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1人ぼっちはいやだ
「...もう埋めちゃうけど、最後に顔を見なくていい?」
「うん。」
僕が答えると、ラトさんはお母さんをお墓に埋めた。
「...ふう」
ラトさんはずっと穴を掘ってていたはずなのに僕とちがって全然息を切らしていない。
僕よりずっと凄いんだろうなぁ...
「ねぇ、これからどうするの?」
僕はラトさんが言った事がいまいちわからなかった。
「どういうこと?」
「君のお父さんは?」
お父さん...って何だろう?
町の皆と一緒にいる男の大人の人の事かな?
「僕のお父さんはいないよ。」
ラトさんの目が少し丸く、大きくなった。
「そっか。じゃあ、僕の家にくる?」
ラトさんのお家か...
お母さんがいなくなったから、僕は一人。
一人はいやだ。
さみしい。
あれ、何で僕、こんなことを思うんだろう。
「僕、ラトさんのお家に行きたいです。」
ラトさんは微笑んだ。
「フフッ。これからよろしくね。」