ある公務員のお話
それでは私の番ですね。私は皆の期待に応えられるかどうか……。
アレは仙台に住んでいた頃のお話です。
東北で大地震が起きるという予報が前々からあったのですが、私は電気なら1日で復旧するだろうと甘く見ていたんです。だから妻が「震災グッズを揃えたい」という言い分を却下してたんです。
ところがあの地震の時電気の復旧は二日くらいかかり、ガスに至っては一ヶ月くらいかかったんです。
私は職場でカンヅメになっていましたが、職場持ちで飲み水と食事は確保していたのである意味快適だったんです。しかし妻子は作っていたおかずとご飯、それが無くなったら冷蔵庫にあった食糧で過ごしていたんです。
その後三日目に実家の父達が来てくれて、妻と子を実家に連れて行ってくれたので、すごく安心したんです。
ただ妻は私の事をものすごく心配して、冷蔵庫にあるもので保存のきく料理を作って凍らせたり、父達に頼んでインスタント食品や震災グッズを実家から調達してくれました。
私の見通しの甘さから不自由させてしまったのに……。
震災の日から一ヶ月近く経ったある日、たまたま早く帰れて帰りかけのガス業者とアパートで鉢合わせして、運良くガス栓を繋げて再開してもらう事ができたんです。
久々にシャワーを浴びて、ゆっくりした気持ちになって、久々にネットを繋げて見たら、持ち株の株式資産が三分の一以下に激減してました………。
マイホームと老後の生活どうしようと一気に青くなりました……。
何より妻が震災前に「無事な内に株売って現金を貯金しよう」なんて言ってたの、鼻で笑って相手にしてませんでしたから……。
その後株はいくらか持ち直しましたが、今でもあの時のことは妻には秘密です。
一同「ホラーか?コレ」
ある公務員「いや、でも背筋が凍ったぞ。妻が知ったら血を見るのは確実だったし。」