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守護騎士のグラハムさん

「……」「……」


 転移門ゲートを抜けると闘技場コロシアムだった。


 ちなみに前回は、転移門ゲートを抜けるとゴブリン村だった……。


 

 古代ローマには円形の闘技場コロシアムが都市ごとにあり。剣闘士や猛獣などの戦いを市民への娯楽として提供していたのは歴史の勉強で知っていた。


 魔王さんも観戦とかするのかな。空を見上げると、夜なのかそれともなにか別の状態なのか星も何もない暗闇がどこまでも広がっている。火傷の心配がないのはありがたい。



「……いえいえいえ。わかっていますよ! 城内巡りなのになぜ闘技場なのか? で、ございますよね!」



 レオナさんがニコニコと微笑みを浮かべながら俺たちに言う。


 バラバラ猟奇死体にされてから、外科的に繋ぎ合わされて復活したレオナさんの縫い傷だらけの微笑みも。なんだか妙に艶っぽい。


 


「基本的に、お二人様のお邪魔をするつもりはありません。この後にご案内する、ちょうど良い感じの場所で自由行動していただこうと考えておりますが。城内での危険を避けるためにここでお伝えしたいことがいくつかございます」



「ほう?」



 いぶかし気に答える森山さんの視線の先には、魔王さんの天使狩りで一緒に戦ったこともある魔王さんの配下の鎧の騎士がいた。手には青い光を発している斧槍ハルバードを持っている。


 なんだ? 魔法の武器って奴か?



 しかし、なんだかあの時の青黒い鎧の騎士と同じデザインの鎧なのだが。横に丸いような……。




「あそこに控えているのは、この闘技場の係であるグラハムさんです」



 ブンブン手を振ってレオナさんは、マシュマロ系の鎧の騎士を呼ぶ。 



「お~い! グラハムさーん!! ちょっと手伝ってくださーい!」




 マシュマロマンが、レオナさんに呼ばれたためにノシノシ近づいてくる。




「……初めまして。マリスカレン様から闘技場の管理と運営を任されております。守護騎士のグラハムです」


 太いオッサンの声だった……。



 守護騎士のグラハムさんは、身長は鎧姿フルアーマーの森山さんと同じくらいなのだが。横幅は圧倒的に広いというか太い。洋ナシ形の体型だ。

 他の魔王さん配下の守護騎士の皆さんはかなり均整の取れた体格なので違和感がすごい。



「……えっと。ヴァンパイの佐嶋です」


「森山です」



 

「ほうほう。では、お二人様とも階級を手に入れるためにこの闘技場コロシアムへ?」




 ……なに言い出すんだ。このオッサン。




「いえー。違うんですけれど、結果的にはそうなりますのでよろしくお願いします!」


 と、笑顔でレオナさんが球体の騎士に告げた。




 え? なに?

 これって、ひょっとして闘技場コロシアムで腕試し的なバトルをやらされて。

 勝つと、別に欲しくもない称号とかもらえたりするやつ?


「え? ちょっとレオナさん待って……」


 有無を言わせず、レオナさんは畳みかけるように俺に言う。


「でも佐嶋様、ここでグラハムさんから階級をゲットするとぉ! 今後の城内生活がぐっと楽になりますよーーー!」



「え? なに? いきなり昇進試験?」

 


 いつもは何でもかんでも面倒くさがる森山さんがなぜかヤル気っぽい声をだしてきた。


 あ。この流れは。

 俺に決定権無いヤツ?



 うえええ。激しく避けたいが。なぜかレオナさんはそういう流れになる的な発言をしている。

 うーん。ここでもらえる階級と言うのが、城内巡りの安全に役立つと信じるしかないな……。



 ああ。

 なんだか。もう、俺たちのヨーロッパ古城巡り風のデートの雲行きが怪しくなってきたな……。





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