嬉しい知らせ
私がキサラギ様と一緒に過ごすようになって数年の時が流れた。
義父上様が亡くなり、国はキサラギ様の統治下に置かれるようになった。
それから数日後。
私はお医者様に言われたことを嬉々としてキサラギ様に伝えに言った。
「あなた、ちょっといい?」
キサラギ様は手にしていた紙から目を話さずに問いかけにこたえた。
「どうしたんだ?アイリア。」
少し言うのが恥ずかしい。
でも、とっても嬉しい。
「あの、私、子供ができたみたいなの。」
キサラギ様の動きが止まった。
勢いよくこちらを振り向き、
「何っ!?それは本当か?!」
いつも落ち着いている印象とはかけ離れるほど興奮した様子。
「はい。お医者様がそう仰いました。」
そう答えると同時に強い衝撃と温もりを感じた。
キサラギ様が私のことを抱き締めた、とわかるまで少し時間がかかった。
「そうか...!」
声色はとても喜びに満ちていた。
「あなた、男の子だったらナタヌ。女の子だったらヒフユにしようと思っているの。どう?」
キサラギ様はとても笑顔で
「いい名だね。ああ。そうしよう。」
そう言って、より強く私のことを抱き締めてくれた。
そしてそのまま、唇を重ねたのだった。