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90話

久しぶりの投稿です。

 真冬の2月に入った。


 フォルド国では王都でも雪が降り積もっている。今日も深々と降っていた。俺は寒いのでウェルズ先生からの課題を部屋の中でしている。リアナや他のメイドはいない。

 ただ、シェリアが傍らにいた。彼女も黙々とお妃教育の一環で出された課題をこなしている。部屋の中は静かだ。


「……シェリア。そろそろ、休むか?」


「……はい。そうですね」


「うん。なあ、シェリアの事。リアって呼んでもいいかな?」


 俺が試しに訊くと。シェリアは驚いたらしく、みるみる頬を赤らめた。


「えっ。わたくしをですか?!」


「ああ。呼んでみたいと思ってな」


「……わ、わかりました。では。わたくしもリック様と呼びますね」


 シェリアもとい、リアに愛称で呼ばれる。ちょっと恥ずかしくなった。俺は照れ隠しのために課題を再開したのだった。


 夕方になりリアは帰る時間になったが。俺はとりあえず、ジュリアスとクォン、エルを呼んだ。


「殿下。シェリア様をお送りするのですか?」


「ああ。リアを停車場にまで送ってくる。護衛を頼みたいんだが」


「わかりました。早速、行きましょうか」


 俺は頷いた。リアもやってくる。


「リック様、準備ができましたわ!」


「……リア。できたか。なら、行こう」


「はい」


 俺はそう言いながら、手を差し出した。リアは照れながらも自身のそれを乗せる。キュッと握った。


「リア、今日も雪が降っているから。道中気をつけてな」


「はい、わかりましたわ」


「それにしても寒いな」


「ええ、リック様も気をつけてくださいね」


「わかった」


 頷いてリアの手を引っ張る。俺もやっと背が伸びてきた。現在、138センチまでになった。ちょっとずつでも成長しているのは嬉しくはある。ちなみにリアは135センチだ。9歳児としてはまずまずか。

 そんなことを考えながら、停車場まで歩いた。


 リアと手を繋ぎながらもポツポツと話す。その日にあったことやトーマス兄貴のことなどをリアは嬉しそうに話した。相づちを打ちながら俺はさり気なく、周りを見回す。クォンも気がついたらしい。無言で頷いた。


「あの、リック様?」


「何でもない。ただ、寒いなと思って」


「そうですね」


 リアはキョトンとしながらも頷いた。気がついたら既にフィーラ公爵家の馬車の前にたどり着いていた。


「じゃあ、リア。また明日だな」


「はい、リック様」


 御者が気がついたようで、タラップを用意したりする。準備ができると扉が開かれた。リアが乗り込むのをエスコートする。


「それでは、リック様。わたくしは帰りますわね」


「ああ、またな」


「はい」


 リアはにっこりと笑いながら馬車に乗った。扉が閉められる。俺は小さく手を振った。リアも気がついたのか、振り返してくれる。馬車が小さく見えるようになるまで見送った。


 翌朝、俺は眠い目を擦りながら起きた。今日もウェルズ先生の授業にウィリアムス師の鍛錬と盛りだくさんのスケジュールだ。確か、王立学園に入学するのは再来年のはず。つまり、俺が11歳になる年だが。

 それまでにアリシアーナ対策を考えておかないとな。一応、某公爵家の監視下には置かれているが。そんなことを考えながらベッドから降りた。すうと冷気が這い上がってきて俺は震え上がる。早く、リアナ達が来てくれないだろうか。ガタガタ震えながら、待ったのだった。


 しばらく経ってから、リアナ達がやってきた。鼻水が出るわ、寒いわで俺にはリアナ達が女神に見えたが。まー、そういうことは置いといて。


「殿下、おはようございます」


「……おはよう」


「あら、声が掠れていますが。ちょっと失礼いたしますね」


 リアナはそう言うと、俺の額に手を当てる。ああ、ひんやりとしていていいな。ぼんやりと思っていたら、リアナは難しい表情になった。


「……いけませんね、殿下。すぐにベッドにお戻りください」


「え、今日もリアを迎えに行かないと」


「駄目です、こんなに熱があるのに。今から医師を呼んできますから。殿下は休んでください」


 リアナはきっぱりと言った。確かに体が火照るしぼんやりとはしてしまうが。仕方ないので、ベッドに戻る。俺は深くため息を吐いた。


 医師がすぐに呼ばれ、診察をしてもらう。


「ふむ、風邪ですな。殿下、この寒い中で無理をなさいましたか?」


「……無理はしましたね」


「やはり、そうでしたか。今は真冬です。なるべく暖かくして栄養があるものをとってください。お薬も出しておきます」


 医師はそう言って、リアナに総合風邪薬や解熱剤など3種類のお薬を処方して託してくれた。俺は掠れた声でお礼を述べる。


「ありがとうございました」


「お大事になさってください」


 医師はお辞儀をしてから、部屋を去っていく。しばらくはベッドの上にて見送った。


 その後、リアナや他のメイド達が甲斐甲斐しく看病をしてくれた。それでもお薬は苦かったが。

 消化にいいからとすりおろしたリンゴやミルク粥をリアナが作ってくれた。なかなかに食べやすくて助かる。3日程は休養を取ったのだった。



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