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プロローグ
「お母さん。何で、僕には、こんなにおおきな羽があるの。」
小さなころ、少年はこう母親問うたことがある。母親は、優しい声で答えた。
「それはね、おまえが神様に最も愛された子供だからだよ。」
「神様って、なあに。」
「この世界を創って、見守っているお方のことよ。」
「ふうん。」
幼い子供は、言っている意味がよくわからなかったが、うなずいた。
「・・・・・・・・・・夢か。」
しょうねんが眠りからさめ、ベッドから起き上がった。
15歳くらいだろうか。その少年の髪の色が銀色だったので、歳は分かりにくかった。
少年が手を顔に当て、ふう、と息をつく。
瞬間、
白い、そう、とても白い翼が、少年の着ている黒いシャツを突き破って、
―――光をまとって、生えてきた。