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研究をさせてください

作者: 上原 薫子

 

 さて、問題です。


 蜘蛛の巣に引っ掛かって飛べなくなっている蝶を見つけました。さて、あなたはどうしますか?


 ⒈蝶を助ける

 ⒉蝶を助けない


 兄の正志(ただし)は1を選択し、弟の雅志(まさし)は2を選択した。


「見てないならまだしも、しっかりと見てしまいましたからね。なんだか放っておけない気がしたので。」


「え?なんで自分の手を汚してまで虫を触らないといけないの?人だったら助けるよ〜。ま、状況によってだけど。」


 では、実際に蜘蛛の巣に引っかかっている蝶を用意してみましょう。さて、兄と弟はどうすると思いますか?


 結果

 兄(正志)の場合:本当は虫が苦手で、蝶なんて触れなかった。だけど、その辺に落ちていた木の棒を使って蜘蛛の巣を壊し蝶を助けた。


 弟(雅志)の場合:蜘蛛と蝶の様子をじっと眺め、もうすぐ蝶が食べられてしまうという直前に蝶を助け、空に離した。



 弟は助けないと言ったはずなのにどうして蝶を助けたのでしょうか?詳しく内容を見ていきましょう。



 兄(正志)は、虫が苦手で蝶なんて触れなかった。だけれども、その辺に落ちていた木の棒を使って蜘蛛の巣を壊し、蝶を助けた。


 しかし、兄は蝶を空に離してはいない。兄にとって、蝶に対して行った助けるという行動は、一時的に蜘蛛から救ってあげることであり、それ以外のことなんて何も考えていなかった。


 木の棒で蜘蛛の巣を荒らしたことで、巣は壊れた。しかしその壊れた巣の糸が蝶に絡まり、蝶は更に身動きを取りづらくなってしまった。


 虫を触れない兄は、もうどうしようもなくなってしまったと気分を落とした。


 その後何を思ったのか、兄は持っていた木の棒の先端に蜘蛛を乗せ、それをあろう事か蝶が絡まっている所にその蜘蛛を押し付けた。


 だが、兄の隣には弟の雅志がいた。

 弟はずっと兄の行動、虫たちの様子を観察し続けていたのだ。


 兄の持っている木の棒を引ったくり、蜘蛛を地面に落とした。それから蝶に絡みついている蜘蛛の糸を手で優しく払ってあげると蝶の羽は動くようになり、空へ向かい離してあげると元気に飛んで行った。


「ダメじゃん兄貴。蝶を助けてあげるって言ってたのに、わざと蜘蛛に食わせるような行動しちゃってさ。びっくりしたよ。」

 

「ごめんなさい、雅志…。まさかあのようになるとは推測出来ず混乱してしまったのかもしれません。自分でも何故あのような行動をしたのかよく分からないのです。雅志は虫を触るのが嫌そうだったのに、どうして蝶を助けたのですか?」


「だって、兄貴が困ってたから。状況によって人なら助けるって言ったじゃん。」





 …この研究に使われた蜘蛛の巣、蜘蛛、蝶はすべてそっくりに作られていた作り物です。人の生態を調べることはとても面白いですね。


 蝶は助けられたけど、頑張って巣を張ってやっと捕らえた食べ物を赤の他人に逃がされ、挙句の果てに地面に落とされた蜘蛛は散々ですよね。蝶も蜘蛛も同じ生き物なのに、何故人は蝶を生かすことを優先的に考えてしまうんでしょうか。

 


 それにしても私のコピーは完璧ではないですね。もう少し脳の研究をしないと、これでは誰かにオリジナルではないとバレてしまう。


 もう少しだけ研究にお付き合いをお願いしますね、雅志。





お話をご覧いただきありがとうございました!

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