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桜子さんのおとぎ話

おとぎ話会談

作者: 秋の桜子

 ――――皆様、ご機嫌如何でございますか。


 この度、七つ七夜が出逢う日、紅鏡の鳥がねぐらに帰る時、


 おとぎ話会談を開催する運びになりました。


 場所は「星が1つ最初に輝く竹やぶのお宿」です。


 多数のご参加よろしくお願いいたします。


 スタッフ一同


 ―――――「皆様、ようこそいらっしゃいました」


 美しい黒髪を持つ宿の女将が出迎えた後は、


「三月ウサギ」の仕事、到着される美しく装われた姫君達を会場へとご案内します。


「時間が無い、時間が無い!」


 少々慌ただしいですが、仕方ありません。今宵お集まりになられたのは、古今東西の方々………


 サンドリヨン、白雪姫、赤ずきん、眠り姫そして、かちかち山のウサギ、


 以上のお方達が揃われました。さぁこれから楽しい宴が始まりますよ。その様子を少し垣間見る事に致しましょう。


 ――――「最近、皆様どうしてまして?」


「いかれ帽子屋」が用意したローズヒップティーを優雅に口にしながら、眠り姫が皆に問います。


「そうですわね、私とサンドリヨン子供が居ないので毎日退屈ですわね、お子様達はお元気?」


 アップルパイをつつきながら白雪姫は眠り姫に応じます。


「ええ、ありがとう、あんな事があったけど健やかに育ってましてよ」


 穏やかに会話を広げる王族出身の御二人にサンドリヨンがふと気になってた事を切り出しました。


「ねぇ、御二人に聞きたいけど、私達三人結婚はしたけど、王子様がイマイチって気がしない?」


 ………一瞬の沈黙の後、チラリと辺りを見渡したお二方は顔を見合わせクスクスと笑います。


「アハハ、なーにもしてないもんね。王子様達、誰が一番なーんもしてないかランキングだったら」


 赤ずきんが焼き菓子をかじりながら

 ふーんと考えると、


「サンドリヨン、眠り姫、白雪姫って順番」


 焼き菓子をウサギにすすめながら言いきりました。


「えー!何でそうなるのよ!」


 サンドリヨンは赤ずきんに問い詰めると、隣に居合わせてるウサギが、もひもひお菓子をみながら答えます。


「だって、お城から出てない!眠り姫は探しに行った、でも呪い100年たったら勝手に解けるシステム、白雪姫の王子、守ってた小人説得しただけえらい!」


 ウサギの言葉でサンドリヨン以外は大笑い、ひっどーい!でも真実だわぁーとサンドリヨン………


 和やかに時間は過ぎて行きます。


「そいえば、最近わたし、いいウサギになった、なんかヤダ」


 ウサギがグリーンスムージーをコクコク飲みながら皆に話してきました。


 ふむ、と皆は少し考えますと、サンドリヨンが一言、


「そうよねぇ、このメンバーだと赤ずきん以外はマイルド路線になってるかしら?」


「えー?そうかなぁ?狼のお腹の中からお婆さんと一緒に猟師の叔父さんに助けて貰った後、狼のお腹に石詰めたんだけどなぁ」


 少し残念そうな様子の赤ずきんに、クスクスと笑いながら眠り姫が話します。


「その後狼さんは井戸に落ちてめでたしめでたし、でしたのよね」


「そうそう、何故か最後がカットされてる!でもそれなら眠り姫の方が大幅短縮されてる!」


 赤ずきんの言葉に可笑しそうに笑いながらおとぎ話の『元話!』で盛り上がっって行きます。


 ………「じゃあ!一番短縮されてる眠り姫からご本人に真実を語ってもらいましょう」


 サンドリヨンが眠り姫に話を振ります、それをうけた眠り姫はさらっと、


「何て事ありませんよ、結婚した王子様の義母上様が「人喰い鬼女」でしたから、ちょっと子供共々食べられそうになっただけです。それに義母上様は自分で蛇やらムカデのたらいに飛び込んで仕舞われまして、めでたし、めでたし」


 ホホホとにこやかにお話されました。続いて話すはかちかち山のウサギ………


「じゃ、つぎ、ウサギ、話す、可愛がって貰ってた、おばあさんタヌキに殺された、タヌキおばあさんに化け、おじいさんにおばあさんの肉入った「婆鍋」食べさせた。わたし、復讐に燃えた!」


 可愛いウサギの話に皆は穏やかに耳を傾けます。


「わたし、カラシ味噌作った、タヌキにしばを背負わせて、火付けて火傷させた。その後別ウサギ装いお見舞いに行って、タヌキの背中にたんまりとカラシ味噌塗り込めてやった!フスフスフス!」


 ウサギは当時を思いだし、黒く笑います。


「その後、騙くらかして泥船作らせ溺死させたのよね。めでたし、めでたし」


 白雪姫がウサギのお話をしめました。続いてサンドリヨンが話そうとすると、白雪姫が止めました。


「待って、私が先でしてよ。貴女は設定その物からして違うもの、私は簡単、私達の結婚式に継母上様ご招待して、焼けた鉄の靴履かせて死ぬまで踊っていただき、めでたしめでたし」


 うふふと白雪姫も笑います。最後に残ったサンドリヨンは


「私は、何故なのかしら?魔法のお話になってるのよ、私と母は、魔女なのよ、私の瞳は「邪眼」だから父は私と母を屋敷に閉じ込めてたわ、母が死んでから、継母達が父に内緒で来て、何も知らないあの人達は私を虐げたの」


 ふぅとサンドリヨンはため息をつきます。その様子をご覧になられた白雪姫は気の毒そうに声をかけます。


「お互い継母には苦労させられましたわよね。貴女の場合、義姉様達もいらしてたし」

 

「ええ、美しいですけど、我が儘なお方達でした、でも手伝ってくれる「鳩」達が居ましたから何とかなりましたけど」


 ………サンドリヨンの屋敷には彼女と口を聞いてはいけない契約を彼女の母親と交わした召し使いが隠し部屋に住み、彼女助けていたという。


 継母達の様々な意地悪にも対応し、お城へ行けたのも「魔法使い」ではなく主の願いを彼等が仕事として全うしただけ…………


 12時に帰る、これは継母より先に帰るため、


 金の刺繍の靴を落としたとされるのも、一説には王子の策略で階段に何やら仕掛けたとか、あるいは偶然か?


 最初は言いなりだったサンドリヨンも最後には強さが現れ、


 小さな靴に足を入れるのにはどうすれば良いのか、チラリと義母達に暗示をかける始末………


「入らなければ切れば良いのですね」


 そして最後、付き添い人として立ち合う義姉達のそれまでを思いだした彼女は


「私心配になって、義姉様達は善良ではなかったから。神様のお裁きが下ると思って、御二人を「見」ましたら」


 …………上の姉は、下の姉、下の姉は上姉、お互いの眼をくりぬいたやら、又は、白い鳥が眼をつついて潰したやら最後は完全復讐物語……


 諸説有るが、サンドリヨン又は、灰かぶり姫、又はシンデレラと呼ばれる彼女のお話……


「でも、最後は王子様と結婚してめでたし、めでたしですわね」


 眠り姫様が彼女のお話を閉じられました。


 その後はうらうらと楽しくお時間をお過ごしになられてました。


 女将として大変嬉しく思いましたわ。

 

 ―――――真白の月がお宿の真上になりました。


 さぁ、そろそろ会談も終わりですわね。そろそろご挨拶にいかなければいけません。


 ここまでご案内したのは


 当宿女将の、かぐやと申しあげます。それでは皆様、近くにお立ち寄りになられましたら、是非ともお寄り下さりませ。


 スタッフ一同、極上のおもてなしを致します。



「完」
















 


























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