眼鏡メイドの話
開かれた転移門からは、魔王さんの眼鏡美女メイドさんが姿を現した。
「……血迷った、ゴブリンどもが転移門に飛び込む前に。まずはお入りください。お話はそれから……」
怜悧ともいえる声で事務的にメイドさんは俺たちに言う。
「はーい」
と、メイドさんが言い終わると即座に、森山さんがゲートの中に入る。
メイドさんを、なんとなくいやらしい目で見ている吉田さんがゲートに入ったので。俺も慌てて吉田さんに続いた。
え?
これで『ゴブリン帝国』を救えミッションは終了?
だとしたなら。
……なんだか。とりとめもない流れて終わったな。
まぁ、人生そんなものなのかも知れないが。
転移門を抜けると。
魔王さんの城にある、俺たちの住処。『モンスターハウス』だった。
なんか……久しぶりに帰ってきた気がする。
殺風景なだだっ広い牢屋みたいな空間が、なんだかホッとする安らぎを感じさせてくれた。
「ただいまー!!」
「いやー。無事に帰れたなぁ」
森山さんも吉田さんもなんだか嬉しそうだ。
もう、この場所が住処とでも言わんばかりだ。
「やれやれ……よっこらしょ」
俺たちのモンスターハウスの数少ない家具である、木の椅子にオッサンみたいな声を出して吉田さんが座る。まぁ、オッサンなのだが。
俺もなんとなく椅子に近づいて、座ってみる。
頑丈な造りの、そっけないデザインの木の椅子だが。なんだか、ホッとする。
森山さんは体格的に椅子に座れないので、俺たちの近くでいつもの仁王立ちをする。
俺たちが、落ち着くのを見計らって。
眼鏡メイドさんが俺たちに告げた。
「みなさま。まずはミッション達成お疲れ様でございました」
あ、やっぱりゴブリン帝国の件はなんとなく解決したんだ……。
「いや、なんもしてないですけどね」
吉田さんもそんな事を言っている。
そんな吉田さんの声をガン無視しながらメイドさんが続ける。
「……しかしながら問題が新たに発生しまして。率直にお伝えすれば、皆さまは狙われております」
いやいや。それは、もう体験済みです。




