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修羅の国九州のブラック戦国大名一門にチート転生したけど、周りが詰み過ぎてて史実どおりに討ち死にすらできないかもしれない 作者:北部九州在住

南予戦役編 永禄九年(1566年) 夏

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南予戦役 あとしまつ

 戦の後始末の話をしよう。
 西園寺十五将の動向である。


 西園寺公広   黒瀬城主   二万千三百石  >>毛利家へ
 西園寺宣久   丸串城主   六千六百石   >>討死
 観修寺基栓   常盤城主   五千九百石   >>落ち武者刈りにやられて死亡
 津島通顕    天ヶ森城主  一万石     >>毛利家へ
 法華津前延   法華津本城主 四千石     >>降伏
 今城能定    金山城主   四千七百石   >>帰農
 土居清良    大森城主   二千六百石   >>帰農
 河野通賢    高森城主   五千四百石   >>河野家へ
 竹林院実親   一之森城主  二千百石    >>帰農
 渡辺教忠    河後森城主  一万六千五百石 >>一条家へ
 北之川通安   三滝城主   五千三百石   >>降伏
 魚成親能    竜ヶ森城主  千石      >>降伏
 宇都宮乗綱   白木城主   二千石     >>毛利家へ
 宇都宮房綱   萩之森城主  七千八百石   >>毛利家へ
 南方親安    元城主    四千八百石   >>降伏


 三分の一が出てゆくことを選び、約三分の一が降伏、残りは死んだり野に下ることを選んだ。
 西園寺公広と津島通顕は毛利にスカウトされてという形で毛利行き。
 河野通賢は本家である河野一族を頼るという形になるが、河野家が毛利家に従属している形になっているので、実質的な毛利行きである。
 宇都宮房綱と宇都宮乗綱は宇都宮家のお家争いが絡んで毛利家に逃亡、宇都宮家が『城返せ』と言ってくるので白木城あたりは返還しようかと考えている。
 一条家一族の渡辺教忠はそのまま一条一門衆として組み込まれる事に。
 西園寺家一番の大身だったらしく、けっこう持って行かれたと知った時は後の祭り。
 帰農したり降伏した連中は山岳部の領主が多い。
 攻めるには実入りが少なく損害が出やすい山岳部ゲリラ戦なんて俺もしたくないから、彼らの降伏は認めることにした。
 なお、宇都宮房綱に城を落とされて逃亡中だった南方親安が乗っかる形で降伏したので、彼の所領を安堵する事に。
 こういう己の利害に素直過ぎる国人衆は嫌いではない。
 帰農した連中のスカウトだが一応継続する事にする。
 観修寺基栓みたいに落ち武者刈りにやられるケースも有るのだが、地元で野に下れたという事はそれだけ民を掌握していた証である。
 ゆっくりと彼らを説得してゆこう。
 という訳で、今度は恩賞という名前の統治の話である。
 出ていった城を空けてみよう。


         黒瀬城主   二万千三百石   
         丸串城主   六千六百石   
         常盤城主   五千九百石   >>一条家へ
         天ヶ森城主  一万石     
 法華津前延   法華津本城主 四千石     
         金山城主   四千七百石   
         大森城主   二千六百石   
         高森城主   五千四百石   
         一之森城主  二千百石    
 渡辺教忠    河後森城主  一万六千五百石 >>一条家へ
 北之川通安   三滝城主   五千三百石   
 魚成親能    竜ヶ森城主  千石      
         白木城主   二千石     >>宇都宮家へ
         萩之森城主  七千八百石   
 南方親安    元城主    四千八百石   


 見事なまでのすっからかんである。
 というか、戦にたいした役に立っていないのに二万石ぶんどっていった一条家優遇しすぎと我ながら思うが、一条家は一条家の方で天ヶ森合戦大敗に一条本家の介入と家中が凄い事になっていた。
 天ヶ森合戦大敗による将兵の喪失と威信低下に加えて京の一条本家の介入に一条兼定は激怒したらしいが、土居宗珊必死の説得と俺の大盤振る舞い、長宗我部元親から見え隠れする野心に鉾を収めた。
 ここを乗り切れるかで戦国大名への飛躍が見えてくるのだが、一条兼定だと無理だろうなぁ。多分。
 一条家の不安定化は畿内航路に支障が出るから、これで安定化するなら安いと割り切ろう。
 時間稼ぎでしか無いのは分かっているが、せめてこちらの体制が固まるまで待って欲しいという切実な本音を祈りながら、論功行賞に入る。
 で、こうなった。


 大友鎮成    黒瀬城主      
 大友鎮成    丸串城主   三万五千五百石   
 雄城長房    天ヶ森城主  八千石     
 法華津前延   法華津本城主 四千石     
 吉弘鎮理    金山城主   四千石   
 小野鎮幸    大森城主   二千石   
 入田義実    高森城主   四千石   
 大友鎮成    一之森城主      
 北之川通安   三滝城主   五千三百石   
 魚成親能    竜ヶ森城主  千石      
 一万田鑑実   萩之森城主  七千石   
 南方親安    元城主    四千八百石   

 合計             七万五千六百石


 いくつかの城については近隣から城代を派遣する事にするが、俺の居城は黒瀬城ではなく丸串城にする事にした。
 激戦の末落城した、亀ヶ淵城の本城に当たるこの城の別名は宇和島城。
 博多や三好との繋がりからどうしても港に城を持つ必要があり、そうなると南予では八幡浜か宇和島しか選択肢が無くなるのである。
 で、八幡浜は対毛利最前線だから、宇和島に居城を置くことになる。
 各地の端数石高を直轄化して俺の手元に組み込んだ上に、空いた領地を再分配する。
 黒瀬城は大鶴宗秋を城代に任命し、一之森城は吉弘鎮理と入田義実を交互に城代にする事にしてとりあえず凌ぐことにした。
 今回の南予戦役の目的の一つに、大友家家中の家臣団と国人衆の再編成というのが実は隠れたテーマになっている。
 具体的には雄城長房と入田義実の国替えと引き抜き。
 吉弘鎮理と一万田鑑実の引き抜きと新家設立。
 一門衆として振る舞う俺の家の家中序列の形成だ。
 雄城長房と入田義実は俺の家臣、つまり本家家臣から陪臣に落ちるのだが両家とも長く冷遇された家でそれを喜びと共に受け入れた。
 その為、雄城長房は八千石で一門衆、入田義実は四千石で譜代として俺の南予統治の要になることになる。
 なお、入田義実がついていた猫城後詰は朽網鑑康が志願したそうな。
 対毛利最前線になる八幡浜がある萩之森城には七千石で一万田鑑実を入れ、土佐山手方面の金山城主四千石に吉弘鎮理を入れる。
 彼らは分家筋や次男坊からの引き抜きと新家設立になるので本家筋からも歓迎される事になる。
 別の言葉で言えば、豊後の有力同紋衆である吉弘家と一万田家に恩を売ったとも言う。
 一万田鑑実はこの南予統治における家老として全体を見てもらい、吉弘鎮理も入田義実と同じく譜代として俺の南予統治の要になることを求められる。
 面白いのは、今の家老である大鶴宗秋への褒美が一切ないことだ。
 このあたりは当人の言葉を使わせてもらおう。

「猫城がありますからな。
 伊予まで目が届きませぬ」

 既にある程度の地盤を確保している大鶴宗秋がここまで領地を持つと妬まれるという配慮からなのだ。
 なお、大鶴家は俺の家では猫城六千石という家老格の家と領地なのだが、血筋から譜代衆に落としてくれという嘆願を受けていたり。
 こんな所にも地縁と血縁というのはついて回るのだろう。
 長く馬廻をしてくれていた小野鎮幸もその労をねぎらい大森城二千石に大抜擢する。
 大雑把な基準だが、一万石が大名格なら千石というのは重臣格でガラスの壁なのだ。
 それを彼は越えた。
 しかも末席とは言え譜代格でだ。
 涙を流して喜んだのは言うまでもない。
 石高の調整については、降伏して本領安堵をした北之川通安・南方親安・法華津前延への配慮もある。
 彼ら外様の石高を譜代衆は超えさせないようにしている。
 越えた雄城家は俺の一門衆扱い、一万田家は家老格家という訳で一門優遇の差が千石差となっている。
 こんなドラマの他にも別のドラマがある。
 小野鎮幸が長く勤めていた馬廻というのは俺の最後の盾になるので城主では就けないのだ。
 城主は城主ゆえに己の領地の兵を率いて一隊を指揮するからだ。
 という訳で小野鎮幸が空いた穴を埋めないといけないのだが、次々にやってくる自薦他薦の山。
 田中久兵衛では武功が足りず、白井胤治では血筋と勤めて日が浅いと却下されて、小野鎮幸馬廻最後の仕事は己の後任を指定する事になった。

「でしたら、彼を」

 という訳で小野鎮幸が連れてきた若武者が自己紹介をする。

「馬廻が一人。
 佐伯惟教が次男、佐伯鎮忠と申します」

 え。佐伯一族居たの?
 なんて顔に出せる訳もなく、小野鎮幸に説明を求める。

「佐伯惟教殿が此度の功によって佐伯栂牟礼城に復帰なさるのはご存知で?」

「ああ。
 南予に領地を与えようと思ったが、本人から聞いたよ。
 生まれた領地に帰ることができると涙を流して喜んでいたな」

 なお、まったく俺は関与していない。
 田原家がお蝶を俺に送った事もあって、水軍衆を俺が掌握する事を恐れたのだろう。
 このため、日振島を拠点に雄城長房・法華津前延・火山神九郎に水軍衆の再編成を命じると同時に、佐伯水軍衆と今までの取引継続と揉め事回避の取り決めを結ぶ事になった。
 そうなると、俺の所の縁が薄くなる。

「佐伯惟教殿は殿に恩義がありますからな。
 本家帰参を前に残してゆくと」

「なるほど。
 一万田鑑実や吉弘鎮理と同じ道理という訳だ」

「そのとおりにて」

 なお、本人の経歴はこの南予戦が初陣である。
 さすがに馬廻を率いるのは大丈夫かと顔に出ていたらしい。
 佐伯鎮忠がにこりと笑う。

「ご安心あれ。
 飾りであるのは重々承知。
 今は大鶴様や白井様の命に従いまする」

 あ。
 これは拾い物らしい。
 ちゃんと馬廻の役割と己の意味を承知してやがる。
 うちの馬廻の実質的指揮官は現状大鶴宗秋なのだ。
 彼自身が単身で俺につく家老という特異性から馬廻を率いる事ができる。
 うちの家の筆頭重臣である彼の命を拒否する者はいない。
 で、佐伯鎮忠の役割は、俺と佐伯家の繋がりの保持だ。
 家が整ってくると馬廻衆には側近団という側面がついてくる。
 今までの功績から俺の所で彼が家を興す場合譜代となるのだが、その箔付けも兼ねているのだろう。
 田中久兵衛や、白井胤治、田原新七郎あたりには良い刺激になる。

「次の戦は大戦になるぞ。
 覚悟しておけ」

「はっ」



 出会いがあれば別れがある。
 十河重存が帰るというので宇和島の港に見送りに行く。

「お世話になり申した」
「三好亜相殿によろしくお伝えくだされ」

 妻を連れての十河重存帰還ルートだが、一条および長宗我部全面支援の元で行われる予定になっている。
 一条家は絶賛混乱中だが、俺が渡した二万石と土居宗珊の尽力で土佐宿毛での寄港許可を確保。
 長宗我部元親の浦戸も問題なく寄港許可がもらえており、そこからは火山神九郎の末次船五隻全てを使って一気に和泉国岸和田まで運ぶ予定なのだ。
 阿波の混乱がどうなっているか分からないので、南蛮船の技術を使った大型帆船のメリットを活かした帰還プランで彼を三好勢力圏に一気に運ぶ。

「しばらくは都に上がれませぬ。
 どうかくれぐれも軽挙は謹んでくだされ。
 分かっているとは思いますが」

「それも伝えておきましょう。
 仁将の金言は三好において値千金ですからな」

「買いかぶりというもの」

 ここまで歴史が狂うと、何をアドバイスしていいのか分からない。
 とはいえ、打てる手が限られている現在において、彼へのアドバイスは絶対にしておかないといけなかった。
 己の言葉に確信が持てない事を隠しながら、俺は十河重存にアドバイスを送る。

「おそらく三好一門の将としての働きを求められましょう。
 岸和田城主になった場合、それがしが残した島清興を使いなされ。
 紀伊がらみの戦はこちらが攻めなければそれで互角にもって行けましょう」

 何しろ俺が滞在した地だから和泉については把握している。
 その欠点も、問題も。
 だからこれを枕詞にして本題に入る。

「三好亜相殿に大和国を筒井に任せる事をお耳に入れておいてくだされ。
 あの騒動は松永殿が京で幕政に関わって睨みが効かせられなかった事がおそらくは原因。
 大和国の放置は三好にとってろくな事にはなりませぬ。
 筒井を味方につけて恩を売ったほうがましかと」

 松永久秀が動けていればあんな失態は無かった。
 だが彼は京で幕政に関わっている。
 大和国という三好家にとっての大穴はおそらくそれを織田信長に気づかれている。
 こればかりは時間との勝負だった。

「十河殿が本拠たる讃岐を任せられた場合、毛利の水軍衆とは絶対に争わないでくだされ。
 九州にて大友と毛利の戦が起こっている時でもです」

「それはまたどうして?」
「毛利の謀略の手が十河殿に及んだ時、防げませぬ」
「……」

 讃岐国は瀬戸内海ド真ん中に位置し、瀬戸内海交易に多大な影響を与える場所だ。
 ここが反毛利に回った時、毛利は全力でそれを排除しにかかるだろう。
 その時、俺の手は届かない。

「大友と毛利の戦において三好にできる事は?」
「幕府の和議仲介だけで十分。
 下手に関わると、織田に背後から殴られますぞ」

 そろそろ出港の時間だと思ったら、田原新七郎が必死の形相でこちらに駆けてくる。
 それが重大な情報であると分かったから、俺も船に乗ろうとした十河重存も彼が来るのを待った。

「はぁはぁはぁ……と、殿。
 喜木津より急報……はぁはぁはぁ……」

「おちつけ。
 何があった?」

 ろくな事ではない。
 分かっていたが、聞かないわけにはいかない。
 田原新七郎の急報は一つの大名家の命が尽きたことを伝えていた。

「と、十日前に出雲国尼子家月山富田城が開城したとの事。
 尼子家は滅亡したそうです!」



 時代が終わる。
 歴史が変わる。
 新しい舞台の幕が開く。
 その幕間を俺は伊予で過ごす事が決まっている。 

「たとえ畿内や九州で何かが起こっても下手すれば三年から五年。
 どんなにに無理しても一年はここを動けぬ。
 つまり……」

 その日の夜。
 宇和島城の本丸の奥に集められた女衆+男の娘一同に俺は言葉を投げかける。
 というか何でいる小少将。
 あとお蝶は赤くなるな。
 明月と果心は感づいたらしい。
 あと男の娘については色々あきらめた。聞いても無駄な情報だし。
 一度ため息をついてこれを一番伝えたかった有明を見る。
 彼女はまだその意味に気づいていない。
 だから、有明に向けて彼女の諦めたものを差し出してやる。

「子供。
 作れるぞ」

と。
今城能定  いましろ よしさだ
竹林院実親 ちくりんいん さねちか
北之川通安 きたのかわ みちやす
魚成親能  うおなし ちかよし
佐伯鎮忠  さえき しげただ
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