表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/226

199 任那復興軍の敗退

 新羅の闘将は、これを見て、「将軍河辺臣(かわへのおみ)が降参したぞ」と、叫んだ。これによって新羅は軍を進めて、日本の軍を迎え討った。軍勢は英気するどく、河辺の軍を責め立てた。日本の軍の先鋒は被害甚大で倒れる者があたりを埋めた。この先鋒にいた倭国造手彦は身が危ういと思い、軍を捨てててのがれ逃げた。(筆者註・岩波文庫・日本書紀ではここに倭国やまとのくにとふりがなを振っているがわざとらし。原文は単に倭国とあるのみである。大和の国造といえば大和天皇と言うことになってしまうので、おかしい。手彦はここに一度登場するのみで、他に見られない。任那回復のためのこの大事な決戦の先鋒に、筑紫の倭国の最有力者が加わっていたことに注目したい。こうしたことから考えれば、この任那回復軍の主力は筑紫倭国軍であることが推測される。筑紫側の先鋒が、新羅の風習を知らず白旗を掲げて進軍するというのは奇妙な話であるが・・・。しかし書紀が、話しの筋に関係なく、ふいにここで筑紫国造を登場させるのは、滅ぼされた倭国という史実を示めそうという書紀執筆官の意図であるかも知れない)

 新羅の闘将は手にほこ(やり)を取って、追って城の堀に追い詰めて、伐ちかかった。しかし手彦は駿馬にうち乗って、堀を越し渡り、単身逃れた。闘将は城の堀際に佇んで「久須尼自利くすにじり(卑怯者とでも言う意味であろうか・意味不明)」と、叫んだ。

 河辺かわべの臣は遂に兵を撤退させて野営した。敗退により、兵の心は将をないがしろにしていた。新羅の闘将の軍は野営を襲い、河辺の臣等将軍と一緒にいる婦を、生け捕りにした。父子夫婦はばらばらにされて、お互いに哀れむこともできなかった。

 新羅の闘将は河辺臣かわべのおみに聞いた。

「汝は、汝の命と汝の女と、どちらが大切に思っておるか」

河返臣は答えて言う。「どうして一人の女のために、禍を受けることをするだろうか。何と云っても我が命に勝るものがあろうか」そして河辺臣は、自分の婦を闘将の妾とすることを許した。闘将は皆の見えるところで、その婦をおかした。


 後に、婦は闘将のもとから帰ってきた。河辺の臣は行って語ろうとしたが、婦はひどく、恥じて恨んで言った。「以前、あなたは軽々しく、私の身を売りました。今どんな面目があって、わたしに会おうとするのですか」と。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ