ある女子高生のお話
じゃあ私が話しましょう。
私には母方に叔母が二人いるんだけど、上の叔母 ── 仮にAちゃんと呼ばせてもらいます ── が母によると、結構感の良い人なんだって。
母曰く ── 昔から思いついたように誰かの話題をするとその人から電話がきたりとか、昔ヒットして現在休職中の歌手のCDをいきなりレンタルして聞いていたら次の週、その曲が某商品偽装大国によりその国でのオリンピックのテーマ曲としてパクられて話題になっていた、とか。
あと、地震の直前に気づくとか……。
私からしたら、感が良いのかちょっと微妙なんだけど……。
まぁ話を戻すけど、母方の親類と一緒に山へキャンプに行った時の事 ── 。
キャンプに行って夕食を作るために荷を解いたら、Aちゃんがなんと塩を1キロ持ってきてた。
「なんでそんなに持ってきたの?」なんてみんな笑ってたんだけど、Aちゃんは「なんとなく?」と首をかしげるだけだったの。
で、大人達が夕食の準備している間、子供達は小川で遊ぶ事にしたんだけどね?
Aちゃんが「川に近づいちゃダメだよー。」なんて言うから子供達は「えぇ〜?」なんて大ブーイング。
暑い日だったし、なら大人同伴で、という事になったんだけど……。
「ご飯できたよー!」
そうAちゃんが呼びに来たから、子供達はみんな走って戻って行ったんだけど、私は暑いから水に足を漬けてたから戻るのが遅くなっちゃったんだよね。
岸で足拭いて靴履いて戻ろうとしたら、いきなり足首を掴まれて引っ張られたんだ。
いきなりだったから倒れてビックリして足元を見たんだけど、そこには誰もいない。
でも足首には誰かがギリギリと掴んでいる感触があるの。
思わずあげた悲鳴を聞きつけてAちゃんが私の手を引いてくれたんだけど、ズリズリと二人して川に引き釣り込まれそうになっちゃって。
他にも親戚の子とかおじさんがいるんだけど、咄嗟のことで誰も動けなかった。
「誰か塩持って来て足にかけて!」
とAちゃんの言葉にみんな動き出して、弟がおじさんと塩を取りに行って、残った子達が私を引っ張ってくれたんだ。
みんなに両腕を引っ張られて、足首を何かに引っ張られて、もう身体中が痛いんだけど、痛いってよりも怖いって気持ちでいっぱいで。
んで、弟がAちゃんの塩を持って来てくれたのはいいんだけど、なぜかAちゃんの足に塩をかけて………「あたしじゃないでしょう!」なんて怒られて。
おじさんがお相撲さんの土俵入りのように私の足の方へパァッと塩を何度か振り撒いたら、一気に足首を引っ張る力が無くなってみんなで転んだんだ。
もう怖くて泣きまくって、キャンプどころじゃなかったね。
足には誰かに掴まれたような痕が残るし、怖くて川に近づかなかったけど、夜も怖いからコテージの四隅に盛り塩して、みんなでかたまって寝たの。
川辺には二度と近づかないわ。