復讐2
「ああ……そんな……そんなのって」
姫崎カオルさんは狂狼さんが用意した資料を見て、絶望の表情を浮かべた。
彼女の瞳から流れる涙がポタポタと床に落ちる。
「残念ですが……彼は殺されています」
憐れむような目で狂狼さんは姫崎さんを見つめる。
姫崎さんは両手で顔を覆い、俯く。
ああ……なんてかわいそうな人。
大切な恋人を失って悲しみの中にいる。
心から同情する。
もし私が大切な人を殺されたら、
殺した奴に復讐している。
「姫崎さん……あなたの恋人は警察の上訴うっぶに殺されました。あなたは……どうしますか?」
「どうって……?」
「許せますか?愛する人を殺されて?」
狂狼さんは赤い目を怪しく光らせながら、言葉を発する。
その言葉に人を狂わせる魔力を宿らせながら。
「きっとあなたの恋人に死ぬ直前、あなたのことを想っていたでしょう」
「……」
狂狼さんの言葉を聞いていた姫崎さんは、顔から両手を離す。
涙を流す彼女の目が黒く染まっていく。
少しずつ姫崎さんが人ではなくなっているのがわかる。
本当……狂狼さんはすごい。
「もしあなたが望むなら、恋人を死に追いやった人たちを教えますし、最高の復讐方法を教えます。どうしますか?」
「……許せない。許せるはずがない」
姫崎さんは鬼の如き恐ろしい顔で、怒りを宿した声で叫ぶ。
「私の大切な人を殺した奴らが生きてるだなんて許せない!絶対に……絶対に復讐してやる!」
もう私の目の前にいるのは、恋人を失って絶望している女性ではない。
復讐に囚われた狂った鬼だ。
言葉だけで人を化け物に変えた狂狼さんを見て、私は……鼓動が早くなるのを感じた。
「なら教えましょう。ただ……これはあなたにも覚悟が必要ですよ?」
「構いません。覚悟ならできています」
魔人は赤い目を細め、口元を三日月に歪める。
まるで楽しそうに。
「では……教えましょう」




