【side 帝国軍にて】
「……以上がクレシャ・カノンコート騎士長からの報告でございます」
「そうか。よく伝えてくれた」
エングラノスト帝国軍の中枢である親衛騎士団の会議室で、その天使はくつろぎながら下僕である使徒からの情報を確認していた。
不老の半神とは名ばかりの天使のなりそこないである使徒などの報告内容は、すでに把握しているものばかりで退屈極まりない。
だが、こうのように使徒と面談することによって使徒たちの士気が大いに向上するのもたしかな事である。
冥王に仕える告死天使は暇があれば使徒たちにその姿を見せて献身の結果を労う。
現にエングラノスト帝国親衛騎士団の将の一人である、この使徒……。
(たしか。アーゼスだったか……)
一時記憶領域に放り込んであった使徒の名前を呼び出しながら告死天使は跪く男を見下ろしていた。人の集団の中であっては騎士長と称えられ、有事には数千の兵を率いて戦場を駆るこの男でさえも告死天使の前ではただの下僕。
男は、告死天使の鈍色に輝く長衣から覗く二枚の翼に包まれるような位置で頭を垂れ、神の使いからの声を受けて感激に打ち震えている。
(……やれやれだ)
「使徒アーゼスよ、下がるがよい。ご苦労だった……使徒カノンコートにも伝えてくれ」
感涙にむせび泣きかねない使徒アーゼスの退出を見送りながら告死天使は、己が主である冥王にあえて背く魔王マリスカレンの思い切った方向転換に考えを巡らせた。
(転生者嫌いのマリスカレン様が……転生者を配下に置き始めるとは……)
冥王が積極的に異界から召喚し続ける転生者たち。
質は玉石混交とも言えたが、小石程度の取るに足らない転生者でさえ。フランシアで産まれた生命の大半より強力なのだ。
転生者たちの活躍に、さすがの魔王配下の魔神なども分の悪い戦いを強いられ続けている。
(まぁ。転生者には転生者を……という事だろうが。割り切られたことよ……)
かつて冥王と魔王が轡を並べて覇王と謎王を打ち破った時代の記憶を参照しながら告死天使は独り言ちた。
「この閉ざされた界ですら時が流れる……」
その結末については、告死天使も演算しえなかった。
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