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続 カルカヤの歌、磐井の叛乱伝説

 下の巻 カルカヤの歌・磐井の反乱伝説


 かくして、磐井は亡くなってしまった。それはどうも、だまし討ちに近いものであったようだ。ここに至る状況は以下のごとくだ。


 当時の韓地の状況を抜きにしても倭国と大和の関係がわかる。両者は「ある一定の韓地の状況」に対して共同連携して、韓地に軍を出動させようとしていたのだ。そうした取り組みはどうやら、それはかなり以前からの事だったらしいことが、磐井の「ともに同じ釜で飯を食い」と倭国王と大和国の使者が顔見知りであったことが知れる。そこからの話が書紀と風土記では異なる。書記では、磐井は「ある一定の韓地の状況」に対しての出兵に反対だったようで、大和軍の進軍を妨げる。しかし風土記では、磐井は共同軍を出兵することに、積極的で、むしろ大和国に協力軍を依頼したようにみえる。倭国は従来から渡海の兵に関しては人集めに苦労していたようで、かっては東北地方から集めた蝦夷人が倭国に向かう途中、叛乱を起こして逃亡する出来事などもあった。

 今回も、その例にもれず、大和国に出兵を要請したのであろう事が見えてくる。大和国の継体王は、このころようやく東国の中心である近畿の権力争いに勝利を得て、やっと大和に都を構える事ができたばかりであったが、従来から全国制覇を目指していた継体王は、その招きに応じ、通常とは桁違いの万という軍勢を倭国に進軍させた。「いまこそ、倭国簒奪の機会だ」継体王の心の内に、その思いが広がった。

「倭国内に入った兵を倭国宮廷に向けて発進させ、倭国王族を根絶やしにするのだ、いまこそ大和国が世を取る時がきたのだ、この機会を逃してはならない」

 倭国は大和国を古来からの同胞として信頼していたから、そのような企みが進行していることなどに、気づく事はなかった。

 協力軍としてやって来た大和の軍勢であるから、歓迎されこそすれ、強力な倭国海軍との海上戦もなく

、大和国の兵は難波なにわを発進し瀬戸内海を通り、博多から、何事もなく上陸した。船は二百艘を越えるものであったから。博多の海は大和国軍の船によって埋め尽くされたように見えた。

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