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カイルは、自分の部屋の豪華さに唖然としています。

 案内された部屋の奥を見て唖然とする。


「あの……殿下。このウザい程、豪華なベッドは何ですか?」


 上から天蓋がさらっと下ろされ、絨毯はけばけばしいピンクに、カーテンもピンク。壁紙はまともにシンプルなベージュである。

 ベッド脇の小さいテーブルなどは可愛らしいものである。


「あぁ、元々結婚の時に叔父が贈ったものだが、オレはアイツと別室だったから、アイツが寝てたベッドだ」

「趣味が悪いですね」

「だな。もう少し淡いピンクに、白、もしくは淡い木目調の家具なら女性に似合うだろうに……ケバい‼」

「解っていて私を眠らせるってどんな嫌がらせですか?」

「いや。嫌がらせじゃなく、ベッドがお前のサイズがない‼」


 きっぱりはっきりエレメンティアは言い放つ。


「一応オレは王家の財政を裏で握っていたからな、叔父やサラが豪勢に遣いまくって下さったお金の額を握っている。叔父は、本当は自分が王になりたかったんだ。でも、父にそのことがばれて、今回のように王位継承権を放棄するか、離宮に行くかで放棄した。その代わりとサラをオレの婿にと言ったんだ。だが、父親は権力欲、息子は性欲……欲深いもんだ。まぁ、オレも権力は欲しいがな。国の為に」

「殿下の欲は可愛いものですよ。それに、明日のミューゼリック殿下も豪快奔放な人です。それに愛妻家で奥方であるアリア様をとても愛されていて、アリア様の為なら何でもするそうです」

「そういう方こそ、国王や王佐にふさわしいのにな……」

「殿下がいるではありませんか。で、家具とかは……」

「すまん‼近くの倉庫においていたのが、オレの昔使っていた家具で、無駄に可愛いんだ。明日からしばらくお客人がいらっしゃるし、移動はできない。カーテンは出来れば変えるから、許してくれ。それとも、無駄に豪華で金をかけている趣味の悪い金メッキの飾りのついた……」

「結構です‼執務室やその他が普通であれば。では、殿下。行きましょうか」

「あ、そっちはミィの部屋。こっちだ」


 エレメンティアに促され、移動する。

 廊下側に居間、間に通常ならば部下の控え室だがそこに机をおき執務室に、窓際にベッドルームと言う間取りらしい。

 そして、外からも出入りはできるが、執務室からの扉を開けると、細い道になっており、もう一つ扉を開けるとエレメンティアの執務室に繋がっている。

 そこには、ワーズとナイアがぶつぶつと言いながら処断している。


「遅くなった。本当にすまない。二人とも、ありがとう」


 その声に、ワーズはぎょっと、ナイアは丸い目でエレメンティアを見つめる。


「いえ、こちらも、何とか、殿下に見て戴きたい書類をまとめつつ、処断した書類を送り返したりしておりましたので」

「あ、殿下。幾つか気になる植物があった……いえ、ありました。殿下に種子をどうやって集めて戴くか考えていたところ、です」

「ワーズもナイアも、公式は注意して欲しいが、ここでは普通に話してくれないか?で、ワーズはここの隣に一室、ナイアも一室部屋を用意している。ベッドもあるし、家具も入れておく。自由に使って欲しい」

「一室ですか‼いいのですか?」

「良いも何も。給料は今までとさほど変わらないと思う。だが、私の側近として働いて貰う分、衣食住は十分にと思ったから。あ、結婚しているのか?」

「あ、僕たち未婚だよ。と言うか、バツイチこれ」

「ナイア……」


 一歳下の幼馴染みを睨む。


「それに、殿下。スートとカイルはクリストフ大臣の後見があるけれど、僕や兄さんにワーズは、特に末端貴族に商家の息子。いいの?」


 コテン?

と首を傾げるナイアに、エレメンティアは、


「身分より役に立つか立たないか、ついでに気が合うかで選んだ。ナイアは熱心な植物学者で、ワーズは内政について詳しいと聞いている。タイムもスートも皆が認めないのが惜しい位の実力者だ。安心している。逆に、押し掛けて来いと言うのも悪かったかと思っている……許してくれるか?」

「それは全然。僕は、好きなことをさせて貰うし」

「私も、仕事を与えられずに一日過ごすのは辛いものです。今回の大抜擢にお礼の言葉もございません」

「それは良かった……横暴だったかと思って……」


ホッとするエレメンティアに、カイルは渋い顔で、


「殿下?私には言う言葉はないんですか?」

「何かあったか?」

「ありますよ‼」

「あ、そうだ。カイル‼これだ‼」


自分の机に近づきポンポンと叩くのは紙の山。


「よろしく頼む」

「印章はないので、サインですか……‼」

「頑張れ‼」


 項垂れ、その束を運び持ち去るカイルに、


「出来たら新しいのな~‼頑張れよ‼」


と声をかけたのだった。

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