髪に紫水晶の目とか、顔のパーツも綺麗すぎて人間味がないな)
「驚かれるのも無理ありません。ここは、ウィルダーネス王国の城にある実験室の様なものです。突然でもうしわけないのですが、私と結婚して頂けないでしょうか。」
ふーん結婚ね〜まぁ、政略結婚があるくらいだし初対面なのは別にいいけど、私に利点はあるのかしら。
「私に利点があるのなら、それで構いません。」そういうと、目の前の男?は驚いた様に目を丸くしていた。
「ありがとうございます。名乗るのが遅れてすみません。私は竜族が治めるウィルダーネス王国国王、シュトラール・シエル・ウィルダーネスと言います。利点とはどの様なことをすればいいのでしょうか?」あーどうしよ。天彩国に無いもの。...あっ。貿易とかなく無い?天使族の人ってあんま気にして無いもんな、言うだけ言ってみるか。
「あの、私たちの国との貿易とかどうですか?比較的自由な国なので私たちの領となら国から了承が得られると思うんです。」そういうとシュトラール様は、隣の人と何やら話し始めた。(うわ、もう一人いたわ、気づかなかった)
「こちらに不利になりすぎないなら、その案を呑みましょう。失礼ですが国と名前と種族を...」と、至極言いにくそうに尋ねられた。(ヤバ名乗り忘れてた)
「申し訳ありません。天彩国のアンジェロ公爵が娘スィエル・ディ・アンジェロと申します。天使族です。」そういうと二人は、驚いた様に「天使族それに天彩国って...」とか何やら二人でブツブツ喋っているが不都合があったのだろうか。
「あの、何か不都合でも?」というと、はっと顔を上げ
「いえ、天使族はあまり他の国と関わりがないと聞いていたので、」
「私たちは家族愛が高いのですが他は、気に入ったもの以外無頓着で、あぁ貿易は問題ありません、これでも家族と仲がいいので宣伝してもらって気に入って貰えれば一気に売れるはずです。」
ん?なんか反応が、なんかアッサリ花嫁がとか、こちらにも上手い話だがとか言っている...気にしないのが一番。
「それで構いません。なんの商品を貿易するのかは、あとで話し合いましょう。」よし、日本料理の材料仕入れて広めちゃおう!思い立ったら吉日だと、鳥型の連絡用の魔法を展開する。今までの内容を全て記憶させる。よし、行け!と鳥を飛ばした。
「で、いつ結婚式ですか?」と聞いた。だって気になるしねー
「結婚式はしない。竜族は、独占欲が強く番は見せたがらない傾向にあるので大丈夫です。他に何か質問はありますか?」
質問、質問、あっ「番って私なんですか?後、子供はつくるべきですか?」って言ったらゲホゲホっとむせられた。だって必要なことじゃん。
「えーまずあなたを召喚する条件が番であることなので、間違いありません。我が国は世襲制なので、子供はあなたに産んでもらうことになります。そもそも番を持つ種族は、番以外に欲情できなくなるんですが。」うわー顔が赤くなってる。色気ヤバイ。子供はまぁ覚悟してたし先の未来が早まっただけかな。
「分かりました。えーこれからどこに住めばいいですか?」多分ここから家まで帰れないこともないと思うけどめんどくさいしな。とか思ってたけど、王妃様の部屋に住むことになるらしい。ラッキーなのかな?なんて思いながら、ちょっとブラックアウトしました。(笑)
スィエルは痴女じゃありません。結構必要なことを聞いてます。(多分...)