ゴブリンウェーブ
襲ってくるオッサン。
もといホブゴブリンの歩兵とか生かしておいて森山さんはどうするのか?
ゴブリン皇帝のいる宮殿まで案内させる必要はない。
魔王さんの出してくれたゲートから出て道沿いに歩けばゴブリンたちが宮殿と称する場所まで続いているとの事だ。
プチプチとご自身で突き殺して楽しみたいのか?
ちょっと怖くて俺は聞けなかったが、森山さんの兜の奥で輝く赤い光が冗談が通じない分い息を醸してきたので俺は次こそは襲ってきた相手を何匹か殺さずに置くこと意識した。
……しかし。
襲ってこない。
どうした? ゴブリンたちよ! ホブゴブリンでもいいぞ!
襲ってきてくれい! 森山さんが、お前たちに用があるんだ!
「……襲ってこない……ね?」
「……佐嶋君のせいだね。」
「ここら辺のゴブどもは、あらかた狩り尽くしちまったかな?」
ご本人がゴブリンなのにぞんざいに吉田さんが言う。
「いや! 待って。なんか来たよ!」
どうやら森山さんが新しい犠牲者を感知したらしい。ちょっと嬉しそうに森山さんが言った。
良かった、彼女の機嫌が回復した。
「でも、なんか数が……え? なにこれ? いっぱい来ている!?」
「森山氏! 反応の方向を指差してくれ! 佐嶋氏は、森山氏の示した方向を飛行して偵察してくれっ!!」
「え!?」
年季の入った。オッサンの声が響く。
吉田さん?
いつになく。
というか、吉田さんの本気の素の声を俺は初めて聞いた。
え? 今の吉田さんちょっとカッコイイ!?
いつもなら。吉田さんの言う事に、いちいち一言いれる森山さんが。吉田さんの指示通りに、サッと指をさして方角を示す。俺たちの進行方向。
俺はすぐに浮遊から飛行に切り替え、高度を上げていくと……。
すごい数のゴブリンたちが走ってくる。
1000匹とかそれ以上いるかも知れない……。
そんなゴブリンが武装したり、手ぶらだったりでなにかに追われるように逃げ惑っているように俺には見えた。そして奴らが逃げてきた先を見るとボロボロの大型の砦のような建物が見える。
時折、その建物から爆発や雷光が見て取れた。
なんだ? ゴブリンたちで内輪もめでもしたのかな?
俺は急いで高度を下げると、吉田さんに俺が見た光景を報告した。
「なんだ。敵の大部隊が押し出して来たのかと思ったぜ、念のため連中が落ち着くまでどっかに身を隠さないか?」
「え? なに? ゴブリンが多いからって隠れようって、なんの冗談?」
「いや、だって森山氏や佐嶋氏はゴブリンが何万匹いても平気かもしれんが。俺は囲まれたら死ぬし……」
「……不便ね」
めんどくさそうに言う森山さん。いや、俺だって囲まれたら死んじゃうかも……。
結局、吉田さんは俺が抱えて空を飛ぶことで守り。
森山さんはこのままゴブリンの真っただ中を歩いていく事になった。
本当に大丈夫なのか森山さん……スゲー数のゴブリンなんだけれど。




