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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
第1章 胎動する刃

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エピローグ 変革の朝

 規則的な電子音が、白い病室に響いていた。 


 夜が明け、窓の外から朝日が顔を覗かせている。

 

 お父さんは命に別状はない、と看護師さんに言われ、安堵した私は、そのまま寝入ってしまったらしい。


 パイプ椅子で変な体勢のまま寝たせいで、背中が痛む。 軽くストレッチをしながら、私は眠っている父の顔を眺めていた。



……いつの間にか、こんなに歳をとっていたんだな。  



 普段、まともに顔を見て話さないせいか、刻まれた皺が妙に生々しく感じられた。



 どうやってここまで運んだのか、自分でもよく覚えていない。 


 ただ、なるべく揺らさないように、がむしゃらに走ったことだけを覚えている。



「……ん……っ」


 シーツが擦れる音。

 ゆっくりと、父の瞼が動いた。



「ここは……」


 私に気づき、起き上がろうとする。



「……ダメ。お父さん、頭打ったんだから大人しく寝てて」


 抵抗を許さないような静かな口調で告げ、その肩をゆっくりと押し戻す。



 父は少し驚いたような顔をしたが、私の真剣な眼差しに気圧されたのか、大人しく枕に頭を沈めた。



……。


 沈黙が流れる。



「夢を見ていた気がするな……まだお前が小さかった頃の……」


 父は言葉を捻り出すようにボソッとしゃべった。



「……うん」


 それ以上は、言葉が続かなかった。  



 沈黙を遮るように、壁に掛けられたテレビが緊急会見の様子を映し出す。



『——本日のゲート崩壊事案について、政府は会見を……』


 官房長官の硬い表情。



 背後のテロップには「探索者」「対策本部」「民間協力」といった、これまでは非日常だった言葉が映し出されている。


『今回、全国でゲート崩壊が起き、大勢の犠牲者が出た事態を我々は重く見ております』


『今後は、一定の基準を満たした民間探索者との連携を——』


 アナウンサーの声が、遠く感じる。



(……ついに、言った)


 どこか『様子見』だった空気が、完全に変わった瞬間だった。 


 モンスターが外に出る。 

 もう、誰も見ないふりはできないのだ。



「……大変なことになってきたな」


 父——修一が、ぽつりと呟く。



「……うん」


 それだけで、会話は終わった。    



 いつものように、沈黙が流れる。  



 今までは、この間が怖かった。

 ずっと嫌われていると思っていた。  


 でも、それは私の思い込みもあったのだろう。


 父は、私を見ない。  

 私も、父を見ない。  


 でも、その沈黙は、以前とは少し違っていた。


 同じ空間にいるという事実が、不思議と安心感をくれた。 


 今はただ、生きてくれているだけで、十分だと思えた。


 

 窓の外から差し込む朝日が、二人を照らしている。


 完璧ではない。

 まだぎこちない。


 でも、それでいい。

 いつか、昔みたいに戻ろう。


 時間をかけて、少しずつ。



*******



 一旦、着替えと荷物整理のために自室に戻る。

 ベッドに腰掛け、スマホを手に取った。  



 咲から何件も通知が入っている。


『天音、無事!? お父さんは!? 返信待ってる!』



 私は指を動かし、短く返した。


『大丈夫、お父さんも助かったよ。 心配かけてごめん。 咲の方は怪我とかない?』


『落ち着いたら、今度ゆっくり話そう。 ……本当にありがとね』


 すぐに既読がつく。 安心したようなスタンプが送られてきて、少しだけ肩の力が抜けた。



 ベッドにそのまま倒れ、今後のことを考える。  


 探索者が、社会に必要とされる時代。 それは同時に、多くのトラブルがきっと生まれる。


 今日みたいな事態がまた起こるかもしれない。 

 探索者同士の競り合いも増えるかもしれない。


 世界は変わった。 ゲートが崩壊し、モンスターが街に現れる時代。 


 多くの人が、恐怖に怯えている。



 でも、私には力がある。

 この力を、どう使うかは——私が決める。



 派手に目立つつもりはない。

 誰かに認められたいわけでもない。


 ただ、必要な時に、必要な場所で。

 大切な人を守るために。




——静かに、確実に。



 刃を研ぎ続けよう。

 日常の底で、誰にも気づかれないように。




 それが、私の選んだ道だから。


 




後書き


 1章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 孤独だった天音が、自分の意志で一歩を踏み出し始める——そんな1章でした。


 天音がこの後、どのように世界と向き合っていくのか。


 そして気になる財布の行方は……?


 予想しながら楽しんでいただけると嬉しいです!


 少しでも「1章、面白かった!」「天音推します!」と思っていただけましたら、ブクマやページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価していただけると、とても嬉しいです。


 「今話、よかったよ!」といった一言感想でもいただけると、執筆の大きな励みになります。


 次の話から、5話ほど「間章」として、世界が変貌していく様子を多角的に描いていきます。


 間章も読んでいってもらえると、2章をより楽しめると思うので、どうぞよろしくお願いします!




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