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修羅の国九州のブラック戦国大名一門にチート転生したけど、周りが詰み過ぎてて史実どおりに討ち死にすらできないかもしれない 作者:北部九州在住

三好包囲網編

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急募!対アサシン用ニンジャ募集します!

 岸和田城。本丸。夜。
 その奥で疲れ果てた俺が起き上がって水でも飲もうと思ったのだが、俺の足を果心の手が掴む。

「八郎様。
 今外に出るのはあまりよろしくないかと」

 何を言っているのかと言おうとして、真顔の果心にこちらも真顔に戻る。
 なお、俺も果心も有明と明月も何も身に着けていないので察して欲しい。
 ついでに、さっきまで上に乗って蕩けていたのがこの果心である。
 女の二面性は凄い。

「間者か?」
「刺客です」

 結局、刺客はその日は何も仕掛けてはこなかった。



 戦国時代の畿内は、修羅の国九州みたいな修羅場とは別の戦い方がある。
 たとえば、幕府や朝廷を使った足の引っ張り合い。
 たとえば、寺社の中立性と独自戦力の介入。
 そんなのが畿内の戦国時代の特徴でも有るのだが、それ以外に暗殺というのがある。
 いや、これが思った以上に洒落になっていないのだ。
 例をあげると、現在の悩みの種である公方様こと足利義輝は、三好長慶に暗殺者を送っていたり。
 で、この暗殺の成功率が思った以上に高い。
 管領細川家の衰退の理由の一つが、当主や後継者がこの暗殺に倒れたというのがある。
 その襲撃に一役買っていたのが、間者というよりもっと相応しい名前で言おう。
 忍者である。
 忍者の里である伊賀と甲賀があり、京や堺などの人が集まる場所があって流れ者に対する警戒が薄い。
 その為に、忍者が活躍できる環境が醸成されていた。
 なお、九州などの場合、彼ら間者は必然的によそ者として警戒されるので、流れ者の集団として最初から入る。
 果心の元職である武田の歩き巫女しかり、井筒女之助の所属する尼子鉢屋衆も芸能集団という側面が有る。
 という訳で、翌日はこの刺客対策を話し合う事になった。

「何でその場で取り押さえなんだ!」

 めずらしく激昂する大鶴宗秋だが、その道のプロである果心はすました顔で理由を述べる。

「相手が何人居るか分からぬ故。
 下手に手を出しては、八郎様に害が及ぶ恐れがありました」

「そんな時のために井筒女之助と柳生宗厳殿が居るのではないのかっ!!!」

「流石に、城一つを三人で守るのは無理だよ」
「我らの数は、八郎様を守れる最低限の人数でございます。
 蔵に火をつけられたり、城門をあけられたり等されたら、城は守りきれませぬ」

 井筒女之助と柳生宗厳も理路整然と反論した為に大鶴宗秋も怒りを鎮める。
 今までは良くも悪くも身一つでの生活だったから、これで事が足りたのだ。
 だが、城主として、守護代としては、このような者を持たないとこの畿内では生きていけない。

「怒るな。
 大鶴宗秋。
 偉くなるというのはこういう事だろう」

「御曹司……」

 俺が窘めて大鶴宗秋がため息をついて矛を収めた。
 怒った所で、状況が良くなる訳ではない。
 問題は、次に来るだろう間者と刺客への対策である。

「果心と井筒女之助。
 思う所があるなら述べよ」

 こういう時は本職に聞くのが一番手っ取り早い。
 俺は二人に意見を求め、二人は即座に案を出してくる。

「昨夜の間者は本職かと。
 次は、刺客を仕立ててくるかと」

 当たり前だが、暗殺の刺客は基本的に生きて帰れない。
 業界用語で言う所の鉄砲玉というやつだ。
 で、そんな鉄砲玉を忍者で賄ったら、忍者がいくらあっても足りなくなる。
 その為、情報収集や工作に忍者は特化し、暗殺は鉄砲玉を新たに雇う形になる。

「ご主人の女狂いは筋金入りだから、刺客を仕立てるとするなら遊女あたりを用意するんじゃないかな。
 普通は男色から男を用意して、戦場でざっくりなんてのかよくある手だけど」

 可愛い顔してエグいことを言う井筒女之助だが、これが結構あるから本気で困る。
 何しろする時は裸という無防備なのだから、命を狙うのならば格好のチャンスとなる訳で。

「そういう事もあるので、武田家では奥に何人か私達みたいなのを侍らせているのですよ」

 近づいた女が暗殺者でした。
 こえー。
 戦国時代こえー。
 という訳で、目付である柳生宗厳に話をふる事にした。

「柳生宗厳。
 俺はこっちでの伝は無い。
 忍びの者を雇う事はできるか?」

「雇うとしたら、伊賀と甲賀。
 両方を同数で雇うべきかと」

 どちらかを雇うのではなく両方を雇うのは、それによって情報の裏とりをする事にある。
 銭があるからこその諜報対策なのだが、これをするのとしないのでは情報の安全性が格段に違う。
 そして、傭兵というものは銭が支払われている限りは、その信用は期待できるのだ。

「それで何人雇うので?」

「中忍をそれぞれ二組。
 一つはくノ一として奥につける。
 くノ一は果心が、残りは井筒女之助が率いろ」

「はっ」
「わかりました。ご主人」

 今度は有明と明月の方を向く。
 二人とも何でこっちを見ているのかイマイチ理解できていないらしい。

「くノ一を雇ったら城内に女中を入れるぞ。
 大鶴宗秋の面接の後で果心の審査を通すが、女中は全部有明に任せる。
 明月はその補佐を頼む」

「それは分かったけど、女中なんて要るの?」

 質問をした有明は下積み生活も経験しているので、身の回りのことは全部できたりする。
 逆に、有明に教えてもらった明月は元が宗像の姫という事もあって武家の作法と常識をきっちりと仕込まれているから、俺の意図が分かる。 

「城内に女を入れるのですね」

「そうだ。
 男所帯だと諍いが起こるからな。
 ある程度の女っ気を入れておく」

 全部よそ者ゆえ、そのあたりの配慮をしないと兵というのは荒れるのだ。
 博打に酒と女の手配は欠かすわけにはいかない。
 特に俺が女連れなので、嫉妬の炎で裏切られたら目も当てられない。

「それなら、いっその事遊郭丸ごと買い切ったら?」

 有明の冗談に俺はぽんと手を叩く。
 その手があったか。
 こうして、堺の遊郭数軒を買い切って遊女たち百人程度を女中として配置した結果、


「大友の御曹司の女狂いは本物らしい」


 という悪名を得ることに成功したのである。
 なお、それを真に受けた和泉国国人衆達が一斉に娘を女中にと送りつけてきたが、全部丁寧に送り帰している。
 城内に公式の賭場と遊郭を作って遊ばせた結果、城内のモラルは高く維持されて戦に臨める事になった。



「御曹司。
 御曹司に客人が」

 大鶴宗秋の声に俺は昼寝から起き上がる。
 夜遅くまで起きる俺の生活に昼寝は欠かせない。
 もちろん、戦の時は控えるのだが。

「誰だ?」

「松永家家臣。
 本多正行と申しております。
 御曹司に松永殿からの書状を持ってきたと」

 そんな奴居たのだろうかと首を捻って、柳生宗厳を呼んで素性を聞くとこんな感じだった。

「三河国の出身の鷹匠で、三河一向一揆より流れてきたとか。
 鷹の扱いが巧みなのと、良き耳を持っていて色々話を仕入れてきて、殿も重宝しているとか」

 あれ?
 何処かで聞いたような気がするが?
 まあ、松永家に仕えているのならば今は味方と割りきって会うと、彼は挨拶の後でこう切り出したのである。

「我が殿は八郎様に鷹を献上せよと仰せで」

 その一言でぴんと来る。
 鷹の足に文をつけての情報連絡という訳だ。
 多方面から偶発的に攻めてくるから、各個撃破のチャンスとも言うが、いつ戦端が開かれるか分からないという言い方もできる。
 三好家の南部戦線は畠山家という大駒があるので、畠山家の進撃方向が防衛の選択肢を変えるのだ。
 畠山家の進行方向は四つある。
 まずは和泉ルートで、海岸沿いの浜手と山を越える山手ルートの二つがある。
 このルートが本命と見られているから俺を置いて警戒しているのだ。
 次が山の中に入って紀伊国橋本から河内長野の方に抜ける高野街道ルート。
 迂回攻撃になり、守将が小笠原長時なので一番心配しているルートだったりするが、ここを突く可能性は低いだろうと判断している。
 なぜならば、俺と松永久秀に挟撃されるからだ。
 で、一番されると厄介なのが、更に山の中に入って吉野街道を北上するルート。
 これだと松永久秀を攻めるのではなく、公方様への合流を目指すのだから攻めたらこっちが拙くなる。

「できる事ならば、畠山を拘束できればと思っているのですが……」

 本多正行よ。
 つまり、俺が畠山軍に岸和田城を攻めろと誘導する訳ですね。わかります。
 手がない訳ではないが、攻勢正面を引き受けるという事は損害を一番受ける事を意味する。
 三好家には恩義があるが、さすがにそこまでする義理もないと思ったり。
 言うつもりもないが。

「本多殿。
 現在貝塚御坊と交渉して、雑賀衆と伝を作ろうとしておる。
 うまく行けば、操れるかも知れぬ」

「おおっ!
 流石大友殿」

 俺が語った事は本当の事ではあるが、全てでは無い。
 貝塚御坊との伝は作ったが雑賀衆うんぬんは嘘である。
 代わりに国人衆の自主性という名前のマゾプレイを選択させている最中なのだ。
 その情報は既に国人衆達から畠山家の方に流れているだろう。
 明らかに罠が張ってある和泉国を畠山家が選択するか?
 という訳で、笑顔のまま敵を別方面に誘導したつもりだったのである。
 この時は。



 数日後。
 畠山家よりの使者がやってきて、『公方様の命で通行したい』という要請を『豊後本国に相談する』という形で回答を避ける。
 ここまでは予定通り。
 で、ここからが想定外だった。

「御曹司!
 謀反でござる!!!」

 大鶴宗秋の声にまず思ったのは、『?』である。
 未だ守護代としての認識もないので、謀反と言われてもピンとこなかったのは内緒だ。
 そんな俺の内心など知らずに大鶴宗秋は謀反人の名前を告げる。

「蛇谷城城主松浦信輝謀反!
 畠山家に通じ、雑賀・根来衆を加えた数千の兵を率いてこの城に向かっております!!」

 大鶴宗秋に防戦準備をさせ、本多正行からもらった鷹に文をつけて空に放つ。
 その時、その疑問に気づいた。
 あれ?
 という事は、畠山軍の主力は何処に行ったんだ?
八郎 城に遊女を入れよう!
   兵の士気が落ちにくくなるぞ!!
   雇用遊女 百人程度

某姫 面倒だから遊郭そのものを城郭にしたらよくね?
   一から育成のシステムも作ってチェーン展開よ!!!
   直轄遊女 数千人以上



本多正行 ほんだ まさゆき
松浦信輝 まつら のぶてる
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