十章 春香と危険物=二次下請け
バスの車内に突然現れた怪しい少女。
こいつが春香を連れ去る事を俺は知っている。
なぜなら俺は未来からきたから・・・。
(まあ、未来といってもたった十分前なんだけどね。)
こいつに連れ去られる前に、俺のテレポで春香を脱出させればオッケーだよな、簡単だぜっ!。
って待てよ!?自分一人のテレポは経験済みだけど、誰かを連れだってのテレポってできるんかいな????
どうする?・・・もし、できなかったら・・・・・・・・ま、いっか・・・できるんだろ・・おそらくは・・・・多分・・・できるのか?・・・フゥ・・・。
「おまえは誰だ?春香をどうするつもりだ!?」
まずは、この少女が何者なのかを聞きだしてみるか。
「なんだ、テメーは!!レディーに向かって!!俺様を[おまえ]呼ばわりなんざぁ、百年早いんだよ!!青二才が!!!!」
なんなんですかぁぁぁぁこの女はぁ・・・・・・。
顔はちょっと可愛いけど、ただのヒステリック野郎じゃんか!。
まともな会話をする気がミジンコ程も感じられないし、どうしたらいいんじゃい!
そもそも、この手のタイプはスーパーウルトラ苦手なんですけどぉ・・・。
でも・・・・、こいつの目的は把握しておかないと。
今はいったん春香を助けられたとしても、また狙われる可能性が残るんだよな・・・・・。
どうにかして聞き出さないと・・・。
「おまえの目的は何なんだ!」
「おまえじゃねぇって言ってるだろ!!!ぶっ殺すぞ!!」
ひぃぃぃぃぃぃぃ、中指立ててるしぃ、目は血走ってるしぃ、顔もおっかないしぃ、本当にぶっ殺されそうだしぃぃ、俺ってば失禁しそうだしぃぃ、今すぐテレポで撤収してもいい?
ぅぅぅぅぅぅ、誰かぁぁぁぁぁ。
「んじゃ、どうしろと!?」
「・・・・・・・シフエ様と呼べ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はあ・・・???」
なんかキャラ変わってません?
ってか、もう無条件で白旗でもよろしいでしょうか?
もう両手上げてバンザイてなくらいに・・・。
「てめえは・・・、耳の穴を十倍ぐらい広げてほしいのか??」
鬼の形相のシフエを見ながら翔威は直感的に、また三途の川に行って両親と会うことになるのかとデジャブっていた。
「ひぃぃぃぃぃぃご勘弁をーーーーーーーーーー!」
「あの・・・翔威?この人旧知の知り合いなの?ちゃんと説明して。」
今まで静観を決めこんでいた春香が、恐る恐る会話に刺さり込んで来た。
「・・・・・おまえは、今までの会話を聞いてなかったんかい?」
このヒステリックS女だけでも、お腹いっぱいなのにぃ。
なぜに春香の頭の中じゃ、この不毛な会話をどう解釈すれば旧知の知り合いになるんじゃい!!アホか、この女は!!
「私を『おまえ』呼ばわりしないで!」
うへぇぇぇぇ、おっかねぇぇぇlそういや、こっちも取り扱い注意の女だったわぁ!こんな地雷ばっかの場所で俺はどっちに進めと?まあ、とりあえずは・・・・・。
「・・・スイマセンでした。」
今の俺ってコブラとガラガラへびに睨まれた蛙みたいだな・・・。
「それで、なんで翔威とあの女が突然現れて口論してるわけ?それとも私のストーカーになったの?」
ほっほう!怒ってるぅ、怒ってますぞぉ!、その刺すような冷たい視線と、握りしめてプルプル震えた拳!でも、ストーカーは無いよな・・・・・。
それにしても、あの女の素性に関しては俺が聞きたいくらいなんだから説明のしようが無いじゃんか!
それにしても、なぜ俺は二人の女に虐められているのだろうか?
まるで、俺がヒールじゃんか!
・・・シフエのくそ野郎のせいだ。あのバカS女め!!
今にヒーヒー言わせてやる!
「俺は、このバカなドS野郎が春香を誘拐するのを止めに未来から来たんだよ!」
俺は春香を助けに来たヒーローだよな?
立ち位置は主役の・・・・ハズなのに、なんかカッコ悪い気がするのはどうしてだろう。
「なにぃ?未来から助けに・・・だと。おまえジェット・ラグ使いか?」
こいつ、俺が未来から来たことになぜ驚かない?
それにジェット・ラグって何の事なんだ?
こいつが何者かは知らんが、なにかしらの情報を持っているのは確かだな。
こいつはどんなに卑怯で卑屈な手段を使っても、情報を引き出してみる価値はありそうだな。
(春香の前だと、もの凄~く気の進まない手を使ってみるか・・・・・。)