喧嘩
「キサラギが、死んだ?」
「うん...」
話を聞くに、リウムは町の人にキサラギが死んだことを聞かされたらしい。
詳しいことはわかっていないが、庭で血を流しながら倒れていたらしい。
もっとも、この情報を知っているのはほんの一部の人らしいからまだ大事に至っていないようだ。
そのうち大事になる。
「ねえね、にいに、何してるの?」
「あ...イレン、悪いが今大事な話をしてるんだ。後で遊んでやるから、今は1人で遊んでいてくれないか?」
幼いイレンも、空気の重さを察したのだろう。
「わかった...」
そう一言だけ言って、奥の部屋に歩いていった。
「...それにしても、何でキサラギは死んだんだ?」
「わかんない。」
リウムは相当ショックだったらしい。
目がなかなか合わず、虚ろだ。
このままではまずいな...
「リウム、わかったから今日はもう休みな?」
「どうして休まないといけないの!!私、好きな人が死んじゃってるのにおちおち寝れるわけないでしょ!!」
まずい。リウムを怒らせた。
「エル兄の馬鹿!エル兄は彼女いないからわかんないんだよね!」
「は...」
「そもそもエル兄は友達すらいないじゃん!そんな寂しい人生のエル兄に私の気持ちがわかってたまるか!馬鹿馬鹿!!」
さっきの言葉、凄く心に刺さる。
まぁ、俺がリウムを怒らせたんだ。
俺がどうこう言える立場じゃない。
「わからずやー!!」
リウムは自分の部屋に駆け込んでいった。
中からすすり泣く声が聞こえる。
「...悪いことしたな...砂糖菓子でも買ってくるか...」