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ゼロ戦記  作者: 常居次人
1/1

1プロローグ

「光よ!!」

声に応えて具現化された光の刃は魔族を貫き、吹き飛ばした。

手ごたえは十分・・・・

「はぁはぁ・・・・やったか・・・?」

血を流しすぎたせいか、立ち眩みがする……


「ゼ・・・・ゼロ!!」

心配そうにティファが駆け寄ってきた。

ティファも激戦のせいか、ボロボロだ。


「……大丈夫?」

「な……なんとかな……」

「酷い怪我だわ……今、回復魔法を・・・・」

と駆け寄ろうとした瞬間……

ティファが衝撃波によって吹っ飛ばされた。


「ティファ!」

衝撃波で飛ばされたティファだったが、辛うじて立ち上がり、こちらに向け、身構える。命に別状は無さそうだ。


ティファの安否を確認すると、衝撃波がきたであろう方向に顔を向けると、息も絶え絶えになりながらも怒りに顔が歪む魔族が睨みつけていた。

「くそ……まだ生きていたのか……」


「……ハァハァ……くそが……ま……まさか……人間風情に……ここまでやられるとは……おもわなかった……ぞ……」

くそ……そのまま……死んでくれてよかったのに……

「くそ……」

力を使い果たしたいま、ど……どうする?


「しかしだ……我を完全に消滅させるには、後一押し足りなかったようだな……」

く……顔が険しくなるのがわかる……やるしか……ないのか……

……最後の力を振り絞るようにして構える。

「ならば、今度こそ……完全に消滅させてやる!」

と、同時に先手必勝と言わんばかりに、剣に光を纏わせると斬りかかった。


魔族はそれを読んでいたようで、巨大な鎌で斬撃を防ぐと、後ろに下がり間合いをとり、魔力の塊を投げつけてきた。

「こ……このまま血祭りに……あげてくれるわ!」

「く……まだまだぁ!」

それを剣で弾くと間合いを一気に詰める。

相手の魔族も力を使い果たしているようで、魔法の威力と動きに精細さがないようだ。


「これならいける!」

「く……小癪な!」

間合いを詰めようとする俺に、巨大な鎌で凪ぎ払いをしてくるのが見えた。

俺はそれをジャンプで交わすと、そのまま魔族の後ろに回り横一閃に斬りつける。手応えは十分。

その場には片膝をつき崩れる魔族がいた。


「く…………小癪な人間め……」

片膝をつき、顔を見上げた魔族に剣を向ける。

「はぁはぁ……」

「ゼロ……」

ティファも横に駆けつけた。


「……くっくっくっ……どうやら我はここまでのようだな……結界を破壊するどころか、貴様らを血祭りにすることもできないとはな……」

ん?


魔族がニヤリとすると

「だがな……このまま終わるわけにはいかん……人間相手にこんなことはプライドが許さんが……そうも言ってられん……」

「ど……どういうことだ!?」


「貴様らはこの先、魔族の邪魔になるだろう……ならば!」

「な……なにをするつもりだ!?」

「くっくっくっ……」

すると、魔族の体が急に赤黒く光る。


「ぜ……ゼロ……た……大変!……魔族の体に魔力が集まってきてる……このままだと……爆発するわ!」

「な……なんだと……」

「くっくっくっ……我の核を暴走させた!封印ごと……貴様らを吹き飛ばしてくれるわ!」


「まずいわ!ゼロ……このままじゃ……」

「くっくっくっ……この場所の情報は仲間に伝えたからな!邪魔者のお前らが居なくなれば、封印を破壊出来ずとも、魔王様復活は容易い!……後は頼んだぞ……リリス……」

「く……くそ……どうすれば……」

と、諦めかけたその時!

「ま,眩しい……」

突然、部屋全体が眩い光に包まれた。

……

…………

…………………………

……………………………………

「ゼロ……聞こえますか?」

「……誰だ?」

頭に直接語りかけてきているようだ。


「私は、この神殿の主シルフィード。」

「し……シルフィード……様?」

で……伝説の……?


「今は時間を一時的に止めて話しかけています。安心なさい。」

「じ……時間を……?」

時間に干渉するとか…流石は……神様だ……


「まずはゼロ……魔族から封印を守るため、よくぞ戦いました。感謝致します。」

「はっ!」


「ゼロ……時間がありません、よく聞きなさい。」

「はい。」

「このまま爆発が起きれば、恐らく封印の方は大丈夫でしょうが、人間であるあなた方は無事では済みません。」

「はい」


「このまま、あなた方を失うのは忍びない……ですが……私は訳あって動く事ができません。」

「はい……」


「なので、直接助けることはできませんが……恐らく、封印した時に、結界を守る為に施した力を使えば……この窮地を救うことが出来るかもしれません。」

な、なんと……封印にはそんな仕掛けが……?


「ただ……初めて使う上に、正常に作動するかも……私にも分かりません……が、よろしいですか?」

「な……なるほど……ただ、このまま何もせずに死ぬよりは……その力に掛けてみたいと思います……お願いします!」


「分かりました。では、今から結界に施された力を使い、この場にいる全てを者を転移させますね。」


すると、床全体が光ったかと思うと、部屋全体にも及ぶ巨大な魔方陣が出現する。

そして、魔方陣が眩く光ると、魔力の渦に飲み込まれた。


……

…………

……………………


「う……うう……ん……」

朧気に目を覚ますと、周りはすっかり暗く、夜になっていた。

遠くで、遠吠えが聞こえる。


「イタタタ……」

身を起こし、周りを見渡すと、森の中にいるらしいことが分かる。

どうやら無事に転移出来たようだ。


しかし、ティファの姿が見えない……

どうやら、転移中はぐれてしまったらしい。

まぁ、どこに飛ばされたかは知らないが、彼女なら大丈夫だろう。


とりあえず落ち着く為に、煙草を1本取り出すと、火をつけた。

それから、周りを改めて見ると……森!森!森!

随分と深い森の奥に飛ばされたようで、見渡す限り森だ。


それに、なんだか……違和感を感じるが……まぁ、いいか……

「とりあえず……行こう……」

それから、煙草を携帯灰皿で消すと、俺は出口を目指して歩き始めた。


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