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87話

 俺が邸の中に入ると。


 公爵はシンディー様と共に歩くのを止めずに奥へと向かった。何でか、上には行かずに裏口へと向かう。


「……エリック様。ここからは地下室に向かいます。危ないのでお手を失礼しますよ」


「わかりました」


「シンディーも」


「わかりましたわ。旦那様」


「では。行きましょうか」


 公爵は俺やシンディー様と手を繋いだ後、小さな声で呪文らしきものを詠唱する。それと裏口らしきドアが自然と開く。


「さ。地下室への入口は開きました。エリック様。シンディー。行きますよ」


 俺やシンディー様に呼びかける。2人して頷いたのだった。


 公爵と手を繋いだ状態で俺はゆっくりと歩く。シンディー様も同様だ。辺りは神秘的な星々や銀河らしきものが暗闇に浮かび上がる。いわゆる宇宙空間といえる場所を俺たち

 は進んでいた。


「……シンディー。ここを歩くのは久しぶりだな」


「ええ。旦那様とこちらを訪れたのは。まだ婚約していた頃でしたわね」


「そうだな。さて。エリック様」


 2人してちょっとだけノロケてみせた後、公爵はちらりと目線をこちらに寄越した。


「ここからは地下にある異空間となります。いわゆるフォルド国やこちらとは()()()()()()()()は全く違います。そこはご了承頂きたいのですが」


「……了解しました」


「いいお返事ですね。では。こちらがそれになります」


 公爵の言葉を皮切りに辺りが真っ白に光り輝く。あまりの眩しさに俺は目を閉じたのだった。


 光がやむとそこには幾つもの電球が灯ったいわゆる現代日本の夜の光景――外灯がありアスファルトの道路に電信柱、電線、そして民家があった。上を見上げたら満天の星空にぽっかりと浮かんだ満月がある。


「……ここは。矢恵さんの故郷の?」


「ええ。私達が住む()()()()()()生まれた所でもありますね。確か、エリック様の前世やスズコ様。お二方の故郷でもありますが」


「閣下はご存知だったんですね」


「知っていますよ。さて。エリック様のご相談について話しましょうか」


「……そうですね」


 俺は頷いた。そしてアリシアーナにまつわる事を簡単に説明したのだった。


 まずはアリシアーナが日本で作られた「華やかなる貴公子達〜フォルド王国物語〜」というテレビゲームの主人公――ヒロインである事。そしてシェリアは俺――エリック王子の婚約者でありまた、悪役令嬢である事、いずれは俺がアリシアーナに惹かれて。シェリアとの婚約解消に及ぶのだが。彼女は悲惨な末路を辿り良くて修道院行き、悪かったら処刑もあり得る事を話した。ちなみにこちらでのアリシアーナは親父――陛下の見立てによると。魅了や精神干渉系の魔術の使い手かもしれない可能性が高い。それに対してのきちんとした対処法や見分け方などを教えてもらえないか。

 本題も切り出してみた。公爵やシンディー様は難しい顔で黙り込む。


「……成程。そうでしたのね。魅了や精神干渉系の魔術ですか。わたくしもその手の魔導書は何冊か読んだ事はあります」


「そうなんですか。何か、良い方法はないでしょうか?」


「そうですわね。丸腰で行っても操られるだけですから。要は操られなければいいのです。例えば、状態異常を無効にしてくれる魔道具を身につけたり。もしくは。魅了や精神干渉魔法をはねつけてくれるお薬を飲むとか。いくつか方法はございます」


「成程」


「……後は。干渉系魔法を無効化する魔力属性を持つ者の近くにいるのもいいですね。触れ合っていたらもっと効果は抜群ですわ」


 シンディー様はにっこりと笑ってみせた。俺はホンに目からウロコだ。そんな方法があったとは!


「……あの。干渉系魔法を無効化する属性というのは?」


「……ああ。はっきり言いますと。聖属性か光属性です。うちの娘であるシェリアは聖属性ですから。該当しますわね」


「そうだったのか!」


 俺は驚愕した。シェリアが側にいてくれたらアリシアーナに負ける事はないかもしれない。


「……仕方ありませんね。わたくしでよろしければ。エリック様やラウル様、トーマスの分くらいは状態異常無効の魔導具をお作りしましょうか?」


「え。いいのですか?」


「構いませんわ。お時間を少々頂けたら。急いで作りますね」


 シンディー様は胸を張りながら言った。公爵はちょっと心配そうだが。


「……シンディー。大丈夫か?」


「大丈夫ですよ。最近はあまり魔力を使う事が減っていましたし。良い機会ですわ」


「そうか。ならいいんだが」


 公爵はそう言いながらシンディー様の身体を抱き寄せた。ちょっといい雰囲気ではあるんだが。俺は咳払いをした。


「……ああ。申し訳ない。エリック様。そろそろ戻りましょうか」


「はい。そうしましょう」


「ええ。行きましょう。旦那様」


 最初の時と同じく公爵に手を引かれながら俺やシンディー様は邸に戻る。ゆっくりと歩いたのだった。


 その後、シンディー様は早速魔導具作りに取り掛かるらしい。邸の裏手にある工房へ行ってしまった。俺は公爵の許可をもらう。その足でシェリアの部屋へ急いだ。

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