二人そろって副隊長
「決定いたします!」
グラハムさんは俺たちに近寄ると。唐突に叫びはじめた。
っていうか。終わり?
「総合闘技場管理官。守護騎士グラハム・プレッシャーの名において。本日をもって! デスナイト森山殿、及びヴァンパイア佐嶋殿は、階級名『二人そろって副隊長』に任命いたします!」
「「?」」
え? 終わりなの?
ふつー、ここでグラハムさんがちょっと本気出して。それを俺たちが何とかして……とかの展開じゃない?
「わーい! おめでとうございます! 佐島様っ! 森山様! 階級ですよ! これで階級持ちですよー!」
なんだか意味不明だが声援を送って喜んでくれるレオナさん。
あ、そうだった。
これってなんだか、謎の階級を取得する試合だったね……。
「……副隊長って面倒臭いヤツ? 隊長って人がいたら手伝わないとダメだとか?」
森山さんがグラハムさんに確認をしている。
たぶん面倒臭いならいらないとか言うパターンだろう……。
「んー。まぁ、副隊長という役割上で言えば、隊長職の要請を聞いて差し上げて頂きたい」
「任意でいいの?」
「ま、まぁ。普通は副隊長は隊長に従い補佐するのがこの城での役割なのですが……」
ずいぶん控えめな階級システムみたいだけれど。
まぁ、城内のごっこ遊びの延長みたいなものなのだろう。
ん? あれ?
「グラハムさん。この副隊長ってどの隊でも副隊長扱いってことですか?」
俺はちょっと気になった事を口にした。
たしか軍隊とかの部隊って、小中大とかいろいろあった気がしたんだ。
「はい。魔王様が編成されたすべての部隊において副隊長として扱われますので、お二人の階級はかなり流動的とも言えますが、その場の状況に応じての活躍を本職は期待しております!」
「あ、ハイ……」
「まぁ、いいわ。佐嶋君、なんか寄り道だったけれど。お城の探索を続けましょう」
「そうだね」
……そういえば俺たちは、職場である魔王マリスカレンの居城の中を巡るデート中だったのだけれど。模擬戦でなにかのスイッチが入ったのか、森山さん的に探索という表現になっている。
それとも、レオナさんやグラハムさんがいるからそういう表現なのかな……。
「じゃ、わたしたちはこれで……」
そう言うと。森山さんは、かるく片手を上げてレオナさんたちに挨拶をする。
「佐嶋さま! 森山さま! お疲れさまでした! ありがとうございます~」
「次は本職も、本気で仕合せていただきますぞ! また闘技場にお越しくだされ!」
レオナさんやグラハムさんの声を受けながら、俺たちは闘技場を後にした。
……そういえば。
なんか副隊長の証みたいな、階級章的な物ってなくて大丈夫なのだろうか?
いや、欲しいわけでは無いのだが。




