機械仕掛けのアイ
掲載日:2026/02/07
アンドロイドが求める“本物の愛”
女はアンドロイドだった。
女は人間の男と恋に堕ちた。
人間同士が育む“本物の愛”を知りたかった女は、自分のことを人間だと偽った。
男から抱きしめられ、求められる。
歩調を合わせ、夜空を見上げる。
人間はこうやって愛を囁くのか。
人間はこうして愛を確かめ合うのか。
男から与えられる“本物の愛”が嬉しかった。
喜びに満ち溢れた女は、まるで自分が本当の人間になれたかのように思えた。
女はとても幸福だった。
「夢でも逢えると良いね。」
ベッドに横たわり女は微笑む。
男も静かに微笑むと、女が与えてくれる“本物の愛”ごと、優しく抱き寄せた。
アンドロイドは夢を見ない。
しかし二人は『夢を見る』ことを夢見て、ゆっくりと目を閉じる。
造られた身体と心を、
造られた温度で重ねながら。
男はアンドロイドだった。
〈終〉




