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過去の記憶
月が青白く輝く日のこと。
私はふと妹のことを思い出していた。
「レイリア...」
レイリア。私の妹。
でも私は彼女を救えなかった。
私が弱かったのだ。
レイリアが七のとき、山賊に襲われ、その傷がもとで、命を落とした。
私があのとき、もっと強ければ。
「あなた...?」
アイリアが私のもとへ心配したような顔で近づいてきた。
「ああ。レイリアのことを思い出していたんだ。」
「レイリアさん、私も会ってみたかった。」
アイリアは遠くを見るような目をした。
「ねぇ、あなた。」
アイリアがすり寄ってくる。
そして私の腕に彼女自身の腕を絡めた。
「私の名前、レイリアさんから来てるんでしょ?」
「知っていたのか?」
そう聞き返すとアイリアは微笑んだ。
「ええ。勿論。もっとも、あなたから教えてくれたんですよ?」
「はは。そうだったか。」
アイリアと出会った時のことがだんだん思い出されてきた。