34話
俺はラウルと共にウィリアムス師やジュリアス、エルに矢恵さんの伝言を伝えた。
ウィリアムス師はふむと考え込んだ。ジュリアスとエルも同じようにしている。トーマス兄貴も興味深そうにしていた。
「……殿下。シェリア殿が真の聖女であるとは。ではもう魔獣狩りは終わりにして王都に帰った方が良さそうですね」
「はい。俺もその方が良いと思います。お、陛下にも伝えないといけませんしね」
「ええ。殿下の言葉が正しい。ジュリアス、エル。それにラウル様やトーマス殿も帰り支度をしなさい。取り急ぎ王都に帰りましょう」
ウィリアムス師が言うとジュリアスやエルは頷いた。
「はい。わかりました。父上」
「そうですね。団長」
ラウルやトーマス兄貴もこくりと頷いている。俺も師と目を合わすと頷いてみせたのだった。
その後、魔獣の爪等をこの世界にもあるらしいギルドで売り払い、換金する。ブリザードレックスの爪や牙、鱗は希少らしくてけっこう高く売れた。ファイアウルフの爪、皮も同様だ。冒険者ギルドではなくて商業ギルドでだが。
受付嬢も驚いていた。ギルド長が自ら出てきて引き取ってくれた。
「……ほう。ブリザードレックスやファイアウルフは冒険者でもSランクの奴じゃないと狩るのは難しい。これを持ってきたって事は坊主じゃないだろ」
「ギルド長。狩ったのは私や息子とエルだ。この三人の子達には助けてもらったが」
「あれ。あんた、どっかで見た顔だと思ったら。ウィリアムスじゃないか。あのカーライル公爵家の跡取りだった」
ギルド長が言うとウィリアムス師は意外そうに目を見張った。周囲の人々も一斉にこちらに視線を送る。
「……何だ。私の事を知っていたのか。そういえば、久しぶりだったな。ヒューイ」
「ああ。ウィリアムス。あんた、今は騎士団長だったな。そっちのジュリアスも大きくなったな。まあ、あんたとジュリアスだったら納得だ。あんたら、SSランクの冒険者だったのを思い出したよ」
ヒューイと呼ばれたギルド長は意外な事を言ってみせた。ウィリアムス師とジュリアスがSSランクの冒険者だって?!
「……殿下。エルもSSSランクの冒険者ですよ。これでもジュリアスとエルはこのフォルド王国きっての強者です。クォンもね」
「ん?坊主、殿下って呼ばれているのか」
「ヒューイ。ここだけの話だが。こちらは現国王陛下のご子息で第一王子殿下だ。エリック様と言ってな。今日は鍛える為にお連れしたんだ」
「……はあっ?!おま、エリック様って言ったら。王太子殿下じゃねえか」
「そうだな」
そうだなじゃねえよとヒューイギルド長は言う。俺も同じ意見だ。
「……それと金髪の坊ちゃんがラウル様で。藍色の髪の子がトーマス殿だ」
「……ウィリアムス。ラウル様は王弟殿下でトーマス殿って言ったらあのフィーラ公爵のご子息だろうが。公子様っていうんだったか。なんでこんな高貴なお子さん達を連れ回してんだ」
「鍛えるためだ」
ウィリアムス師は一言で一刀両断した。ギルド長はううむと唸る。
「怪我でもしたらどうするんだ。エリック様に何かあったら国の一大事だぞ」
「変な事を言うな。王女殿下じゃあるまいし。男たるもの、強くなくてどうする」
「……まあ。あんたの言う通りだが」
ジュリアスとエルが居心地悪そうにしている。ラウルと兄貴もどうしたもんやらと困った表情をしていた。
「なあ。ギルド長。その俺は今は頼りないかもしれんが。その内、冒険者ギルドに登録してSランクを目指すよ。絶対に強くなってみせます」
「……ほう。言うじゃねえか。で、いや。坊主。もうちょっと大きくなったら冒険者ギルドに行ってみな。あっちのギルド長には坊主がいつか来るかもなって伝えておいてやるよ」
「ありがとうございます。ギルド長」
俺が礼を言うとヒューイギルド長は俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。ちょっと嬉しくなったのは内緒だ。その後、王都に向かった俺たちだった。




