46話
2月に入り寒さも本格的になってきた。
毎日、雪は降り積もる。俺はラウルやトーマス兄貴、シェリアちゃん、オズワルドの5人で雪合戦や雪だるまを作ったりした。後でカーティスとウィリーも加わった。最初は怖々とやっていたトーマス兄貴やシェリアちゃん、オズワルドだったが。俺とラウルがけっこう楽しいもんだと伝えると。やる気を出し始めた。紅一点のシェリアちゃんもきゃははと笑いながら俺に雪玉をぶつけてきていた。やり返そうとしたらシスコン気味の兄貴に睨まれたが。
雪だるま作りの時はオズワルドと2人でやった。シェリアちゃんは1人で一所懸命に小さな雪だるまを作っている。トーマス兄貴とラウルもでかい雪だるまを作っていた。
「……なあ。オズ。ちょっとシェリアちゃんの所に行ってくる。後は頼んだぜ」
「……わかった。エリック様。お気をつけて」
オズワルドことオズは頷いてくれた。今では敬語なしで話してくれるようになったので仲良くなれていた。俺はシェリアちゃんの所に行くと声をかけた。
「シェリアちゃん。雪だるまを作っているとこ悪いけど。雪うさぎとかどうかな。作り方を教えるからさ」
「……はあ。雪うさぎですか?」
「うん。俺のいた国に伝わるものでね。ちょっと木の葉っぱと赤い実を取ってくるから。待ってて」
「わかりました」
「んじゃ、行ってくる。トーマス兄貴の所に行きな。その方が安全だし」
シェリアちゃんは素直に頷いてくれた。俺はごめんと一言ことわってから笹の葉っぱと南天の実を取りに行ったのだった。
本当に竹笹の葉っぱや南天の実が見つかった。王宮には東方の島国から輸入した竹や南天の木が植えてあったのだ。さすが、日本製の乙女ゲームだなと思った。竹笹の葉っぱと赤い南天の実を片手に持ってシェリアちゃんのいた所に歩いて行く。すぐに彼女は見つかった。でかい雪だるまを作ったトーマス兄貴とラウルの側にいた。
「あ。エリック様」
「ごめん。待たせたな。木の葉っぱと赤い実を取ってきた」
「まあ。わざわざすみません。じゃあ、早速作りましょう」
うんと頷いて俺は竹笹の葉っぱと南天の実をシェリアちゃんに預けた。そうした上で自分の両手に持てるくらいの雪を取ってぎゅっぎゅっと力を入れて固める。丸い形にしてからシェリアちゃんに葉っぱと南天の実を渡してくれるように言った。まず、南天の実を丸い雪玉に埋め込んだ。そして葉っぱを縦向きに押し込んだ。すると雪うさぎの完成になる。
「……雪うさぎはそうやって作るんですね。可愛いです」
「気に入ってもらえたんなら何よりだ。こっちの方が女の子向きだと思ったんだ」
「そうですね。わたくしも作ってみますわ」
シェリアちゃんは早速、見よう見まねで雪うさぎを作り始めた。雪玉を作ってから余っていた南天の実を埋め込んだ。竹笹の葉っぱを押し込んだら出来上がる。俺のよりちょっと小さめだが。可愛いなと思った。
「……エリック様のようにはできませんね。わたくし、不器用だわ」
「そんな事はないよ。これはこれで可愛いと思うぜ」
「ありがとうございます。エリック様」
シェリアちゃんはにっこりと笑う。雪うさぎもいいが。この子の笑顔の方が百倍可愛いなと思った。まあ、矢恵さんも同意してくれるだろうが。
「……あ。可愛いのを作ったんだな。エリック様が作ったのか?」
「ああ。んでもうちょっと小さいのはシェリアちゃんが作ったんだ」
オズが訊いてきた。答えると意外そうに見てくる。
「……エリック様もこういうのを作る時があるんだな。気持ちはわからなくもないけど」
「いや。その。シェリアちゃんに教えてやろうと思ったんだよ。うさぎの方が雪だるまよりもいいいだろうしな」
「確かに。女性だったら雪だるまよりもうさぎの方がいいだろうな」
オズはそう言うと苦笑した。ラウルとトーマス兄貴はまだ雪だるま作りに夢中だ。
「……オズ様もエリック様も。わたくしは雪だるまも好きですわよ」
「いや。ごめん。シェリアちゃんが気に入るだろうと思って勧めたんだが」
「……あ。いえ。わたくしもすみません。でも雪うさぎは気に入りましたわ。また、雪が降ったら作ってみますね」
2人で話しているとオズは微笑ましいと言わんばかりに眺めている。ちょっと照れたシェリアちゃんに俺もつられて照れてしまったのだった。




