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19 古事記序文

 そののちにはあたかも時を得た雷が轟き渡るようにご活躍なされました。先の天皇(天智天皇てんちてんのう)が崩御ののちに、世に歌われる、わらべ歌をお聞きになり、また伊賀の横河に黒雲の起こるなどを占って、帝位を受け継がれるのを知られたと言います。しかし時がいまだ熟さないときには、蝉の抜け殻のように吉野の山に姿を変えられていました。時を得て衆望が集められると、伊勢の国に虎のごとく堂々と進軍をなさいました。その軍隊はたちまちのうちに山や河を押し進み、雷のように鳴り響き、稲妻のように突進し、ほこを突いて進まんとすれば猛士は煙が沸き立つように奮い立ち、赤旗を翻せば、敵兵は屋根の瓦のように吹き飛びました。瞬く間に敵軍は潰え、立ちこめた悪臭も自然と消えて澄み渡りました。そこで軍に使った牛馬を休ませ、旗を巻き武器を納め、天下泰平の歌をうたい、舞い踊って郡に凱旋遊ばされました。時、あたかも木星がとりの方角にある酉の年2月、清原きよみはらの大宮に於いて天下を治める御位にお就きになりましたが、その徳は中国五帝の一人である黄帝こうていにまさり、三王の一人周の文王にまさっておりました。三種の神器じんぎを手にして天下を治め天子の位をついでその威光は国の隅々に至りました。(中略)天皇の仰せられますには、「私の聞いている所では諸家が先祖から伝え持っている帝紀ていき本辞ほんじ(両書は古事記、日本書紀以前に作成された皇室関係の系図と出来事を書いた書と言われる。現存しない)は、今ではもはや真実と違って虚偽を加えているものも多いという。今、その誤りを正さなければ、幾年も経たぬうちに、言い伝えの内容が滅びてしまうに違いない。帝紀と本辞は国家行政の根本であるから、天子の事業の基礎と言える。

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