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71話

久しぶりの投稿です。

 俺はジュリアスと打ち合いを終えた後は休憩をしていた。


 ウィリアムス師は気を利かせて果実水――レモン水を持ってきてくれる。何でも奥方特製らしい。そういや、奥方はお菓子作りや料理が趣味だと聞いた。また、家事を一通りこなせるらしい。


「……殿下。果実水を適度に飲んでください。熱射病でしたか。それらの予防になります」


「……わかりました。ジュリ達も飲んでくれ」


 俺が勧めるとジュリアス達はおずおずではあったが。レモン水入りの水筒から小さな皮袋に移し替えた後で飲んでいた。一口飲むとジュリアスは目を開いて固まる。が、二口目から凄い勢いで飲み始めた。気に入ったらしい。


「……母上の作ってくれた果実水を飲むのは久しぶりです。オズは飲んでいるでしょうが」


「そうだったのか。あー、ジュリアスの母君だったな。ウィリアムス師の奥方は」


「ええ。名をサリエットと言いまして。年は父より6歳下ですが。今でも元気が良い人ですね」


 へえと相づちを打つ。サリエット夫人はウィリアムス師より6歳下なのか。てことはまだ三十代後半くらいだな。なら、オズワルドを30歳くらいで生んだ事に?


「……なあ。ジュリアスは弟はオズワルドだけなのか?」


「いいえ。私が一番上で下に妹が2人と弟も2人いますよ。と言っても私は先妻の子ですが」


「そうなのか。確か、ジュリアスの実の母君は。儚くなられたと聞いたがな」


 そう言うとジュリアスは哀しげに笑った。


「ええ。そうです。私の実母は名をコレットといいましたが。私を生んですぐに亡くなりました。26歳くらいだったと聞いています」


「……そうか。嫌な事を思い出させたな。すまない」


「……謝る必要はないですよ。むしろ、私の方こそ失礼しました」


 ジュリアスは真面目な顔になると頭を下げた。俺は驚いて彼の手を取る。まだまだ背は低いのでジュリアスの右手をキュッと握った。そうした上でポンポンと軽く撫でた。


「……殿下」


「……ジュリ。もうこの話は終わりにしよう。今から着替えてシェリアを迎えに行きたいし」


「わかりました。でしたら急がないといけませんね」


 ジュリアスが気を取り直すように笑った。それにほっとしながら彼の手を離す。不意に肩に手を置かれた。


「……ありがとうございます。殿下」


「礼はいいって。ジュリが元気になって何よりだ」


「ええ。さあ、行きましょうか」


 ジュリアスに促されて自室に急ぐ。エルも後から追いかけてきたのだった。


 本当に自室で汗を水で濡らしたタオルで一通り拭いてから新しいシャツとズボンに着替える。髪は手櫛で適当に整えた。そうしてからリアナに「シェリアを迎えに行ってくる」といい置いて神殿に向かう。廊下に出ると着替えを終えたらしいジュリアスとエル、クォンまでいた。


「……クォン。久しぶりだな」


「……ええ。お久しぶりです。殿下」


 すっかり猫を被っているクォンに舌を巻く。エルがおかしそうに笑った。


「……どうかしましたか。殿下?」


「いや。何でもない。シェリアを迎えに行きたいから護衛を頼む」


「わかりました。では行きましょうか」


 クォンはにっこりと笑う。エルはとうとうお腹を抱えて笑い出した。俺はエルを置いてジュリアスやクォンと3人だけで歩き出す。エルは慌てて後を追いかけてきたのだった。


 その後、神殿にやってきた。神官に案内されながらシェリアや神官長がいるらしい奥の礼拝堂に向かう。進むごとにキィンと鉄が激しくぶつかり合う音やかけ声などが聞こえてくる。礼拝堂に続くドアを開けると剣を構えた神官長と同じく月光剣を構えているシェリアの姿があった。


「……シェリア様。まだ少し突きが甘いですな」


「……くっ。神官長様。まだできますわ」


「では。もう1度来てみなさい」


「……はい!やあっ!」


「……っ!」


 ギィンともう一度剣がかち合う。シェリアは月光剣を構えたままで後ろに飛び退る。神官長は剣を持っていない方の手から不意に氷塊を生み出す。それが彼女に向かって放たれた。俺はギョッとする。あの仙人爺さん、本気だ!気がついたら身体が動いていた。


「……シェリア!!」


「……エリック様?!」


 俺はシェリアの前に立ちはだかると急いで太陽剣を鞘から抜いた。無詠唱で氷塊を防ぐ火の結界を作り出す。いわゆる火の力で生み出した盾ともいえる。近づいてきた氷塊はジュウと音を立てて水蒸気になった。半分程、溶けかかると辺りに霧が発生する。シュウウと完全に溶けてしまうと霧が天井にまで達した。


「……邪魔は感心しませんぞ。殿下」


「あんた、俺がいるのをわかっていてやっただろう!」


「ええ。そうですとも。殿下に腕試しをさせていただきました」


 ほっほっと爺さんは笑いながら宣った。俺は半目で睨みつける。たく、油断のならんジジイだ。そう思っていたらジュリアス達が急いでこちらに駆け寄ってくる。


「……殿下。大丈夫ですか!」


「ああ。何とか防げたが」


「あーあー。神官長。ちょっとは手加減してくださいよ。殿下に怪我でもあったらどうするんですか」


 ジュリアスが言っているのに答える。するとクォンが爺さんに声をかけた。


「……ほほう。久しぶりじゃな。クォン」


「……久しぶりです。神官長」


 2人が挨拶し合っているのがやけに親しげで驚いたのだった。

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