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1 倭国と大和国

  

ここは韓国(からくに)に向かい、笠沙かささの岬を真来まき通りて、朝日の直刺(たださ)す国、夕日の日照る国なり。 

故、 この地は、いとよきところ


           古事記 ニニギノ命 筑紫日向高千穂に天孫降臨の時の歌


 訳 ここ、日向高千穂の峰は韓国に真向かい、博多の笠沙の岬をまっすぐに来たところで、いつも朝日夕日が赤々と刺す豊かな国だ。それであるから、この地は大変良いところだ。

           

       - 日向高千穂峰は通説とは異なり博多の山である -

 

 西暦495年 天幕を張り、かがり火を赤々と燃やし酒を酌み交わしている五人ほどの男達がいる。彼らは春の花が咲き誇る筑紫野で今日一日馬を疾駆させ狩りを楽しんだ。猪二頭と鹿を一頭射止めたから男どもの笑い声は朗満天の夜空にはねっかえっているようである。

 「磐井の若君、さすがのするどい弓使いと馬の見事なさばきにただただ驚嘆もうしました」磐井の遊び友達とも言うべき属国の王子海彦が興奮した面持ちで声が大きい。

 「おだてるな。おぬしにはなにか下心でもあるのでは、俺ぐらいの使い手はいくらでもおるさ」磐井の若君の顔はかがり火の赤い光を受けて明暗をくりかえしている。

 「あ、いやおだてなどは申しませんだわ。心底そう思っちょります」

 話を聴いている他の三人は重臣の息子たちで十代や二十台の年頃である。その彼らもそうだそうだと相づちを打っている。磐井の若君は十六才である。

 「このような、へっつらいの部下ばかりでは、この倭王家は長くもたん。聞けば近頃は近畿の方で一群の者が勢力をつけてきているとの事、鉄剣と鉄の(やじり)と馬を多用することで、近辺の部族を統合しつつあるとのことだ」

 「ああ、そのことなら私も聞いております。その一族はかなり昔、この筑紫の日向を後にした神武という男の血筋だと言うことですな」と年長の海彦が答える。

 「そうだ、滅亡寸前で日向から船で瀬戸の海に逃れた小さな部族だ」

 「その部族の流れが近江の海のあたりで力をつけた訳ですな」

 「その部族は倭国の血筋だと言っているそうな。倭国の東征軍であるとも言っているそうだからほってはおけないのだ」

 「かってから、倭国の臣下であった部族もつぎつぎ軍門に下っているとの噂も聞こえております」


 40年ほど前の西暦456年に近畿圏では地方豪族集団の大王として雄略が地位に就いた。

 雄略前代の安康王あんこうおうは王になろうとする仁徳にんとく王の王子の大草香おおくさか王子を殺害して王となった。その上、王子の妃を取り上げて后とした。この后、なかし、にはすでに大草香王子とのあいだに七歳になる目弱王まよわおうという子供があった。

 目弱王は事の真相を知り、安康王が后の膝枕で熟睡しているところを襲って殺してしまう。(裏に雄略の策謀があると推測される)

 安康王は雄略の兄である。兄の仇を討つと言うことで兄弟に計るが兄弟の煮え切らない態度に二人の兄弟を殺してしまう。更に安康王の三代前の履中王の長子で雄略には従兄弟いとこにあたる市辺忍歯別

《いちべのおしはわけ》皇子を巻狩りに誘い出し強弓で射殺してしまう。この時その弟の王子も同時に殺害されたという。

 これら雄略による多くの親族の殺害の背景には、応神、仁徳、履中の三代の王に渡って自家の娘を后妃として入れていて第一の勢力を所有する葛城氏、吉備氏から権力を奪還する意図があった。


 葛城氏は大和葛城(現、奈良県御所市・葛城市)を本拠とし、吉備氏は吉備(現、広島県東部・岡山県)を本拠とする諸国王だ。吉備氏を弔ったとされる造山前方後円墳は全長350メートル作山古墳は全長270メートルもあり、多くの大和王の墳墓が250メートル級であるのにそれを越える墳墓を作り上げているところを見れば吉備氏の当時の勢力が推測できる。

 ちなみに縦規模の順位を示すと従来は仁徳天皇陵であると言われていた和泉・大山古墳が486メートル、河内・応神天皇陵が430メートル、和泉・履中天応量が360メートル第四位として前記吉備氏の

墳墓造山古墳350メートルが登場する。

 葛城氏は仁徳王に娘を皇后といていれた。娘は続く三代の王の母として大和王朝と濃厚な血縁関係を作り上げていた。

 


 







 

 



       

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