2:ああ、何故私は飛べないのですか
「またか・・・。」
銀髪の少年の背中に、大きな白い翼がある。だがそれは、天使のそれのように自由には見えない。なぜならその翼は「片翼」だけだったからだ。
ばさり、と左の肩甲骨部分にある翼を1回だけ羽ばたいてみせる。2回、3回と羽ばたき、少年は深いため息をついた。
「無駄だって、分かってるのになぁ・・・・。」
ごろり、とベッドに寝転がる。羽が邪魔だ。
「イテ・・・。」
翼は背中にあるので、横になったとたんに全体重が翼にかかった。結構痛かった・・・。
「戻れ。」
少年がそういったとたん、白い翼は光の塵となって消えた。先ほどシャツを着たまま翼を出したので、その黒いシャツの背中には大きな穴が開いていた。
「あーあ、また無駄になっちまった。」
無残なことに、このシャツはもう使い物にならないだろう。シャツに開いた穴は、あまりにも大きすぎた。
―――日本。
そう、ここは確かに日本だ。しかし、ここにあまりにも日本離れした街があった。
―――『ミッドガルド』。
通称、『城壁』。町全体を円状に覆う白い壁から、その呼び名がついた。
通称といっても、この街の存在を知っている者は非常に希少だ。なにせ、日本の地図にはこの街は記されてないし、政府ですら、この街の存在を知らない。
日本中どこを探しても、『ミッドガルド』を見つけることはできないだろう。
―――普通の人ならば。
そう、それはあくまで、『普通の人』だった場合だ。
話は戻って―――
服を着替えた銀髪は、路地を歩いていた。朝の冷気が肌を刺す。
『ミッドガルド』。
この街の名だ。
そしてこの少年の名は、
『Tubasa・W・Radiant』
この街に、国籍は関係ないようだ。
彼の名前、ツバサ、の由来は、教えるまでもあるまい。
今中学生で、勉強などでなかなか更新できない上、まだ始まったばかりですが今後ともよろしくお願いします!