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《けもみみシリーズ一覧》

『けもみみさんとあそぼう!!』【Remake版】自己批評・裏設定・プロット等まとめ

作者: 賀茂川家鴨

けもみみちず(第1版)

挿絵(By みてみん)

(C)賀茂川家鴨(2019)

 本稿は拙著『けもみみさんとあそぼう!!』【Remake版】の、本編で書けないような裏設定やプロット等をまとめてあります。しかし、プロットだけだと小説にもエッセイにもならないので、自作品に対する批評を含めたエッセイとして、非公開で掲載しておきます。


 内容には、あとがきに載せていたものを含みます。まだ投稿していない第2幕の内容についても言及しておりますので、ネタバレを含みます。また、プロットをそのまま書いている部分があるため、本編と若干異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。


   *


 というわけで、本編に対する自己批評をします。

 興味がない方は下のほうにスクロールして下さい。


   *


 いらっしゃいませ。

 これの執筆時は風邪気味の賀茂川家鴨です。


 本作品は、『けもみみさんとあそぼう!』をもとにしています。旧設定は、異世界転移もので、こずえちゃんがエルフのメディアちゃんと一緒に小さな旅に出るファンタジー色の強いお話でした。このときは、動物の設定は直接的には絡んでいません。キャンパスさんに少し絡んでいたくらいです。


 Remake版は異世界転移設定を(たぶん)すっとばし、ファンタジー要素と現代社会の闇を極限まで薄め、しかし、どこか不穏な要素が醸し出されるような雰囲気を目指しました。ブログにも書いたことですが、こずえちゃんやディエスさんも含めて、けもみみさんたちは惜しみない優しさに溢れています。なるべく人間関係に棘を感じる要素を廃するようにしています。


 また、(RPG版はシステムやクロスオーバー上の問題から例外として)悪人や銃火器などを表舞台に出さないようにしてあるのです。その悪役を怪物さんが引き受けてくれています。


 本作は、すべてが意図的な計算のもとで作られた「きれいな」、そして、不気味な空間です(もっとも、空気は汚染されていますが)。執筆の背景では、複雑な社会的錯綜を考慮しながら、どこまで不穏な要素を表に出していいかをチェックしています。かなえさんのほうを読むとわかると思いますが、拳銃とか手榴弾とか出してドンパチさせたい気持ちは山々ですが、作者の趣味を前面に出すと「きれいな」空間が壊れてしまいますので、なるべく抑えています。


   *


 本作は、動物的要素がか強く関わっています。イラストを見るとわかると思いますが、某国民的アニメの一騎に多分な影響を受けていることがミエミエですが、それ以外にも古典作品や研究所の影響を受けています。メディアちゃんの名前の由来は、執筆時、英語のメディアに関する研究書を読んでいたことが元です。メディアちゃんの名前には、社会的人間同士の関係性を媒介して繋ぎ合わせる意味が込められています(ちなみに没案はスフィアちゃんでした)。


 実は、動物、生物学の類は、全くの専門外です。上記の話の流れからしてわかると思いますが、しがない文系人間です……たぶん。ですので、動物園や水族館に行ったり、近所のねこさんを観察したり、動物関連の本を読むなどして、持てる知識を動員しています。もし単なる誤字脱字ではなく動物関連の知識で間違いが見つかったら、大問題です。誤字脱字報告機能で遠慮なく修正のほど、ご協力をお願い致します。確認の上、修正致します。


 ところで、ゼータ関数とか、グラハム数とか、面白いですよね。


   *


 動物に関連して、けもみみさんは、動物的特性と人間的特性の両方を備えています。例えば、キャンパスさんは、漠然としたネコ科ではなく、何の種かを想定して書いています。

 こずえちゃんは見たまんまヒトです。

 ディエスさんはヒトですが、イヌ科のとある動物が若干量含まれています。

 メディアちゃんは特殊で、近所のイエネコちゃんの仕草+とあるネコ科の動物のハイブリッド仕様です。例えば、オセロットの人懐っこさや、サーバルキャットの俊敏さと賢さ、ジャガーの力強さなど、いろいろと混ざっています。まぜまぜ。

 リコリスさんは動物園で見たリス科の動物がベースになっています。

 それぞれ、何の種をもとにしているかを考えてみてください。


   *


 けもみみさんは動物をもとにしています。ディエスさんはけもみみさんの社会的に溶け込む努力をしたので例外として、こずえちゃんはけもみみさんという準拠集団の中で本来異質な存在のはずです。

 クジャクのジャックさんがこずえちゃんのことを警戒(笑)していましたが、メディアちゃんやキャンパスさん、リコリスさんなどはこずえちゃんをすんなりと受け入れています。


 では、メディアちゃんはどうしてそうげんのひとりぼっちだったのでしょうか。このけもみみ社会において、プロット上、すべての物事は優しさによって裏付けられなければなりません。したがって、メディアちゃんはりんごの食べすぎでナワバリから追い出されたわけではなく、そうげんのりんごがだんだんと少なくなる中、くいしんぼうのメディアちゃんがいても平気な量のりんごをさがし求めるためにナワバリを離れていった、と考えられます。もっとも自分の作品ですから考えるまでもありませんが、プロットを組むときには、こうして表に出ない複雑な要素を考慮しながら執筆しています。


   *


 総じて言えば、なるべく「童話らしい童話」にならないように配慮しながら執筆しています。それは例えば、ポストアポカリプスの世界観や、露骨に覆い隠された人間社会の闇および自然の摂理などによって成り立っています。また、けみみみさんというキャラクターを、気晴らしのために消費されるためだけに描くのではなく、複雑な動物社会および人間社会を見つめるための要因となることを目標としています。


 本作を通じ、動物への知的興味を抱くことや、読書を通じた"Building"(修養)に繋がれば幸いです。


 体調が悪いので寝ます。おやすみなさい。


   *


 以下、あとがき、裏設定、プロット等の垂れ流しです。


 ※「#(int)」は第何幕かを示しています。


#1


あとがきあらすじ部分に書いてあったやつ:


~誰かの手記~

 果実が囁いた。

 囁いてきたよ。

 山は聳え、海は静かに。風を覗いているよ。

 虹に紛れ、雲に潜んで、風を悼んでいるよ。

 木々は虹に溢れ、果実は実り。

 荒れた時代を踏みしめている。

 誰が。僕は。

 誰に。君に。

 僕は愛した。愛されていた。愛しすぎた。

 首を擡げ、求められた。愛を求められた。

 誰に。双葉に。醜く爛れた肺を隠して。

 双葉に触れた。小さく震えた。

 果実は囁いた。大きく頷いた。

 僕は応えた。夢に沈み、天は覗いてしまう。

 虹の光を。果実の光を。僕は呼びかけたよ。

 手を、伸ばした。

 地に墜ち、芽吹くことのない、果実を口にする。

 何も、見えない。


   *


 文明の遺産。咽び泣く骸の無言。

〈嗚呼、斯うにも空は明るかつただらうか。〉

〈玉の緒の絶へたる瀬戸際にありてこそ四季折折をあはれなりと映らめ。〉

 喫茶店に手向けの花を植えた。もう人に会うこともないだろう。


   *


あとがき:


 あとがきは、質疑応答形式でお送り致します。

 それから……、あとがきは、子ども向けではありません。

 また、重大なネタバレ注意です。見たくない方はブラウザバックするなりして下さい。


Q. けもみみさんのしっぽはどこから生えているの? 手を洗わないと汚いよ?

A. 概念体のもつ不確定情報は有機生命体に観測されるまで不確定なままです。

 メディアちゃんはこずえちゃんに観測されたため、実存するようになりました。

 ……たぶん。


Q. けもみみさんはどのように産まれたの?

A. ニジイロチョウの持つエネルギーを吸収することで産まれます。メディアちゃんはりんごに含まれる微量なニジイロチョウの成分を大量摂取したことで今の姿になりました。


Q. ディエスさんの正体は?

A. ディエスさんの名前は、偽名です。研究発表の名前欄にもディエスとペンネームで書かれています。生物学専攻、準教授の元ヒトの魔人属です。自分の身体に、環境汚染による突然変異で生まれた怪物の血液のようなものを流し込むアホな人体実験で魔人属になりました。魔人属というのはディエスさんが自分で勝手に付けた俗称でしかありません。理由は「子どもが何となく格好いいと思ってくれるから」だそうです。メディアちゃんやキャンパスさんに猫人属や魔人属などの概念を言いふらしたのはディエスさんです。

 ディエスさんは、対人生物兵器ガスVX-Ⅰの軍事利用に反発し、抵抗薬を研究しました。結果、ニジイロチョウの羽によりVX-Ⅰの症状を抑えられることが判明します。ディエスさんは形式的な研究成果を教授に譲りました。しかし、ニジイロチョウ自体が貴重な生物です。ニジイロチョウの噂はたちまち広まり、ハンターが乱獲に出向いて、誤って動物園から脱走したクジャクの羽を回収してしまう事件がありました。もちろん効き目はありませんが、一般大衆は誰もニジイロチョウを見たことがないため、クジャクの羽が高値で取引されました。ディエスさんはニジイロチョウを探し求め、人里離れた地で、猫獣人属と交渉してニジイロチョウの羽を分けて貰いました。ニジイロチョウは猫獣人属の生みの親ですが、猫獣人属にとっては友達のような存在です。

 ディエスさんは魔人属になっていたため、VX-Ⅰの影響を受けず、生き残りました。しかし、マウスの実験や海外での死刑囚による実験は全て失敗したため、怪物の血液のようなものを輸血することは再現性がなく、また、安全性への懸念から最終手段と決めていました。

 ディエスさんは、研究に関しては切れ者です。行動力があり、お節介で勇敢です。しかし、普段は猫耳カチューシャをしてみたり、今日食べた朝食をど忘れしてみたり、ポンコツな一面もあります。


Q. VX-Ⅰってなに?

A. 対人生物兵器ガスです。環境に配慮し、純粋なヒトのみを抹殺する兵器です。具体的には、抗生物質が効かない、気管支に作用する遅効性の致死ウイルスです。その拡散力は凄まじく、世界全土を覆うほどです。時間経過で希釈されることもありません。このガスを保存していたプラントが不慮の事故で爆発し、ガスが漏れてしまいます。十分な除染方法が確立されていないため、また、国家機密として隠蔽しようとしたために、対応が遅れてしまいました。ディエスさんはこの有事を切り抜けるために政府から引き抜かれた1人で、極秘で研究を進めていました。


Q. メディアちゃんにとって、VX-Ⅰは臭い?

A. 猫は(犬と比べれば)さほど鼻がいいわけではありません。ヒトよりは鼻が利きます。ヒトの数万~数十万倍の嗅覚はあるとされます。ヒト以外の動物達がVX-Ⅰを臭いと感じるのは、VX-Ⅰがヒト以外の動物達に与える影響を減らすために、ヒト以外の動物達にだけ臭いを感じるように設計されているからです。もっとも、VX-Ⅰはもともとヒト以外の動物に悪影響はありませんが、動物の保全を訴える民意を反映して念のために臭いをつけました。こうした建前の裏側で、VX-Ⅰは、ヒトを無意識のうちに滅亡させ、かつ、カナリアのような臭いに敏感なヒト以外の動物達でもガス漏れを検知できるようになりました。もっとも、検知できたところで何の対応もできなかったのが実情です。


Q. こずえちゃんの正体は?

A. こずえちゃんは、偶然りんごを食べて生き残ったヒトです。VX-Ⅰに侵された家族を救うために、ニジイロチョウの噂に縋って、無謀な旅をしていました。一部の記憶が飛んでいるのはVX-Ⅰのせいです……たぶん。こずえちゃんが賢いのは、こずえちゃんが頑張り屋だからです。

 もともとの年齢設定は小学5年生~中学2年生くらいですが、好きに脳内補完して下さい。ちなみに、このままりんごを食べ続けると、ニジイロチョウの羽の影響で、ずっとこのままの見た目になりそうです。


 ちなみに、嘘は言っていませんが、本当のことも言っていません。


Q. キャンパスさんのところに色とりどりの花が咲いています。何故?

A. ここには亡くなったヒトが、地中深くに、たくさん埋められています。まず、ディエスさんに頼まれた何も知らないリコリスさんが穴を掘ります。次に、ディエスさんはキャンパスさんと協力して、手向けとして花を植えました。現在、キャンパスさんが花を管理しています。

 ちなみにリコリスさんは穴を掘ったことを忘れています。


   *


登場キャラクター(初期案、一部削除):


主人公


 麦野 梢 (むぎの こずえ) 通称:こずえちゃん 女性?

  ヒト属 記憶があいまい 雑食だけれど肉を食べない。

  読み書き・計算・料理・裁縫・科学・運転、なんでもできる。

  ただし複雑な作業は要マニュアル。


 フェリス・メディア 通称:メディアちゃん 大きな猫耳が特徴 女性

  ネコ目ネコ科猫獣人属。獣人は雑食。りんごが好き。肉を食べない。

  習得能力は高い。もともとの知識が乏しい。文字が読めない。


副主人公


 フェリス・キャンパス 通称:キャンパスさん 女性

  ネコ目ネコ科猫獣人属 雑食 紅茶と猫耳クッキーが好き。

  岩場付近で喫茶店兼宿を経営。


 ディエス 通称:ディエスさん 偽名 女性

  たぶんヒト 雑食 行商人 助教授

  科学・化学・工学・生物学・医学・天文学が得意分野。

  世界のありとあらゆる文字を読み書きできる。天才だが忘れっぽい。

  怪物の血液を実験として自分の身体に注入した変態学者。自称魔人属。

  VX-Ⅰの抵抗薬をつくるため実験やフィールドを繰り返していた。

  ときどき猫耳や犬耳のつけ耳をして、場に溶け込んでいる。

  物語の鍵を握っている。


 リコリス 通称:リコリスさん 女性

 「ほりほりほりほり……」

  リス獣人属。リスに似ている花の名前からとったニホンリスの子。

  エサを頬袋に溜め込む。冬眠前にエサを埋めるが埋めた場所を忘れる。

  リス獣人属は冬眠しないが、冬場になると自宅で寝て過ごす習性がある。


悪役?


 怪物

  別名:エイリアン/侵略者/お化け etc…

  何故か襲ってくる得体の知れない怪物。

  姿形はいろいろある。こずえちゃん達が最初に出会ったのは触手の生えた崩れた蛙っぽい姿。

  対人特化生物兵器VX-Ⅰの副作用で突然変異した生物種と考えられている。

  VX-Ⅰとは環境に配慮したヒトを絶滅させる特殊な人工ウイルスである。


引き立て役


 クジャク(ジャックさん)

  動物園から脱走した。名前は飼育員さんにつけてもらった。オス。

  煌びやかな羽はニジイロチョウの羽と間違えられ、ハンターに狙われた。

  ヒトを見ると警戒するが、どうして警戒していたのかすぐに忘れる。

  羽を自慢したがる、ちょっぴりナルシストさん。


 ニジイロチョウ

  データの少ない不思議な鳥。

  七色に輝く羽を持つ大型の鳥である。詳しい生態は不明。

  研究によれば、虹色の羽はVX-Ⅰによる侵食を緩和する効果があるとされる。


   +


おまけの中略したところ:


~構想(初期案)~


 ディエスさんによると、僕はニジイロチョウの羽を探さないといけないらしいです。りんごをたくさん食べていればいいと思っていましたが、そうもいかないみたいです。

 僕はメディアちゃんの友達だけあって、猫耳さん達に信頼されています。ですが、ニジイロチョウはまだまだヒトを警戒しているため、巣でじっとしていることが多く、猫耳さん達のところにも、たまにしかやってこないと猫耳さん達はいいます。

 猫耳さん達との別れ際、僕とディエスさんはそれぞれ3枚程度のニジイロチョウの羽を補充できましたが、いずれなくなるかもしれません。ディエスさんの研究もいつ完成するかわからないそうです。


 ある日、僕はキャンパスさんのところで、メディアちゃんやディエスさんと紅茶を楽しんでいました。

 そこへ、リコリスさんが駆けてきます。

 なんでも、リコリスさんがいつものように地面を掘っていると、頑丈な金属の箱がでてきたというのです。その中身がみてみたいというので、メディアちゃんは力任せに殴りつけて開封しました。ひえっ。

 すると、中から古めかしい地図が出てきました。裏面にはメモ書きがあります。

 僕とディエスさんが解読したところ、砂漠のへそに、黄金のりんごというものが眠っているそうです。でも、りんごを手に入れるには、遺跡を抜けなければならないみたいです。ディエスさんによれば、このりんごがあれば、研究が捗るだけではなく、僕がとても元気になれるかもしれないといいます。


「こずえちゃんが元気になるなら、みんなで一緒に探そう!」

「えへへ、メディアちゃん、ありがとう。でも、砂漠はとっても暑かったり寒かったりするから、ちゃんと準備してからいこうか」

「うん。ディエスの役にも立つんだよね? ディエスも一緒にいくよね」

「たぶん役に立つんじゃないかな」

「リコリスも一緒にいこうよ!」

「よーし、任せとけ! あたしがお宝を見つけてやるよ」

「キャンパスも行こう!」

「わたしはお店があるからねぇ、お留守番してるよぉ、あ、お弁当つくるから、もっていってねぇ」

「そっか。お弁当、ありがとう!」


 僕とディエスさんは、メモ書きを最後まで読んで、この黄金のりんごがすごいものだと察しました。


   *


「これ以上書くとネタバレになりそうですので、ここまでにしておきます」

「わかりました。僕が何を察したのかは秘密です!」

「結末まで考えるときにプロットはすぐ変わります。そのため、構想自体、確定ではないです。あくまで、どのような方向性にするかを示しただけです」

「どれくらい待てばいいですか?」

「気分!」

「き、気分なんですか……?」

「はい。身内に見せてから考える方針でいきますので、いつもと同様に時間がかかると思います。なにより、〈やること〉がたくさんありますので」

「あれ……? 連載作品の投稿は、前作から何年経っていますか?」

「……まあ気長にお待ちください」

「は、はい! メディアちゃんと待っています!」

「書くかもしれないし、書かないかもしれません。こずえちゃんの耳が4つになるかもしれません」

「ひえっ」


   *


けもみみ・裏 目次(初期案):


第1節 Suspicious-X

第2節 VX-Ⅰ

第3節 Quasi-Professor

第4節 Central System

第5節 Dystopia


   *


#2


キャラクターイラスト(初期案):



 ウルペース・シルク(Vulpes Silk-san)さん:前髪ぱっつん、白髪。赤目or黄色目。きつね垂れ耳

 フェリス・キャンパス(Feris Campus-san)さん:手書きアナログラフのものを書き起こす。エプロン姿。

 パーヴォー・ジャック(Pavo Jack-san)さん:リアルな孔雀たぶんオス



こずえちゃんのもちもの(主要アイテム全て):


 マッチの箱、コンパス、手帳、ペン、誰かの手記、ディエスさんの手書きの地図、僕が書き直した地図、おたからの地図、便利な工具ツール、救急キット、携帯食料、飲料水(水筒)、携帯消火器、笛、ミニタオル、メディアちゃんのおやつ(ちていいせきに持参したときはお弁当と一緒に食べてしまいました)、ねこじゃらし、ナイフ、フォーク、スプーン、お箸、紙コップ、電波の繋がらない手回し式携帯ラジオ、水鉄砲、ダイナマイト、電源が入らないレーザーポインター、電源が入らないスマートフォン、電気が点かないソーラー式ペンライト、折り畳み傘……いろいろとあります。

 僕のポーチは見た目以上に入るみたいです。メディアちゃんは中をのぞいてみて、「底なしポーチ」と呼びました。底なしだと穴があいているみたいです……。



Qこずえちゃんとメディアちゃんのお家にある家具は誰がつくったの?

A.基本的に、設計はこずえちゃん、材料調達はメディアちゃん、組み立てはリコリスさんとけもみみさんです。


Q.カニカマには鱈のすり身、かつおぶしには鰹が入っているのでは?

A.工場で生産された味のついたフェイクミートですので問題ありません。

 ……たぶん。


 この国(?)では、動物や環境に配慮し、特に肉食と自然破壊が憂慮されていました。

 景観を損なわないように電線は地中に埋められ、肉食を減らすためにフェイクミートがつくられます。

 けもみみさんと融和をはかるため、当施策は一部世論で歓迎されました(けもみみさんは肉を食べなくても生きていけます)。

 当然、反対する人もいました。

 健康上の配慮などから、自然な食品を食べたいという世論もあります。むしろこちらのほうが多数意見でした。

 特に、狩猟がさかんな地域では猛反対されます。

 そこで、植物由来の食品を除き、フェイクミートはけもみみさんにのみ配給する折衷案をとることにしました。


 フェイクミート工場は雪山に設立され、自動で製造と配給をこなすようにつくられています。

 フェイクミートは、冷凍解凍覚醒法を用いて生育された植物とあわせて、輸送車・ドローンによる配給が行われていました。


 そんな折、VX-ⅠによるC災害が勃発します。同時に、VX-Ⅰに汚染された怪物があらわれるようになります。

 輸送車やドローンは、突如あらわれた大型怪物の襲撃により、次々と破壊されてしまいました。

 怪物は、当該工場を巡回する警備員や付近のけもみみさんの捕食を狙っていたと考えられています。


 フェイクミートによる健康被害は1件も報告されていません。

 フェイクミート工場が稼動した数日後にVX-Ⅰ事件が勃発し、わずか数週間でヒトの政府機能が崩壊したからです。


Q.こずえちゃんの正体について その2

A.こずえちゃんの記憶の欠片には、家族を救うために旅をした思い出があります。

 しかし、あくまで断片的なもので、ぼんやりとしていて、はっきりと思い出せません。

 あたたかい記憶と、つめたい記憶が混ざっている感じがします。

 思い出したいような、思い出したくないような、ふしぎな気持ちです。

 メディアちゃんを心配させないように、げんきにがんばっています。


 …………。


Q.ディエスさんのペンライトについて

A.生物兵器VX-Ⅰの災害現場でトリアージするとき、対光反射用に使っていたものを、今もいくつか持ち歩いています。

 シルクさんのペンライトは、もともと災害現場で使われていたものと同タイプの量産品です。拾いものだよー。

 電池がなくなると、いせきの外に出てソーラー充電しています。


 ちなみに、地下遺跡の電源は、地熱発電でまかなっています。

 活火山が近くにあり、温泉が出ます。噴火したら目もあてられません。


 補足すると、噴火は、山の天辺からだけではなく、至るところから噴火します。


Q.VX-Ⅰについて

A.人工的につくられた生物兵器で、ガス状になっています。

 国家機密水準の技術が用いられていて、爆発しても昇華せず、抗生物質も効きません。除染はほぼ不可能です。空気感染や水感染、家畜感染などをして、ヒトにのみ発症します。動植物の自然環境に優しい、でも、ヒトには厳しい、生物兵器です。怪物の体液を自分の身体に注入したディエスさんは何故か発症しません。


 要するに、とても強力なウイルス(厳密にいうとウイルスのようなもの)です。


 症状は、軽度か重度か、この場合はどれくらいVX-Ⅰ吸ってしまったかにより違いがあります。

 軽度の場合、感染から1週間後に肺炎による低酸素症が引き起こされます。抗体ができると発熱しますが、白血球では対処できません。初期症状から1時間ほど放置すると気道が確保できずに、脳がしにます。

 重度の場合、1時間で初期症状が出ます。抗体ができると発熱します。放置すると、酸素が足りずに、脳がしにます。


 対処法としては、ニジイロチョウの羽、検疫テント、Bレベル以上防護服、ディエスさんにがんばってもらう、呼吸器、怪物の体液を注入するなどがあります。

 ニジイロチョウの羽は特効薬になります。即効性あり、効き目大です。ただし、ニジイロチョウの羽は希少な上に、完治には至りません。そもそも白血球が効きませんし、抗体ができても効きません。また、怪物の体液を注射すると、なんと、怪物になってしまうみたいです。ディエスさんの成功例には再現性がありませんので、真似するのは最期の手段です。


 いずれにせよ、呼吸器をつけたところで、応急処置にしかなりません。肺がやられてしまったときは、放っておけば、しにます。

 ニジイロチョウの羽がないときは、人工肺をつくるなどして、脳に酸素を送れるよう対処しなければなりません。


 ヒトの生存者は、人工肺をつけた数名、シェルターへの早期避難者、防毒マスク装備者などが想定されます。

 ディエスさん、こずえちゃんは例外的に生き残っています。ほかにも例外があるかもしれません。


   *


#ACT版(ノベルス版同梱)


 おたからのちず(?)を片手に、新たなおたからさがしにしゅっぱつ!


 ※おたからのちずは、ゆうえんち+どうぶつえん「けもみみパーク/けもみみランド」のパンフレットです。


 ゲスト:刈谷かなえ


ゆうえんち+どうぶつえん「けもみみパーク/けもみみランド」

 地図上の「?」の部分には廃れたゆうえんちがあり、動物園が併設されています。

 動物園へのゲートはガレキで封鎖されていて、通ることができません。

 怪物の侵入を防ぐため意図的に塞がれた説と、怪物の攻撃により破壊された説とがあります。

 ジャックさんはここで放し飼いにされていて、怪物騒動の最中に逃げてきました。

 しかし、ゲート封鎖の真相はジャックさんもよく知りません。


 ACT版ではディエスさんとかなえさんが裏で結託して、けみみみコンビを楽しませるために、トンデモアトラクションを作成した。

 しかし、かなえさんがやりすぎてしまい、あちこち火の玉やトゲ、コインまみれに……。


 後日、こっそりと元に戻した(こずえちゃんとシルクさんにはバレた)。



 以上は、ゲーム中では部分的にしか語られない設定です。

 ゲーム性ありきで無理して作ったシナリオなので穴が多いと思います。


   *


#3(未定)


ゆきやま

 おんせんりょかんがあり、もともとキャンパスさんと■■■の子と■■で運営していました。

 しかし、VX-Ⅰ漏れの影響で、大型・超大型の怪物が大量発生してしまいます。

(※こずえちゃん達が出会った最大サイズは中型です)


 残された観測隊の報告によれば、怪物の集団は、西のかざんに向かっているとのことです。

 ゆきやまと西のかざんは、最も危険な区域として閉鎖され、マスメディアすら入山できなくなりました。


 ゆきやまには広大な地下シェルターがあり、一部のヒトやけもみみさんが避難したまま住み着き、食料を生産しています。

 外の政府機能は崩壊していますが、シェルター内では少人数の臨時政府……もとり、村社会ができあがっていました。


 しかし、最初のうちは、無法地帯です。


 最初は30名程度でしたが、食料の奪い合いとその鎮圧、病、斥候が捕食されるなどにより、数が減っていきました。ほとんどは、VX-Ⅰによる病死でした。現在ではヒト1名・けもみみさん3名しか残されていません。心の片隅で助けが来ることを祈りながら、娯楽の少ない閉鎖空間で細々と共生しています。

(※ヒト1名は怪物を煮込んだスープを飲んで抵抗力が身についたらしいです)



こはん

 たまに西のかざんから、こはんやぐらぐらばしのあたりに、小型の怪物さんが転がり落ちてきます。

 最近では、中型の怪物が住み着いてしまいました。

 この怪物さんは、あんまり動かないそうですので、こはんに近づかなければ問題ありません。


 ぐらぐらばしは中型の怪物さんに破壊されたまま、放置されています。



よれよれの研究レポート


 極秘/Confidential


 災害区域周辺で突如発生した怪物は、周辺の建造物等を破壊しながら、南方向に進撃していった。

 観測隊の情報から、西の活火山に向けて進撃していたことがわかる。

 また、南の活火山でも大型の怪物が1体、観測隊から目撃された。

(※この大型怪物は警察権力の行使により、死者計5名、重・軽傷者計103名の多大な犠牲を払って駆除された)


 現在、西の火山・雪山は、政府が認可した観測隊以外の入山が禁止されている。

 南の火山は厳重警備の下、入山規制が行われた。

 また、緊急事態宣言が発令され、戒厳令が敷かれている。


 VX-Ⅰについての不祥事は、政府高官との協議の末、発表を控えるよう指示がなされた。

 不祥事の釈明は、兵器開発の公表に繋がり、外交問題に発展するおそれがあるためである。


 VX-Ⅰによる症状は、原因不明の疫病として報じるようマスメディアには伝達されている。

 一部の雑誌には政治化や研究者から事実がリークされているが、当研究所では、世間ではデマと考えられている、と判断した。


 VX-Ⅰの特効薬はニジイロチョウの羽であるとの知見が発表されたものの、完治には至らないとされる。

 孔雀の羽が特効薬になるとのデマがSNS上で拡散されているが、これについては政府と協力して「デマである」との発表を出した。


 現在、政府からの要望として、外国人観光客の帰国ラッシュ対策と新たな特効薬の開発、除染の計画書等々が求められている。




(※レポートには付箋でメモ書きが添付されている)

 これをリークした理由はいくつかある。


 何の情報もなしに、悪魔のようなVX-Ⅰを退ける方法などあるわけがない。

 これだけ隠蔽しておいて、短期間で人工肺の量産体制など作れるはずもあるまい。


 政治家や金持ちでさえも、このままでは、逃げても無駄だ。

 国民は知らないかもしれないが、政府機能は麻痺しはじめている。もう手遅れとさえ言っていい。


 今や、男手は獣人も含めて国民総出で、止むを得ず、怪物の鎮圧に当たっているのは周知の通りである。

 いずれにせよ短い命、玉砕覚悟である。

 自衛隊や海外の軍事力でも歯が立たないものに、竹槍や農具を手に何をしろというのだ。


 妻も子どももいない孤独な研究職の身には、何の未練もない。

 しかし、若い世代に負の遺産を残すわけにはいかない。


 人工肺でもなんでもいい。

 一刻もはやく情報公開しなくてはならない。


   *


その他の覚書(「みてみん」で書いたやつ):


 イメージイラストのディエスさんは青目。

 描写中のディエスさんは赤目(=夕焼け or ディエスさんの目自体が赤くなっている)。


 前者の場合、室内にいることから、屋根・壁に穴があいている(=廃墟)。

 後者の場合、寝不足による充血 or 体液投与実験による副作用 or その他の要因。


 いずれにせよ、VX-Ⅰを製造していた研究施設の廃墟を想定している。


 隠蔽なしの場合:C災害(NBCのC)→ホットエリアで医療関係者以外がトリアージ(Bレベル以上防護服)→災害対策拠点に搬送(除染テント)→地下シェルター?


 隠蔽ありの場合:対応×のためホットエリアでの応急処置、災害対策本部を研究所付近の地下シェルターに設置→Bレベル以上防護服なしでディエスさんがトリアージ(赤か黒? 隠蔽のため初期対応の遅れ、安置所の確保)→偏西風に乗って飛散+旅行者による持ち込み→重度:1時間で初期症状/軽度:1週間で初期症状、呼吸・循環○→×(低酸素症、緑→赤)→住民のパニック→ネット上でリーク?(孔雀デマの発生)→公式発表→渡航者の帰国ラッシュ・水際対策・人道的支援要請×(海外先進国でも症状が発生・空気感染、水感染等により、パンデミック)→除染・治療が非常に困難(想定外)→患者の隔離、ホットエリア封鎖不可、ヒトはほぼ全滅→臨時政権の樹立?→黒の埋葬


 ……これかな?


 社会的混乱:買いだめ、デマ、風評被害、帰国ラッシュ、電波障害、仮設住宅の問題、原因が不明瞭なパンデミックに対するリスク不安など。

 「怪物」に関する研究ノート(抜粋)   作成者:ディエス


 本稿は、「怪物」と呼ばれる有機生命体ついて考察するため、筆者による過去の知見をまとめたものである。

 本研究の目的は、怪物への対処法あるいは融和法を考察するための科学的な問いかけをすることである。


定義:

 ここでいう「怪物」とは、「VX-Ⅰ突然変異体」の俗称である。


特徴:

 怪物は、見境なく動物を襲い、捕食するものがほとんどである。

 個体によって特徴がまばらであり、各個体に関する先行研究が不足している。


 怪物の共食いが目撃された例がある。なぜ、怪物は共食いを行うのだろうか。

 怪物は、生命維持のために捕食を行う。しかし、VX-Ⅰに汚染された怪物は、りんごなどを介したニジイロチョウの羽の成分が毒になる可能性が高い。そうでなくとも、食糧難に加え、捕食対象であった動物の数は急激な環境の変化により激減してしまった。

 これらのことから、怪物は捕食を行うようになったのではないだろうか。


実験:

 避難区画E-2で撃退した赤色の怪物から採取した生体標本を遠心分離器にかけ、分離させた。

 VX-Ⅰ(41.1%)が最も高く、怪物特有の揮発性物質(38.2%)、水(5.3%)と続いた。、

 詳細な結果は資料に添付した図表を参照のこと。


考察:

 「怪物」の生体標本からは、今回実験した標本からは、比較的揮発性の高い化石燃料に似た成分と、VX-Ⅰが検出された。VX-Ⅰは過去の実験でも、特定の怪物から、多かれ少なかれ、必ず検出されている。

 これらのことから、怪物は、動物の死骸あるいは元動物が、VX-Ⅰの過剰摂取により変異したものと考えられる。


 実験結果ではVX-Ⅰが主成分であった。しかしながら、怪物の主成分は必ずしもVX-Ⅰではない。怪物の各成分には個体差があり、また、特定の成分を含む・含まない怪物の例が見られる。例えば、一方では、ある特定の個体は水分が非常に多く含まれていた。他方、別の特定の個体には水分が少なく、高濃度のVX-Ⅰが含まれている。


 今回の実験に限らず、断片的な各地の報告例から、共通している点は、高濃度のVX-Ⅰを含んでいることが多い。

 いずれにしても、怪物の成分から、怪物は有機生命体とは限らず、無機生命体である可能性が浮上した。

 実験結果から、次のような仮説が導き出される。


 h.1 今回検証した地域の怪物は、いずれも火が有効な対処法となる。

 h.2 特定の怪物は、有機生命体または無機生命体のいずれかである。


結論にかえて:


 ほとんどの怪物は本能的知性を持つものの一切の感情をもたない。

 だが、まれに感情を持つ個体が報告されている。


 汚染により変異の進んだ個体によっては、活火山のガスや水のプランクトンを摂取していると考えられる個体が報告されている。

 怪物の生態には謎が多いものの、大抵の場合、人類の脅威であることは間違いない。

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