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43 継体王の即位

 大伴金村大連(おおむらじ)は又、方策を立てて云った。「男大迹君オオドノキミは性格は慈悲あふれ親を大事にする人で、王位を継ぐにふさわしい方です。できれば丁重に王位に着かれるようおすすめして王家が栄えるようにすべきです」物部の麁鹿あらかい大連、許勢男人こせのおひと大臣おおみなどが皆云った。「子孫を詳しく選んでみると賢い人はただオオドノキミだけです」

 そこで臣、おみむらじなどを使わした。王旗をかかげ、豪壮な輿を持たせ越前(福井県)三国みくにに進んだ。(古事記では近江に迎えに行ったと記している。後に古事記は鎌倉時代に発見されるまで隠蔽された書となるのは、古事記に真実がしばしば書かれているからなのだ。筆者)

 たちまちのうちに越前、三国にお迎えは到着した。

オオドノオオキミは、静かに平常のように胡座こざしている。(あぐらであるが、親指を足の股に乗せる、お釈迦様が修業する聖なる座り方。精密に言えばあぐらとは言えない)

 その有様はすでに王となって群臣を侍らせているように立派に見えた。文書を手に持つ使いの者たちは

その姿に平伏して、王になられることを請うた。

 しかしオオドノキミは、心の裏にまだ疑いの気持ちを持っていたので王位を受けなかった。たまたまオオドノキミに親しい河内馬飼首荒籠かわちうまかいのおびとあらこが朝廷至近にいる。荒籠はひそかにオオドノキミに使者を送って、大臣、大連(おおおみおおむらじ)がオオドノキミ迎えにきた事情を詳しく説明させた。使者がオオドノキミ邸に留まること二日三夜になって、使者はついに帰って行ってしまった。

 オオドノキミは後になってしみじみ言った。「荒籠は良くやった。その時、もし使者を送ってくる事がなければ私は危うく天下の笑いものになるところであった。世に言う『貴き賤しきを問うことなかれ、ただその心のみを重くみるべきだ』というのは、荒籠のような人柄をさすのであろう」と。

 



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