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2話

俺はシェリアたんを救おうと決めてからある計画を練った。


その名も「シェリアちゃんと他の奴くっつけよう」作戦だ。まあ、他の奴が聞いたら呆れられる事請け合いだが。でも3歳の俺が考えるにはこれが精一杯だった。うう、シェリアたんに嫌われるのは悲しいが。でも彼女を悪役令嬢にさせないためには俺に恋愛感情を持たせないのが第一歩になる。本当、女であった記憶があって良かったよな。もし、完璧男だったらシェリアたんを渡したくないと考えてたはずだ。


ふう、これ以上考えたらぶっ倒れそうだ。ここまでにしておこう。シェリアたん、君は俺の癒しだ。そして大事な存在。絶対、死なせたりはしない。

<その調子よ。エリックもやればできるわね>

そんな褒める女性の声がまた響く。頭の中でだが。

あんた、ちょっと前まで俺の事をアホ王子呼ばわりしてたじゃねーか。

言い返すと女性はからからと笑う。

<……だって私、あんたの事は大嫌いだったのよ。シェリアちゃんをフるんだから。生意気な若造だと思ってたわ>

そーかよ。だったら助けてくれても良いだろ。

<まあ。あんたがシェリアちゃんをちゃんとバッドエンドから救い出す事ができたら助けてあげても良いわよ。てまあ、それは冗談だけど>

冗談かい。ちょっとばかし俺にきつくねえか?

<ふん。私は元々男が嫌いなの。でもまあ。助けるのもやぶさかではないわ。シェリアちゃんを助けると考えられるようになったのは褒めてあげる。そうね、あんたが言うようにシェリアちゃんを処刑エンドにさせるもんか。私も時々は出てくるようにするわ。そうしたら相談できるじゃない>

わかった。矢恵さん、あんたの事は信用してみるよ。だからアホ王子はやめてくれないか。

<はは。結構気にしてるのね。まあいいわ。アホ王子と言うのはやめる。その代わり、失敗でもしたらただじゃおかないから>

う。わかったよ。けどもう疲れてきたから寝たいんだが。

<仕方ないわね。あんた、まだ3歳だもんね。わかった、明日また会うって事でいいかな?>

そうしてくれ。

俺が頷くと矢恵さんはすうと消えた。俺はふうと息をつく。

これで味方が一人できた。と言っても相手は幽霊みたいなもんだが。

仕方ないか。これから地道にコツコツとやっていくしかない。

そう決めたら俺は椅子から降りてベッドに向かう。窓はカーテンが閉め切ってあるから時間がいまひとつわからない。まあ、3歳児が昼寝するのはままある事だ。

そう思い、俺はベッドによじ登り布団に入る。肩まで掛けて目を閉じた。

すぐに眠りについていたのだった。




あれから、俺は朝までぐっすり寝ていた。王宮のメイドや女官達が起こしに来て時刻を訊いてみる。

「……なあ。ちょっといいか?」

恐る恐る問いかけると一番年かさのメイドが答えた。

「何でしょうか?」

「その。今はどれくらいの時間なんだ?」

「……ああ。もう朝の7の(とき)になります。殿下がいつもお起きになる時刻だとわたし共は思っていますが」

成る程と俺は頷いた。

メイドは確かリアナといったか。リアナは俺の乳母でもあったはずだ。

それにこのフォルド王国は時刻を教会や王宮の鐘で知らせる。時計はまだまだ高級品で王宮でも持っているのは親父ー国王くらいだ。

と、やばい。国王を親父呼ばわりすると後でこっぴどく叱られるな。

リアナは心配そうに俺を見る。

「どうかしたか?」

「……殿下。今日は家庭教師の先生がお越しになります。後、剣術の先生も。体調が優れないようでしたらお休みにしましょうか」

「うーむ。休むと父上が怒るだろう。剣術は休むとしても。家庭教師の先生を追い返すわけにもいくまい。授業は受けるよ」

そう言うとリアナはほっと胸を撫で下ろしたらしい。

「そうですか。殿下が勉学に励むのは良い事ですけど。大事を取って午前中だけにしていただきましょう。午後からはゆっくりと休んでください」

「わかった。じゃあ、そうしてくれ」

「かしこまりました」

俺が頷くとリアナは早速俺の身支度をし始める。顔を洗い、歯磨きをした。

髪を整えて部屋着に着替えた。鏡で変な所がないかチェックする。

その後、リアナが合格点だと言う。俺は朝食をとるために応接間に行く。

朝食はトーストされて目玉焼きが乗った食パンに野菜のスープ、サラダ、ソーセージを焼いたのやデザートまである。全部、俺が食べやすいように一口大に切ってあった。

料理人の細やかな気遣いが感じられた。俺はフォークとナイフを手に取る。

そう、既にフォーク、ナイフ、スプーンなどは用意されていた。給仕役のメイドが小皿にパンやサラダ、ソーセージを取り分けた。

それが俺の前のテーブルに置かれた。まず、サラダから食べる。ドレッシングがかかっていて食べやすい。これがマヨネーズに比べてあっさりしている。

サラダを小皿一杯分は食べてフォークとナイフを一旦置く。パンを手に取って(かじ)り付いた。

目玉焼きの黄身の部分が半熟でとろりとした食感だ。口に入れるとほのかな甘さがする。うまい、うま過ぎる!

俺はパンも食べてしまうとソーセージやデザートも取り分けられた分は完食した。大食らいだと言われるだろうが。俺にしてみれば何それって感じだ。

うまいもんはうまいんだ。食べて損する事はないはず。俺は朝食を終えたのだった。

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