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貿易都市ツォルト1

「コック長。おはよう、ございます。」


早朝、まだ、日が登りだした頃。

その子供は雇われている従者たちに挨拶に回る。



「おはようございます。アルフ様。今日もお早いですね」



厨房のコック長のベルクは料理を作る手を止めてアルフに向かって笑顔をみせる。



「くんくん。きょうのごはんはカライの?」



アルフは小首を傾げながら質問をした。


「そうですよ。アルフ様のは少し甘口にしてますから安心してください」


それを聞いたアルフはほっとした顔をして料理室から出ていった。




「アルフ様は本当に賢い子だな…」


コック長の呟きは誰に聞かれることもなく、鍋の煮える音にかきけされた。





ところ変わってメイド室


「おはよう、ございます。」


「「「「おはようございます!」」」」


アルフの挨拶にメイド室の全員から声があがる。


メイドは全員で12名、その内、住み込みのメイドは4名。

アルフの世話がメインの四人だ。



最初は一人であったのだが、行動力のあるアルフに一人ではもたないということで、現在は四人になった。



「やまにいきたい!」


アルフの一声に一人のメイドが前に出る。


アルフの朝の日課は『散歩』である。



「では、本日は私がご一緒させていただきます」


そのメイドはエルフと呼ばれる森の民である。


「ノンさん。よろしくおねがいします。」



アルフはぺこりと頭を下げる。


「こちら、こそよろしくお願い致します。」


頭を下げられたノンは、アルフを見てにっこりと微笑むのだった。








アルフとノンは屋敷の裏の山道を上っていた。

早朝で朝露に濡れた葉がきらきらと輝き自然の美しさを感じさせる。


ノンは早足で山をかけ登るアルフに心配そうに声をかけた。


「アルフ様。少しペースを落とされては?」


「もうすこしだから!」


アルフは後ろを振り返りもせずノンに答えた。



アルフは山と言っていたが、実際は丘のてっぺんに立って、自分の来た方向を振り替える。



貿易都市『ツォルト』

アルフの父が納める都市は朝早くからたくさんの人々が行き交っている。


その光景を眺めるのがアルフは好きなのである。



「ノン!みてみて!ぼうえきせんがきたよ!」


アルフは海の方を指差して、あとからゆっくりと登ってきたノンに催促する


ノンはアルフの横に立ち指を指した方向に振り替えると、太陽を反射した眩しい海の上にポツンと黒点のような小さな船が見えた。



「どこの船でしょうね?」


ノンのつぶやいた疑問にアルフはすかさず答える。



「とおさまの船!」


ノンはその答えに対して、あてずっぽうで答えているなと感想を抱いて海の方向を眺めた。


徐々に大きくなっていく船の帆には確かに、アルフの父の船を表す記号が描かれていた。

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