2/26
死か生か
走っているうちに足が絡まって、その場に転んでしまった。
「痛っ!!」
膝のあたりが赤色に染まっていく。
「追い付いたぞ!ちょこまかと...もう鬼ごっこは終わりだ!」
「ナタヌ!!」
お母さんの悲しそうな声が響いた。
そのとき、僕はわかった。
殺されるんだ。今、ここで。
目の前に剣が降り下ろされる。
反射して目をぎゅっと、つぶった。
痛みはなかった。
ただ、暖かいものを感じた。
それが自分自身のものではないと、わかるまで時間がかかった。
気づけば僕は自分で信じられないほどの声をあげた。
「お母さん!!!!」