美女とシャワーともうひとりの美女
「ありがとうございます」
口から出たのは感謝だった。
セクシー女優を遥かに超える、美しい裸体が目の前にある。
彼女は俺を無視して、シャワーを浴び出した。
どれほど経ったからわからないけど、あっという間に終わってしまった。
彼女は蛇口を下げて水を止めた。
水を身体中に滴らせながら、ドアを開け、バスタオルで髪の毛を軽く拭く。
そして、体の水滴を拭き取っていった。
へえ、女の子ってこうやって体を拭くんだ。
全ての水滴を拭き終わると、下着を履いた。素晴らしい裸体がどんどん隠れていく。永遠にさっきの時間が続けばよかったのに。
「本当に、最後まで見ていたわね。
『目を皿のようにして』って、比喩だと思っていたけど、本当にそんな目があるなんて。
今日は初めてのことばかりだわ」
完全に体は隠れてしまったが、部屋着もいい。
ホットパンツみたいな、あるいはホットパンツなのかもしれないけど、そこから出ている足が最高に綺麗だ。
彼女はドライヤーで髪を乾かして、さっと髪を整えた。
「はぁ。
とりあえず、キッチンに行くわ
喉が渇いたから」
そして彼女は俺を一瞥して、脱衣所を出た。
そのまま階段を降りていく。
一階にあるドアを開けるのについていった。
「リビングがこの先にあるから、先に行ってて。
私はお茶を入れてくるから。
ああ、あなたの分はいれないわよ。
飲めないでしょうから」
言われるがままに、そのまま進むと、たしかにリビングはあった。
でも、もっと重大なことがあった。
ソファの上に、神宮さんに良く似た女性が、裸で寝ていた。
えっ?
年齢は神宮さんより少しだけ上っぽい。
勘だけど。
でも裸ってことは、亡くなっているのか。
そうか、だから神宮さんは俺に優しいのかもしれない。
それなのに俺は、スケベ心で彼女の裸を凝視していた。
一気に恥ずかしくなってきた。
「どうしたの?
体を悶えさせているけど」
神宮さんが、コップにお茶を入れて、後ろに立っていた。
「あの」人、と続けようとしてやめた。
彼女は喋れる幽霊を始めて見たと言っていた。
だから、お姉さんとは話せていないんだろう。
それなに、お姉さんのことを聞いていいのか?
普通にダメだろう。
お姉さんのことは、俺からは触れないようにしよう。
「なに?
言いたいことがあるなら、言ったら?」
「いや、なんでもな」「うーん。なに、誰かいるの? ハルちゃん」
えっ?
ソファの方から声がした。
「うーん。なに騒いでるのさって、えっ⁉︎
ハルちゃんが、裸の男の子を連れ込んでる?
どんなプレイしてんのよ。
いきなり高度すぎるでしょ」
神宮姉|(仮)が仰け反って驚いている。
胸は姉の勝ちだな。
ってそんな場合じゃない。
えっ?
どういうことだ?
「お姉ちゃん。
これは幽霊よ」
「えっ、そんなわけないでしょ。
だって声、聞こえたよ?」
神宮寺姉は目を見開いて驚いている。
「ええ、不思議ね。
何故か春日くんは喋れるみたいよ。
春日くん、彼女は私の姉。
家では常に裸の裸族なの。
驚いたでしょ。ごめんなさいね。
まさか帰ってきているとは思わなかったから」
まあ、生きててよかった。本当に。
「とりあえず、私も座らせて。
あと、お姉ちゃんは服を着たら?
話はそれからにしましょう」
動揺していて気づかないかったけど、お姉ちゃんって呼んでるんだ。
神宮さんらしくないて、ギャップがある。すごく可愛い。
「幽霊なら別にいいよ。
触らない、よね?
まさか、触れることもできるの?」
「大丈夫よ。
確認したから」
「なら、やっぱりいいよ。
ああ、ハルちゃんは隣に座りなよ。
で、君はそっちのソファね」
向かいのソファを、神宮姉は指差した。
言われるがままに座ると、神宮姉の裸が真向かいにある。
「で、なんでハルちゃんはこの男の子を連れてきたの?」
ニヤニヤしながら、神宮姉が口火を切った。
「同じクラスなの。
でも、亡くなったことを誰もしらないのよ。
友達でも。
可哀想になったから、連れてきたわ」
神宮さんが憐れみを持って俺を見つめている。
そうか、可哀想だから、俺を連れてきたのか。
「ふーん。へぇー」
神宮姉がふざけた相槌を打つ。
「なにかしら?」
不機嫌そうに神宮さんが睨む。
「いーや。別に〜。
素直じゃないなぁ。
ま、叶わない想いだし、そのまま気がつかない方がいいかもね」
さっきよりももっと、ニヤニヤした後、少しだけ真面目な顔をする。
「なぜか苛立つわね、その顔」
完全に俺が蚊帳の外だ。
まあ、幽霊なんてこんなものだよな。
忘れられるのは、この数日で慣れた。
いや、生きてる間も、忘れられることは珍しくなかった。
友達が俺の知らない友達を連れてきた時とか。
だから慣れてるから、気にしなくていいよ。
お読みいただきありがとうございます。




