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修羅の国九州のブラック戦国大名一門にチート転生したけど、周りが詰み過ぎてて史実どおりに討ち死にすらできないかもしれない 作者:北部九州在住

覇王対峙編

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亀背越合戦 その2

最初に言っておく。
今回は浪漫回。
 俺達の隊も先陣は高屋城を出て、俺もそろそろ出るかという時にその報告が飛び込んできた。

「伝令!
 お味方が亀背越の陣城を落としましてございます!
 池田勝政殿はそのまま居座り、敵軍と交戦との事!」

 亀背越は予定通り突破できた。
 予想外は竹内峠だった。

「淡輪隆重殿より伝令!
 未だ陣城を抜けずお味方苦戦との事!!」

 なんだって?
 五倍の兵力を相手に奮戦しているのかよ。相手は!?
 後に知ったことだが、この時奮戦していた名将は、斎藤家旧臣の長井道利だったらしい。
 話がそれた。
 軍勢は一気に全軍が進むという事はできず、隊列を組んで徐々に行軍してゆくのが普通だ。
 竹内峠落ちずの報告に頭を抱えたくなるが、これも戦と気持ちを切り替える。

「淡輪隆重に伝令!
 『そのまま攻め続けて陣城を攻め落とせ!落とした後は守備兵を置いて高屋城に帰還せよ』と」

「はっ!」

 当初のプランでは、竹内峠を抜けた俺と淡輪隆重の軍勢で畠山軍の側面を突くつもりだった。
 だが、亀背越を取ってしまい畠山軍がここを再奪還に来る以上、野口冬長と池田勝政の軍勢では兵が足りなくなる可能性があった。

「大鶴宗秋、吉弘鎮理、小野鎮幸、佐伯鎮忠に伝えよ!
 行き先を変えるぞ!
 我らも亀背越の方に迎う!!」

「はっ!」

 伝令が駆けてゆく。
 軍の行き先変更ほど時間がかかるものはなく、隊列変更などで下手したら半日ぐらいかかる。
 とはいえ、竹内峠がまだ落ちなかった場合、その遅れは一日から数日になり、致命的なタイムロスになりかねない。
 戦況が変わりつつある中で柔軟に対処できないと、勝利が手からこぼれてしまうのだ。
 とはいってもあまり臨機応変すぎるのもどうかとも思うが。

「井筒女之助」
「はーい。呼んだ?」

 いつもの笑顔に見えて、少し疲れが声に残る。
 さっきまで、竹内峠までの安全確保をしていたのだろう。

「すまん。
 行き先変更だ。
 俺達も亀背越に向かう。
 石川五右衛門も使って構わん。
 道中の掃除をしてくれ」

「わかった。
 しゃくだけどご主人の見る目の正しさを確認するとなぁ。
 出るのはすぐじゃないでしょ?」

「隊列変更を今命じたからしばらくはかかるはずだ」

「わかった。
 ご主人」

 井筒女之助が忍び走りで駆けてゆく。
 苦労をかけると思うが、状況が状況だけに俺はその選択を感謝する事になる。

「伝令!
 亀背越にて、池田勢と畠山勢が激しく争っております!
 野口殿の本隊も竜田古道の方にて合戦に参加したとの事!!」

「分かった!
 両者に伝令を送って後詰に来た事を伝えろ!」

 現在地はちょうどこれから山に入ろうというあたり。
 状況が良く分からないので、とにかく援軍が来た事で士気をあげさせないといけない。
 とりあえず分かっているのは、池田勝政勢が陣城を奪い奪還を狙う畠山軍と交戦中。
 その池田勢が前にいるので前に出れない野口冬長勢は竜田古道を通って信貴山城包囲の畠山軍を排除に動いているというぐらいか。
 こっちも、その両者が前に居るのでこれ以上は進めないので休憩を命じようとしたら、けたたましく笛の音が谷底に響き渡る。

「敵襲!」

「殿を狙う間者を見つけたぞ!
 種子島で狙っているから谷に近づけさせるな!!」

「まだ潜んでいるぞ!
 手の空いている者は殿を守れ!!」

 仕掛けるならばここだろうな。
 これは完全に向こうの読み勝ちである。
 こっちが進路変更して間者排除が間に合わなかったという裏目があっても、素直に賞賛するしか無い。
 馬から降りて護衛の元に駆ける。
 狙われているのを分かって馬の背に乗る勇気は俺にはない。

「大友主計助!!!」

 声がして迂闊にもその方角を振り向く。
 崖の上に種子島を構えた忍者が。
 距離は遠いが、ギリギリ種子島が届くあたりか。
 あ。これ死んだな。
 なんとなく分かってしまった。

「八郎!」

 有明が慌てて駆け寄るが敵が種子島を撃った轟音が轟く。
 間に合わないと思ったら、前に一人だけ侍が刀を構える。
 地面に何かが当たる。
 それが弾であると気づくのに瞬き程度の時間を要した。

「申し訳ございませぬ。
 本来なら、近寄らせない事こそ最善だったのですが、次善の策にて対処いたしました」

 それはもう見事な型で上泉信綱が俺ではなく、撃った敵の方を見ながら言い切る。
 有明が俺に抱きついて手でありとあらゆる所を触って怪我がない事を確認したら、気が抜けたらしくへたりこんで泣きじゃくる。

「良かった……八郎が死ななくてよかったよぉ……」

 一方、武家出身者はこの危機をチャンスに変えようとしていた。
 このあたり流れを掴まないと勝てない合戦を知っている侍の教えが良いのだろう。

「我が殿は無事ぞ!
 神仏の加護にて、種子島は外れた!!
 この戦勝てるぞ!!」

 お蝶が女城主らしいカリスマを発揮していたら、政千代が即座に前に出て有明の盾になる。
 一方、馬廻の佐伯鎮忠は面目丸つぶれな為か激怒していた。

「なんとしても間者を探し出せ!
 二度と殿を狙わせるな!!
 申し訳ございませぬ!
 この失態は腹を切ってでも……」

「やめろ。
 そんな事で腹を切り続けたら、俺の側に誰も居なくなろうが。
 今回の責は、行き先を急遽変えた俺にある。
 この件については誰も責任は取らせぬぞ。
 だからそこの井筒女之助も泣くのを止めろ」

 佐伯鎮忠が激怒なら井筒女之助は泣きじゃくっていた。
 こいつが頑張っているのは知っているが、それ以上に敵が一枚上手だった。
 つまりそういう話だ。

「果心さんが居たら、こんな事はさせなかったのに……ごめんなさい……ごめんなさい……」

 気づいてみたら、俺一人の命では無くなっていた。
 それを否応なく気付かされる。
 そして、そんな感傷にひたれないのも戦というものである。

「伝令!
 信貴山城の城兵が打って出た為、畠山軍総崩れとの事!!」

「伝令!
 亀背越の敵勢は後退したとの事!
 池田勢は山を降りて追撃に出ています!!」

 これで前に進める。
 俺は無事である事を知らしめる為に、大声で行き先を告げた。

「亀背越の陣城に向かうぞ!
 この戦我らの勝利ぞ!!」

 周囲の歓声に手を振って応えながら、俺は地面を見ている上泉信綱と柳生宗厳の方に向かう。
 その地面には綺麗に真っ二つに斬られた鉛玉の半円が転がっていた。
 剣聖ともなればここまでできるのか。
 そして、剣聖の技でもいずれ銃に敗れるのか。
 そんな事を考えながらその鉛弾を拾ったら、上泉信綱から声がかかった。

「もしかして、大友殿はこうなる事を知っていたので?」

 何も言わずに手の中でその鉛弾を弄ぶ。
 切断面は滑らかでざらついていない。

「柳生殿から大友殿の剣について聞いておりました。
 こちらについてから大友殿の素振りも見せて頂きました。
 あまりにも美しい型は、斬る事を忘れたかのようで見入ってしまいましたぞ」

 彼自身うすうすは察していたのだろう。
 剣の時代の終わりを。
 彼が仕えていた上野国長野家は武田家によって滅ぼされた。
 銃では無く、人の数によってだ。
 そして、この戦いでは飛び道具の長さを思い知らされる。

「不思議に思っておりました。
 どうしてこんな美しい型なのだろう?
 これでは戦の役にたたぬだろうにと。
 答えが分かりました。
 剣そのものが戦の役にたたぬと知っていたのですな」

 それは神業を見せた後に似つかわしくない黄昏の言葉。
 己が捧げたものが無意味であるという宣告を己がするという悲劇であり喜劇。

「足利義輝公は合戦において銃で撃たれた。
 それが全てを物語っているかと」

 極めた訳ではない俺は慎重に言葉を選ぶ。
 その気遣いが分かったのだろう。
 上泉信綱は無理に笑顔を作った。

「とはいえ、大友殿を守れ申した。
 それで良しとするべきでしょうな」

「……すげぇ」

 終わろうとした話を蒸し返したのは、こっちにやってきた石川五右衛門である。
 見ると、彼の手にもう片方の鉛弾がある。

「忍びの道でもこんな技なかった。
 俺もこれはできるのかい?」

 なんかえらく納得したやりとりに苦笑する。
 彼の末裔が剣豪として大成する。
 ならば、その祖先が剣聖に師事していたというのも悪くない話なのだろう。
 だから、少しだけ浪漫をこめて俺は二人の為に口を開く。

「石川五右衛門。
 良かったら教えてもらえ。
 そのまま朽ちて消える技だ。
 お前がもらっても誰も文句は言わんだろうよ。
 そうだな。
 弾を斬る剣だから、『斬弾剣』なんてどうだ?」

 合戦そのものは中途半端に終わった。
 野口勢は挟撃してくれた信貴山城との連絡を優先し、戦い続けた池田勢は最後の追撃時に南側から襲ってきた畠山軍に邪魔されたのだ。
 おそらくは、竹内峠で妨害してくれた連中だろう。
 その夜、竹内峠の敵が撤退して陣城を確保したとの報告が届くが決戦は翌日に持ち越される事になった。
 畠山軍は七千もの損害を出し、信貴山城を包囲していた織田家の中川重政と幕臣仁木義政が討死。
 三好軍は将の討死こそ無かったが、竹内峠で二千、亀背越で二千、信貴山城開放で千と合計五千もの損害を出している。
 畠山軍はまだ一万七千の兵力があり、こちらは信貴山城の二千を足したら二万二千五百。
 畠山軍は引いたら後がなく、三好軍はここで引く理由がない。

 かくして、決戦は翌日に持ち越された。
このあたりの合戦はランダム性を出す為にサイコロを振っていたりする。
で、ここでの出目があまりに神がかっていたので、一話でっちあげた。
具体的には。

盗賊発見 【失敗】> 剣聖カバー【クリティカル】

で、できるのかどうか調べたら、野球ボールとBB弾はできるらしいので、遠距離からの鉛玉という事で。
こまけぇことはいいんだよ!
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