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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
第2章 繋がる刃

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第12話 守護者

 工場内。


 怪物が吹き飛んでいる間に、軽く話し合いをする。


「核があります。魔力じゃないと通らない」

 

 短く要点だけ伝える。


 岸さんが小声で話しかけてくる。


「俺は、お前ほど速く動けねぇ。

 だが、一撃の威力は高い。囮は任せる」


 そう伝えた後、岸さんは少しだけ離れた。


 足には重さが残っている。 

 だが、咲のナイフを握った瞬間、少しだけ足が軽くなった気がした。


 怪物の回復が完了したようだ。

 怪物は起き上がり、警戒するようにこちらを見ている。


 怪物が話しかけてくる。


『フム。先程の威力は驚いた。

 だが、再生してしまえば変わるまい』


 すでに、肉体が完全に再生してしまっている。

 だが、それでも私は肉壁をナイフで削る。


 怪物が怪訝そうに言う。


『愚かだな。何度もしているのに、無駄だというのがわからんのか?』


 玉野さんが仕掛ける。


「では、これならどうじゃ? 召喚!」


 霊狐が4体現れる。

 そして、狐火が肉壁を焼く。


 怪物が明らかに焦ったのが分かった。


『なぜ蛮族が魔力を使える!?』 


 巨体を動かし、真っ先に玉野さんを狙おうとする。


 その隙に私も狙う。


『羽虫が! お前の攻撃は無駄だということが、まだ分からぬか!』 


 だが、嫌がっている。


 そのままナイフを振るい続ける。


 岸さんが、拳に何かを溜めているのが見えた。

 そして、解き放つ。


「ドォォォォォンッ!!」


 もう一度、怪物の巨体が真横に吹き飛び、轟音が響き渡る。


 肉壁は大きく削られ、また再生していく。


 そして私はあることに気づいた。


 それまで動き回っていた核が、その瞬間だけ完全に止まっていた。


 ……大きな傷には集中して再生する必要がある?


 今なら、雷遁で狙える。

 そう思った瞬間だった。


『お前たちの相手は厄介だ。逃げさせてもらう』


 そう言った瞬間、目の前から姿が消えた。


 ……は?


 一瞬呆然とする。

 だが、鑑定結果で【短距離転移】があったことを思い出す。


「巨人は『短距離転移』を持っています!

 そんなに離れていないと思うので、今すぐに工場周りを警戒!」


 私は工場の開いた穴から外に出る。

 夜の街を爆走している巨人の姿が見えた。


 その巨体で家を破壊しながら進んでいる。

 

 ふと思い出す。

 


——そちらに、東京湾中央原発があったことを。



 血の気が引く。

 だが、少しの時間も惜しい。


「巨人の移動先に原発。先に行って妨害します」


 後ろで「影殿!」と聞こえたが、そのまま巨人がいるところに向かった。


 走りながら考える。


 もし、爆発したら私だけじゃない。


 咲や父親、重村さんなど全員が吹き飛ぶ。


 ——行かせない。


 足は重いが関係ない。

 全力で動かす。


 そして、巨人に追いついた。

 原発まで約3km。

 

『またお前か。もう、いい加減飽きてきたぞ』


 巨人はニヤリと笑った。


『あの男の知識で原発というのを知った。

 あれを破壊すれば、至る所を壊せることもな』


 ……確信して、移動していたのか。


 ならば、絶対に壊させない。


 私は移動しながら巨体を切り刻む。

 少しでも遅らせる。


 原発まで約2km。


 少しだけ、巨体の動きがゆっくりになる。


 瓦礫が飛び、背後で悲鳴が上がる。


 今はそれに構っている余裕はない。

 こいつをどうにかしないといけない。


 途中で、玉野さんが近くにワープしてきたのが見えた。


 その瞬間、原発へ向かっていた巨人の足が止まる。


 原発まで、残り1kmもない。


 玉野さんが現れたことで、巨人は明確に警戒していた。


「玉野さん!」


 玉野さんに近づき、声をかける。


「一瞬だけでもいいので、隙を作ってください」


 耳元で伝える。


「何か……考えがあるのじゃな? 

 ならば、ワシの奥の手を切ろう。少し怪物から離れておれ」


 頷き、その場から遠ざかる。


 もう、目の前に原発が見える。

 絶対に作戦を成功させなければいけない。


 緊張で、冷や汗が流れる。


 玉野さんの周りを火が渦となり、包み込んだ。

 熱気が周囲に漂う。


 私も雷遁を発動させ、体から紫電を撒き散らす。


 そして、玉野さんは怪物に鉄扇の先を向ける。


「炎狐招来!」


 鉄扇の先から炎の津波が放たれた。


 怪物が炎に飲まれ、巨体が大きく削られる。

 核はまだ残っている。


 だが、核が再生のため、一瞬動きを止めた。


 思考が焼き切れる。

 世界がスローモーションに沈む中、紫電の爆ぜる音だけが鼓膜を叩いた。


 踏み込んだ右足が地面を砕く。

 世界から、音が消え——




——一筋の稲妻に私はなった。




 紅蓮の炎が渦巻く中、紫電を纏い、雷の矢となって突き抜ける。




 爆発的な加速に視神経が悲鳴を上げ、次の瞬間には、怪物の懐へ突き抜けていた。そのまま怪物の核を貫く。


 遅れて、背後で空気が破裂した。




『……魔力を使えるのが……大勢いるではないか。すみませぬ、——様』


 怪物が何か呟いた後、その巨体が泡となり消えていった。


 体に白い光が灯り、レベルが20に上がる。


 ……。


 怪物はいなくなった。


 振り返ると、原発が——何事もなく、そこに立っていた。


 冷却塔の白い壁。

 点滅する警告灯。

 全てが、無事だった。


 膝から力が抜ける。その場で寝転んだ。


「……はぁはぁ」


 全身が、鉛のように重い。

 このまま寝てしまいたい。


 そんな風に横になっていると、遅れて岸さんがやってくる。


「最後、役に立たなくてすまねぇな。……立てるか?」


 頭を掻き、こちらに腕を伸ばしてくる。

 そして、ボソッと何かを言った。


「あと、信用できないと言ったこと撤回する。……悪かったな」


 声が小さすぎて、よく聞こえなかった。

 だが、照れている様子からして、悪い内容ではないのだろう。


 口元が緩む。


 玉野さんが、岸さんを揶揄っている。


 少し経つと、野次馬が集まってきた。

 正直、動けそうにない。


 岸さんが、ため息を吐いた。

 私を背負い、その場を離れる。


 背中越しに、夜の街が見えた。

 壊れた場所もあるが、まだ灯りは消えていない。


 ——守れた。


 その光景が見えただけで、今は十分だった。




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