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70 三国と倭の熱き関係史

 西暦502年に倭国から戻ってきた嶋王が即位してから百済は変わった。手始めに五千の大軍を動かして新羅の水谷城を攻めた。500年には倭人が新羅の長峯城をおとしていることから考えると、502年の進撃は、倭国、伽耶と百済の連合軍であったのだろう。この500年の記事を最期に倭国関係の記事は三国史記から一世紀間プッツリと消えてしまう。ちなみにそれまでは倭国の記事がくどい位続いているのにである。ちょっと簡単に列記してみよう。

 余談ながら「三国史記倭人伝」なる書物は存在しない。正確に言えば存在するのだが、これは岩波文庫の発行する「現代書」として存在する訳なのだ。それは、「岩波文庫・三国史記倭人伝」が巻頭に書いているように【古代朝鮮の二大史書である「三国史記」「三国遺事」に見える倭・日本関係の記事をはじめ、七支刀、広開土王碑・高山寺塔碑に記されている倭・日本関係の銘文等古代日本に関する朝鮮資料を一書に集めた基本資料集】の、書名として存在するのである。賢明な諸氏にあっては筆者が書くような事は今更の事であると思うが念のため。・・・さて、三国史記などから百済と倭の関係を、今一度再読してみよう。


 紀元前50年 倭人兵を連ねて新羅の辺を侵さんとす。

 (この間、倭との関係十件、倭の侵略など記されている、詳しくは「三国史記倭人伝」岩波文庫刊を参照)   

 238年・247年頃 (魏志倭人伝によればこの両年、卑弥呼は魏に使者を出している) 

 倭の女王卑弥呼、新羅に使者を遣わした。

 287年 倭人が新羅一礼部を襲う

 292年 倭兵が新羅沙道城を攻め落とす

 (この後、倭との関係十件あり)

 402年 倭国と通行して新羅の王子、未斯欣を人質として倭に送った

 405年 倭兵が明活城を攻める

 (この後、倭との関係十件あり)

 428年 百済に倭国から使者が来た。五十名である。

 482年 倭人が辺境を攻める

 486年 倭人が辺境を攻める

 500年 倭人が新羅の長峯城を攻め落とした。(この後、新羅本紀の倭国関係の記事は160年途絶える。次の記事は663年である!)

 608年 隋が倭国へ使者を送った。我が百済の南路を通った。(百済本紀は428年の倭国関係の記事の後、608年まで記事がない!筆者)

 663年 倭国の水軍が来て百済を助ける。

 670年 倭国が国号を日本と改めた。

 698年 日本国の使臣と新羅王会う

 703年 日本から使臣が来た。総員204名である。

いくらかの

 三国史記の中で、倭人の記事が一番多いのが、新羅本紀だ。百済本紀にはかなり少ない。高句麗本紀に至っては、倭国に関する記事は一件もないのだ。

 倭国との記事が一番多い新羅本紀それにつぐ百済本紀もある時点から記事が激減する。百済本紀には記事は書かれていても、当たり障りのない朝貢のような記事ばかりとなる。それまで頻繁であった倭国との関係が突然書かれなくなったり、マンネリな記事が、隙間を埋めるようになる。新羅本紀は、倭国との因縁をそれまではしつこい位書いたのに西暦500年から160年間突然口を閉じてしまう。

 三国史記の編者は全編をもってある意図を成就させている。それは502年に即位した武寧王を守っている強大であった倭国の存在を隠蔽することであると思える。

 それは、あたかも武寧王と倭国の共同的な統治を歴史から抹殺するがごときである。その沈黙はかえって倭国と三国の間にあったことを想像させるものである。


 

 

 


 

 

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