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捜索
「えっと...おやつと...上着と...」
「ねえね、これ。にいにの本。」
イレンがエル兄がいつも呼んでいる本を持ってきてくれた。
「ありがと。」
町に出てすぐ、異変に気づいた。
とてもざわついている。
すると、近所に住むおばさんが駆け寄ってきた。
「リウムちゃんにイレンくん!何処に行くの!?」
「えっと...」
言葉につまる。
エル兄が居なくなった、ということを言ったらきっと心配して家から出してくれないかもしれない。
「おさんぽいくの。」
イレンッッッ!!
「あら、そうなの?気を付けていってらっゃい。」
通じた!!?
おばさんはそっと囁いた。
「キサラギ様が亡くなったらしいの。あなたたちも気を付けてね。」
「はい...」
おばさんは家にかえっていった。
「ねえね?」
イレンの言葉にハッとした。
自分の目から涙が出ていたことに気がつかなかった。
「私は大丈夫。エル兄探しに行こ?」
イレンは笑顔になり、
「うん!」