憧れの美女と数少ない友達
というわけでやってまいりました、大学に。
いきなり女の子の家だと思った?
残念、友達14人のぼっち舐めんなよ。
彼女の家なんて知るわけないだろ。
誰に向けてこんな口調なのか全くわからないけど、以上なテンションがないとやってられない。
とにかく、彼女が来るのを待とう。
ていうか、本当にいくらでもいるな、幽霊。
電車の中にもうじゃうじゃ、サウナかここはってレベルでいたわ。全裸の奴らが。
話しかけてはみたけど、どうも聞こえてないっぽい。
もしかして、幽霊同士ですら、霊感がないとダメなの?
いやいや、そんなバカな。俺だって霊感はなかったし。
いや、他の家族全員があるなら、魂だけになって霊感に目覚めたのか。
そんな、バカな。
そもそも、触れられないのに、なんで慣性の法則が働く?
本当に触れられないなら、乗り物にも乗れないはずだ。
ていうか、あっ。
来た、神宮春陽さん。
俺と同じ学科で、いや、学部、大学でも1番の美人の女性。
腰近くまでロングの黒髪が美しく、スタイルも抜群だ。
その大きな胸は、きっと男の夢が詰まっているはず。
そして、ギュッと絞られたような細いウエストは、神懸かっている。
さらに彼女は容姿だけじゃない。理系相応しい、冷静沈着なクールビューティさは、身にしみて知っている。
俺は大学入って1ヶ月ほど経った頃、彼女に告白をして、見事にフラれた。
その時のことは、忘れらない記憶だ。
当時俺は大学デビューをしくじり、せめて彼女がほしいと考えていた。そして、それなら一目惚れした神宮さんと思い、なんとか、彼女を人のいない教室に呼び出した。
「それで、何かしら?」
ニコリともせずに、彼女は問いかけた。
それに考えていたセリフが吹っ飛んだ。
だから、思ったことを吐き出した。
「あなたが好きです。
友達になってください。
そして、ゆくゆくは彼氏にしてください」
たぶんこんな感じのことを言ったと思う。
生まれて初めて告白をしたのに、そんなに記憶がない。
いっぱいいっぱいだったのと、
「そもそもあなた誰?」
という、最悪の言葉が返って来たのがショックだったからだろう。
大ダメージを受けながらも、なんとか自己紹介をした。
「えっ、同じクラスの春日です。春日直久です」
まさか、同じクラスなのに覚えられてなかったとは。
「そう。
ごめんなさいね。
あなたと関わった記憶がなかったから、覚えてなかったみたい」
風が彼女の髪をなびかせ、彼女は右手で髪を押さえた。
「いえ、あの、影が薄いのが悪いんで。
それでお返事は……?」
「ごめんなさい。
私は今、そういうことを考えていないの。
ほかの人をあたってくれるかしら」
これ以上ない拒絶だった。
あの時のリベンジだ。
そう思ったが、様子がおかしい。
彼女は俺を見て、目を見開いている。
まさか、俺が見えている?
「どうしたの、ハル?」
クラスに2人しかいない女子、そのもう1人である、日野華さんが固まっている神宮さんに声をかけた。
「いえ、なんでもないわ。
少し考え事をしてただけ」
これは、どうしよう。
計画が狂った。
まさか彼女に俺が見えるなんて。
ってやばい。
股間を隠していなかった。
完全に見られた。
これは、あれだ。
等価交換だな。
彼女のも見せてもらうしかない。
自分で言っててバカだと思うし、論理的じゃないのもわかっている。
でも、それでも、俺は彼女の裸が見たい。
彼女たちと一緒にエレベーターに乗る。
ああそうだ、今日の1限は体育だ。
よし、このまま更衣室について行っちゃおう。
うん、幽霊も悪くない。
初めて入る女子更衣室は、なんか不公平だった。
2人しか使わないのに、男子のそれより倍でかい。
ふざけんな。
匂いは感じないが、きっといい匂いがしてるんじゃなかろうか。
さてさて、では拝ませてもらいましょう。
神宮さんは、ロッカーの前に行き、俺に背を向けた。さっと上を脱ぐと、白いスポーツプラが目に入る。まわり込もうとしたが、さっと運動用のTシャツを着る。チッ、美しい背中しか見えなかった。残念だ。
そして、ミニスカートを着たまま、ジャージに足を通し、残念ながら着替え終わってしまった。
「どうしたの、ハル。
今日は随分急いで着替えるね」
つい神宮さんに夢中になっていたが、日野さんも居たんだった。
声のした方を見ると、ちょうど、Tシャツを捲り上げているところだった。
可愛い花柄のスポーツブラが目に飛び込んでくる。クソっ。ほとんど隠れている。谷間しか見えない。
ああ、谷間すら隠れてしまった。
そして、パッと日野さんも着替えてしまい、体育館へと出て行った。
後はもう、ひたすら体育が終わるのを見ていた。
今更ながら、1つ不思議というか、大学と高校の大きな違いを感じた。
俺が死んだことは知らされないんだな。
体育の教員にも、同じクラスの人にすらも。
一応、ごく少ない俺の友達の5人は、このクラスにいたんだけど。
彼らは、「あいつ連絡しても既読にならないんだけど」
「嘘、俺も連絡してみるわ」
「あっ、本当にダメだ」
などと、ちょっと授業を抜け出して俺に連絡してくれた。
どうやら、本当に友達でいてくれたようだ。
涙が出そうだけど、やっぱり涙は出ない。
そういうものなのかもな、幽霊って。
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